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婚約初日の出来事
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社交界デビューをしてすぐ、伯爵令嬢である私、セレナ・フォルティスは、公爵家の三男で騎士団に勤めるカイン・ゼンフィス様と、政略的な婚約を結ぶことになった。
その後初めて行われた我が家での顔合わせで彼に言われた言葉は衝撃的すぎて、三年経った今でも忘れられない。
二人で庭園を見てくるといい、と両親たちに促され、そうして二人きりになった途端、彼はこう言い放った。
『こんなふうに君と婚約することになって、とても残念に思っている。私たちが結婚することはもう仕方ないが、お互いが嫌な思いをすることがないよう、なるべく君には近寄らないようにするから、君も気をつけてくれ』
……え? それって、私が近くにいるだけで不快だってことですか?
驚きすぎて思わずそんな言葉が口から飛び出しそうになったが、すんでのところでとどまった。
彼の短い赤茶の髪が風に揺れる。
感情を映さないグレーの目をどれだけ見つめても、なぜ彼がそんなことを言うのか、答えはわからなかった。
初めて会った時も思ったことだが、彼はあまり表情豊かな方ではない。それもあって、私はいっそう彼に冷たく突き放されたような感じがした。
彼の言動はとても失礼だし、腹立たしく思うけれど、かといって怒りのまま失礼な言葉を返してしまえば、関係が破綻するのはわかりきっている。
少なくとも私は彼のようにこの婚約を残念だとは思っていなかったし、二人きりになって初めてかけられたのがそんな言葉だったとしても、まだ彼との良好な関係を諦めたくはなかったのだ。
『……カイン様を不快な気持ちにさせないよう、重々気をつけたいと存じます』
私がなんとか返せたのは、そんな言葉だけだった。
私の反応が不満だったのか、彼は戸惑ったように顔をしかめると、ふいっと私から目を逸らした。
その後、彼が私と目を合わせることはなかった。
そして、その後は二人とも無言で庭園をぐるっとまわり、その日の顔合わせは終了した。
こんなことがあっても私がカイン様との婚約を続けたいと思うのは、彼と初めて会った時のこともまた、私の中で強烈な印象として残っているからだった。
その後初めて行われた我が家での顔合わせで彼に言われた言葉は衝撃的すぎて、三年経った今でも忘れられない。
二人で庭園を見てくるといい、と両親たちに促され、そうして二人きりになった途端、彼はこう言い放った。
『こんなふうに君と婚約することになって、とても残念に思っている。私たちが結婚することはもう仕方ないが、お互いが嫌な思いをすることがないよう、なるべく君には近寄らないようにするから、君も気をつけてくれ』
……え? それって、私が近くにいるだけで不快だってことですか?
驚きすぎて思わずそんな言葉が口から飛び出しそうになったが、すんでのところでとどまった。
彼の短い赤茶の髪が風に揺れる。
感情を映さないグレーの目をどれだけ見つめても、なぜ彼がそんなことを言うのか、答えはわからなかった。
初めて会った時も思ったことだが、彼はあまり表情豊かな方ではない。それもあって、私はいっそう彼に冷たく突き放されたような感じがした。
彼の言動はとても失礼だし、腹立たしく思うけれど、かといって怒りのまま失礼な言葉を返してしまえば、関係が破綻するのはわかりきっている。
少なくとも私は彼のようにこの婚約を残念だとは思っていなかったし、二人きりになって初めてかけられたのがそんな言葉だったとしても、まだ彼との良好な関係を諦めたくはなかったのだ。
『……カイン様を不快な気持ちにさせないよう、重々気をつけたいと存じます』
私がなんとか返せたのは、そんな言葉だけだった。
私の反応が不満だったのか、彼は戸惑ったように顔をしかめると、ふいっと私から目を逸らした。
その後、彼が私と目を合わせることはなかった。
そして、その後は二人とも無言で庭園をぐるっとまわり、その日の顔合わせは終了した。
こんなことがあっても私がカイン様との婚約を続けたいと思うのは、彼と初めて会った時のこともまた、私の中で強烈な印象として残っているからだった。
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