【完結】取り柄は顔が良い事だけです

pino

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4章 まさかの目覚め!?

49.本屋の後は甘い時間

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 毎週土曜日のお決まりになった尚輝くんとのデート。今日は俺の提案で尚輝くんが普段行ってる所でデートしていた。
 そもそも俺は若者の事を勉強する為に尚輝くん達のような20歳の男とデートをしようと決めたんだ。
 好きだのゲイだの話が逸れたけど、ここでやっと原点に戻る事にした。


「本当に俺が良く行く場所でいいんですか?」

「全然良い♪てか行きたい♪」

「面白くないですよ?退屈しちゃうかも」

「それは俺が決めるから大丈夫♪」

「えー、嫌われないか不安だなぁ」


 嫌われるような場所ってどこよ?
 ちょっと面白かったけど、尚輝くんは真面目に言ってそうだだたから辞めておいた。

 まず尚輝くんが向かったのは本屋だった。そこそこ広い本屋で、本や雑誌以外にも文房具やCDなど、ちょっとしたおもちゃまで売っていた。
 

「ここの本屋にはたまに来るんです。いつもは大学の近くのを利用しています」

「へー、尚輝くん似合うね。何買うのー?」

「今日は買いません。でも少し見てもいいですか?ここ種類が多いので」

「いいよー♪俺付いてくね♪」


 さて、若者はどんな雑誌を読むのかな?
 小説かな?漫画かな?
 俺は全く本とか読まないけど、漫画とかなら読めるだろうし、何が流行ってるのか知っておいても損はないだろ。
 尚輝くんが向かった棚は経済系の難しい本が並ぶエリアだった。
 あの、俺にはちょっとハードル高いかな?


「やっぱりいつもの本屋さんよりたくさんあるー♪」

「良かったね。ゆっくり見ていいから」


 ちんぷんかんぷんな俺の横で目を輝かせている尚輝くん。かなり喜んでるみたいだけど、こういうのがたくさんあると嬉しいんだ?
 難しい本を読んでるのを知ると、本当に勉強してる学生なんだなぁって思うわ。


「じゃあお言葉に甘えて♪」


 そう言って尚輝くんは気になった本を取って中身を見ていた。たまに本棚に戻してまた違う本を取る。
 ひたすらその繰り返しで、隣でそれを見ている俺は、今何やってんだろー?って思っていた。

 その内尚輝くんは集中し出して、多分俺の存在忘れてるんじゃないかな?
 これなら楽なデートだからいいけど、尚輝くんにとっては勿体無いだろうな。
 もう30分近くもこうしているのに飽きた俺は尚輝くんの服の裾を引っ張って呼ぶ。


「尚輝くーん、気になるなら買えば?」

「あ!伊吹さん!ごめんなさいっ!」


 慌てて持っていた本を閉じて棚に戻す尚輝くん。
 いや、俺の方こそ邪魔しちゃってごめんね?って感じだよ。


「つまらなかったですよねっやっぱり俺の行きたい場所は辞めましょう!」

「つまらなくはないけど、本屋はもういいかな?他行こ?」

「そうですね!それじゃあ次行きましょう」


 うん、全く参考にならなかったな!
 たとえ俺が経済について詳しくなっても、そんな話をして誰が喜ぶのだろう?
 逆に面倒くせぇ金返せって言われそうだ。

 本屋を出た後、尚輝くんが向かったのは街の図書館だった……
 また本かよ……


「家での勉強に集中出来ない時とかに良く使うんです。でも今日は勉強はしないので中には入りません」

「あ、そうなの?」


 俺がホッとした顔をすると、尚輝くんはクスクス笑った。
 

「俺が勉強する場所は他にもあります。そこなら伊吹さんも心地良く過ごせると思いますよ」

「どこだろー?楽しみだなぁ」


 いや、勉強するのに楽しいなんて有り得ないだろ。また勉強かと内心はガッカリしてたけど、ニコニコして尚輝くんに付いて行く事にした。
 
 そして着いたのはチェーン店のカフェだった。なるほど~、俺も良く来るけど勉強してる学生とか見るもんな~。
 確かにここならコーヒーとか軽食とかあるからちょうどいいよな。


「少し休憩して行きましょう♪」

「わーい♪俺小腹空いたから何か食べたい。いい?」

「いいですよ。好きな物をどうぞ♪」


 俺はキャラメルラテといちごのショートケーキ、尚輝くんはホットコーヒーを注文した。
 店内は混んでいてほとんどの席が埋まっていた。


「あ、俺がいつも勉強で使ってる席は空いてます。こっちです」


 尚輝くんが向かった先は窓際のカウンター席だった。


「確かにここなら外しか見えないし、集中出来そうだな」


 俺と尚輝くんはカウンター席に隣同士で座った。
 俺がケーキを食ってると、尚輝くんは機嫌良さそうに見ていた。見られてると食いづらいじゃん。


「伊吹さんは甘い物がお好きなんですか?」

「好き♪ケーキはモンブラン意外なら何でもイケる♪」

「モンブランは苦手なんですか?」

「苦手だね、尚輝くんは甘いの嫌い?」

「あまり食べません。どちらかと言うと苦手ですね」

「そんな感じするわ、そんじゃあーんはしてやれないな♪」

「えっ!」


 俺がフォークにショートケーキを乗せて見せて、いつものようにふざけた感じでニシシと冗談を言うと、ショックを受けたような反応を見せる尚輝くん。
 そのままパクッと自分の口に入れて美味しそうに食べてると、一生懸命な顔して訴えて来た。


「い、今好きになりました!甘い物が食べたいです!」

「冗談だし無理すんなって~」

「冗談、なんですか?」

「うっ……」


 見て分かるぐらいにしょんぼりする20歳の尚輝くん。
 5歳も年下の子を騙してるみてぇで凄ぇ気分悪いじゃん!
 んでも感情の変化が可愛いなとか思ったり?

 しょうがねぇ!一回ぐらいなら!

 俺は空になったフォークにもう一度ショートケーキを乗せて尚輝くんに差し出した。


「吐き出したりするなよ?ほらあーん」

「伊吹さん♡あーん♡」


 今度は嬉しそうにキラキラした目でニッコリ笑って、あーんと口を開いて俺からのショートケーキをパクッと口に入れた。

 か、可愛いーじゃねぇか!
 なんつーの?年の離れた弟いたらこんな感じ?
 もー大分デカくなっちまったけど、大好きなお兄ちゃんに懐いて何でもして欲しがる甘えん坊な弟みてぇで何かいい!

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