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1章
※ あの二人が買って来ると思いますかー?
しおりを挟む※空side
自分の過ちを悔いている茜さんを見て俺はいつかの自分と重ねていた。
俺にだって後悔する事はたくさんある。
貴哉が桐原さんを選んで俺を振った時、何もかもがどうでも良くなって俺は初めて会った知らない男の人と寝た事がある。
その事を俺は何て馬鹿な事をしたんだととても後悔してるんだ。あの時、貴哉が止めてくれなかったらと思うと俺は恐ろしく思う。
状況や犯してしまった過ちは違うけど、後悔している気持ちは同じだ。
「茜さん、その後悔は無駄にはなりませんよ。だからこれからも笑顔でいて下さい」
「どういう事だ?」
「俺がそうだからです。俺にも後悔してる事があるんですけど、今はこうしてちゃんと好きな人といられてます♪諦めなければ悪い方にはいかないと思いますよ」
「秋山の事か。そうか、早川は今幸せなのか」
「はい!とても幸せです。貴哉とは今みたいに変な空気になる事はありますけど、お互い慣れっこなんでその内また普通に話し出すと思います。勿論仲良いのが一番ですけど、やっぱり違う人間なので完璧になんて無理ですもん」
本当に貴哉とはいろいろな事があった。
嫌な事もされたし、したし、喧嘩もたくさんした。だけど、やっぱり思い出すのは楽しい思い出ばかりだ。
きっと茜さんも同じなんだと思う。桃さんてはちゃめちゃな人だけど、本当に茜さんの事を愛していたのは見ていて分かったし、大切にしてたと思うんだ。やり過ぎな部分もあったけど……
良く本当に大切なものは失ってから気付くものとか言うけど、茜さんは正に今その状態だ。
「だから茜さんもマイナスには考えないで下さい。何より茜さんが辛そうにしてると貴哉が心配しますからね。それだと俺もまたモヤモヤしてしまうので」
「そうだな。秋山は本当に友達想いの良い奴だ」
「それと、茜さんは自分が思ってるより周りから愛されてますよ。だからもっと自分に自信を持って下さい。そうすれば次は大切なものを見失わなくて済むかもです」
俺が言えるのはこれぐらいかな。人に言えるような素敵な恋をした事は貴哉が初めてだから偉そうに言えないけど、茜さんよりは経験あるからな。
その点では先輩の俺からのアドバイスだった。
茜さんは俺の言葉をしっかり聞いて、最後は目を潤ませているように見えた。
本当に真っ直ぐな人だな。
多分こうやって俺に悩んでる事を打ち明けるのもやっとだったんじゃないかな。あの一番仲のいい貴哉にでさえ話してないんだもんな。
ここで勝手にどこかへ消えた筈の一条さんが両手に軽食をいっぱい抱えて戻って来た。
「あー!空くんが茜ちゃん泣かしてるー!」
「人聞きの悪い……それよりもどこに行ってたんですか。またそんなに買って」
一条さんに茶化されたから呆れながら聞くと、両手に持っていた軽食をテーブルに置いて、空いてる椅子に座った。
一条さんが買って来た軽食は、王道のポップコーン。匂いと色的にキャラメルか。それと長い串にイチゴが五個刺さってるイチゴ飴。そしてキャラクターの形をした人形焼。更に照り焼きチキンが挟まったサンドイッチもあった。
「さっき茜ちゃんと食べたポップコーンが忘れられなくて探してたら違う味が売ってたんだよ♪それとイチゴ飴~と人形焼~♪可愛いでしょー?甘いのばっかりじゃつまらないと思ったからしょっぱいのも買って来たよー」
さも満足気にどうぞと両手を広げて俺達に勧めて来る。俺は遠慮なくポップコーンを摘んだ。
「いただきまーす」
「ところで空くんの機嫌は直ったみたいだね♪良かった良かった~」
「何の事ですか?あ、茜さん、この人形焼美味しいですよ」
一条さんの言う事を軽く流して茜さんに人形焼を差し出すと、苦笑いしながら一個手に取ってくれた。
でも一条さんの言う通りもう帰る気はなくなっていた。
双葉くんとは気まずいけど、貴哉と喧嘩をした訳じゃないから堂々としてようと思った。
てか俺悪くねぇし。
「それじゃあ貴ちゃん達と合流する?」
「そうだな。向こうも落ち着いてるといいが」
「一条さん、人形焼食べたら喉が渇きました」
「あらあらうちの空くんは随分ワガママになったものだね~。それなら貴ちゃん達に買って来て貰おう♪」
「あの二人が買って来ると思いますかー?」
「買って来るでしょ。買って来なかったら俺が二人共怒ってあげるよ。だって今日の空くんめちゃくちゃ頑張ってたじゃん?年上のお兄さん頑張ったで賞貰わなくちゃ♪」
「俺からも怒ろう。秋山もところどころで気を使っていたみたいだけど、少し浅野に甘いからな」
「一条さんっ茜さんっ!ありがとうございますっ!」
二人からそんな事を言われると思わなくて俺は素直に感動していた。
やっぱこの二人良い人だー!貴哉が認めるだけはある!俺もこの二人だけは大事にしよ!
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