乙女ゲームのヒロインに転生したのに、ストーリーが始まる前になぜかウチの従者が全部終わらせてたんですが

侑子

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答え

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「……ジェイド。あの、たとえそうしたくても、私は、男爵様が認めるような貴族の方と結婚しなきゃいけないの。知っているでしょう?」

 昔、ジェイドをそばへ置いてもらうために、私は男爵と取引をした。母の名に誓って、男爵の望むような立場の人、高位貴族と結婚すると。

 ジェイドがいくら素敵な男性とはいえ、立場は男爵家の従者だ。男爵が認めるとは、とても思えない。かといって、約束通りジェイドを連れてきてもらっておいて、今さらやっぱり嫌だなんて言うわけにはいかない。
 両想いだとわかっていても断らないといけない状況に、私はまた涙が浮かんできた。

「……あんな奴のことは気にしなくていいよ、と言っても無駄なんだろうね」
「だって、男爵がジェイドを連れてきてくれたことは確かだもの。要求を吞んでもらっておいて自分は約束を破るなんて、詐欺師と同じじゃない。そんなこと、できないよ……」

 うつむいて唇をかみしめていると、ジェイドは仕方なさそうに息をついた。

「本当は、それでも僕を選ぶって言って欲しかったけど、それはアリスじゃないもんね。……いいよ、諦める」

 スッとジェイドの手が離れていくと、急激に寂しさが胸を支配した。さらに涙が浮かんできて、グッと歯を食いしばる。
 自分から断ったのだから泣く資格なんてないのに、どうしても止められなくて、ポロリと雫が頬を伝った。

 すると、ジェイドはなんと、それを唇で受け止めた。

「……っ!?」
「ははっ。アリス、面白い顔」

 い、今、何を……!?

「あ、諦めるって言ったそばから、どういうつもりなのっ?」
「え? 諦めるって言ったのは、男爵との約束より僕を優先してもらうことだよ。アリス自体を諦めるわけがないでしょう?」
「え……で、でも、私は……」
「大丈夫だよ、アリス。僕、いい伝手を持っているんだ。知っているでしょう?」

 ……だからそれ、どういう伝手なの!?

「だからアリス。ちゃんと気持ちを聞かせてよ、君が、僕をどう思っているか。立場に何も問題がなかったら、恋愛の相手に、僕を選んでくれるでしょう?」

 全然意味はわからないけれど。でも、ジェイドが出来るというなら、きっと出来るのだろう。ジェイドはいつも、簡単に問題を解決してしまうのだ。そして、もしそうなら、私の答えはずっと前から決まっている。

「私、ジェイドが好き……っ」
「うん。知ってる」

 そう言ってジェイドは、今まで見たことのないような笑顔で私を優しく抱きしめたのだった。

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