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6章
クリスマスプレゼントちょーだい♡
しおりを挟む桃山はどんどん俺達に近付いて来て目の前でピタッと止まった。やっぱり俺達に用があったのか。
そして桃山は薄く笑いながら俺と空の繋がれた手を見て言った。
「本当にくっ付いたんだ~?やるな空~」
「どうも」
「何だよ桃山、何か用か?」
いつものように話し始める桃山だけど、わざわざお祝いを言いに来たってのか?嫌な感じのしない笑顔だけど、こいつがいると何かあるんじゃないかって思っちまうよな。
「なぁ、これっていーくんは知ってるのか?」
桃山から伊織の名前が出て俺はドキっとする。もちろん俺からは言ってないから伊織は知らない。他の誰かが言ってたら分からないけど。
「俺からは話してねぇよ。あいつが帰って来たらちゃんと話すつもりだ」
「そうなんだぁ」
ずっと変わらない薄い笑顔のままの桃山は今度は俺の隣にいた空を見た。
「安心しろよ。別に俺はいーくんだろうが空だろうが貴哉が誰と付き合ってもいいと思ってるよ。でも三番目として何も言われてねぇのに腹立ってるだけ」
ここで桃山はニッコリ笑った。
表情は笑顔だけど、目は笑ってない。
こいつまだ三番目とか言ってんのかよ。
確かに桃山にはいろいろしてもらって世話になってるけどよ。でも、あの時の事は空は何も知らねぇんだ。あまりその話をしないで欲しい。
「桃山、言わなかったのは悪かったよ。俺、空と真剣に付き合うから」
「何で桃さんに言わなくちゃいけないんですか?桐原さんにならともかく、桃さんにはあまり関係なくないですか?」
「言ってくれるね空~!暫定一位になった余裕ってやつ~?」
何も知らない空が最もな事を聞くと、桃山は楽しそうに笑いながら腰に右手を当てて空を見下すように見て来た。
「暫定って、貴哉の相手に他なんていません!変な事言わないで下さいよ」
「なら宣戦布告しちゃおっかな~?俺も貴哉を本気で落とす!そんで空てめぇを王者の座から引き摺り降ろしてやんよ」
「はぁ!?何言ってるんですか貴方!」
「桃山!落ち着け!お前は永遠の三番目でいてくれ!」
桃山節が始まって止めるに止められなくなって来たから俺は慌てて桃山に近寄って目で合図を送る。
頼むから空の機嫌が悪くなる前にやめてくれー!
「おっと♡貴哉ってば上目遣いで見て来るとか、早速俺のが良くなっちゃった?♡」
「馬鹿野郎!今すぐ黙れって言ってんだ!」
「貴哉行こう!桃さんの悪ふざけに付き合ってる時間が惜しい!」
「まぁ今日は見逃してやんよ。せいぜい最後のデート楽しんで来いや」
俺と空はそそくさと桃山の横を通り過ぎてチャラ男号まで急ぐ。
途中で桃山が長い腕を伸ばして俺の腕を掴んでグイッと引かれた。俺は引き寄せられまいと踏ん張るけど、あっという間に桃山の目の前に連れて来させられた。こいつ!なんつー力出してんだ!
「待って。クリスマスプレゼントちょーだい♡」
「何言って……んん!?」
目を細めてフワッと優しく笑って顔を近付けて来てそのままキスをしてくる桃山。
んがっ!?!?んなっ!?!?はぁぁぁ!?
こいつとんでもねぇ事しやがった!!
空の目の前って以前にここは学校だ!!
しかもキスする前の顔かっこ良過ぎてちょっとときめいちゃったし!!
俺の前でだけでもマスクしててくんねぇかな!!
いや、それよりも今は空をどうにかしなきゃ!!
あーもう訳分かんねぇ!!
俺が軽くパニクってると、空が俺を後ろから抱き抱えて桃山から遠ざけた。横にあった空の横顔は怒っているようなそんな顔で、俺は思わず冷や汗が出る。
「良い加減にして下さい!俺の貴哉に手出さないで下さい!」
うわ、こいつ桃山相手にすげぇじゃん。
やっぱり空の事好きだわ。めちゃくちゃかっけぇよ。
でも、空じゃ桃山には勝てねぇ。俺でも無理だもん。だから桃山がキレる前に二人を離さないくちゃならない。
「言うじゃん♪お前が俺の相手してくれんのかぁ?あ?空ぁ?」
「しませんよ。貴哉行こう!」
かなり怒ってる空さんは、俺の肩を抱き抱えたまま桃山から離れようとする。
よし、俺も空の事好きだってアピールすっか!
「おうっ!あ桃山!お前の事は好きだけど、やっぱ俺は空が一番だから♪だからもうこういうのはやめろ。次やったら口聞いてやんねぇからな♪」
「上等じゃねぇかクソガキ共♪キャハハ!まじお前ら最高~」
俺の言う事に桃山は笑ってフラフラといなくなった。
本当は桃山にはいろいろ世話になって感謝してるからあまり邪険にはしたくねぇ。だから少し優しい言い方になっちまったけど、空は分かってくれっかな?
これでへそ曲げられたら面倒なんだけどな~。
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