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8章
そんなんじゃ俺と喧嘩しても負けちまうぞ?
しおりを挟む元旦の日に楓と公園のベンチに座ってる俺。何となくだけど、時間がゆっくり流れてる気がした。
ちゃんと話を付けなくちゃとは思ったけど、いざそうなると何から話せばいいんだろってなる。
楓には何でも話せると思ってたのに、一度楓とは告白が原因で大きな喧嘩をしたからこの話題は苦手だった。今思えば楓はあえて避けてたのかも知れねぇな。また俺と話が出来なくなるの分かってて気持ちを押し殺してたのかも。そんで俺も気付かない振りしてたんじゃねぇの?いや、思い当たる節はあったよ、でもさ、楓といると楽しいからそれを壊すのが嫌だったんだよ。
俺の気持ちを察してか、楓は優しい笑顔のまま話し始めた。
「貴哉、そんな深刻に考えないで聞いて欲しい。確かに俺は恋の言う通りお前の事を今でも想ってるよ。でも、お前とどうこうなりたいって訳じゃない。一度フラれてるんだ、俺が馬鹿じゃないの分かってるだろ?」
「その想いって、友達としてじゃねぇんだろ?」
「正直に言うと、半々かな。今は友達として側にいたい気持ちのが大きいよ」
「本当か?」
「本当だ」
「俺もお前とはこれからも仲良くしていきてぇんだよ。学校は離れちゃったけど、やっぱり楓は楓だし、お前といると楽しいんだ」
「貴哉」
「でも、俺のお前に対する気持ちはお前とは違う。友達としてがほとんどなんだ。だから、お前のその半々が俺と同じぐらいになるまでは距離を置いた方がいいと思う」
「……待てって、俺は大丈夫だぜ?この前飲んだ勢いでしたのを気にしてるなら絶対にもうしない。現に俺は恋と寄りを戻したんだ。貴哉だって早川がいるし、それじゃダメなのか?」
「じゃあ目を見て俺の事、友達としか見れないって言えるか?」
「…………」
ここで楓の笑顔が消えた。
やっぱり笑顔の楓は偽りだったんだ。
俺とまた友達をやる為にずっと作ってたんだ。
そう思ったら俺は、楓に対して怒りよりも申し訳ない気持ちが大きくなった。
「楓、ごめん。今までずっと、辛かったよな。楓はずっと俺の事好きでいてくれたのに、調子に乗ってその気にさせるような事いっぱいしちゃってごめん」
「謝るな!俺は何も後悔なんてしてない!貴哉、お前とまたこうして話せるようになっただけでも十分なんだ。本当だ。だから、もう好きなのは辞めるから、離れないでくれっ」
とても辛そうな今にも泣き出しそうな楓の顔。こいつのそんな顔見た事ねぇよ。
俺だって楓とはこれからもずっと友達でいたいよ。でもさ、それはお互いの為にならねぇんじゃねぇの?どんなに仲良くしても、楓が俺と同じ気持ちで俺の事を見れないと、多分また俺は楓に甘えちまう。
そしたら恋の事も傷付けちゃうじゃん。
「楓、やっぱり距離おこう。友達辞める訳じゃねぇんだ。また落ち着いたら話そうぜ」
「嫌だっ」
「嫌だって、楓らしくねぇな。そんなんじゃ恋にまた怒られちゃうぜ?」
「怒られたっていい。恋に何と言われようが、お前を失うぐらいなら俺は……お前の為ならどんな悪にでもなる」
「それじゃダメなんだって。ハッキリ言うぞ?俺は空の事が好きだ。だから楓の気持ちに応えてやる事は出来ない」
「それでもいいから、距離置くとか言わないでくれよっ」
「楓……」
こんなに縋るような楓は初めて見る。
楓はいつも余裕ある感じで、一言で言えばクール。何でも涼しい顔してこなしちゃうようなモテ男だ。そんな楓のこんな姿、俺は知らない。
でもこれも楓の一部なんだよな。
いつも俺を助けてくれる頼もしい相棒だ。
俺はそんな楓を突き放す事はできなかった。
せっかく階段を登ろうとして結局立ち止まってしまう俺。
伊織がいたら笑われてたかな。
「分かったよ。ただし、俺はお前の事を友達としか見ない。これは絶対だ。お前も恋とちゃんと向き合え。それが出来ないなら……」
「出来る!やる!その先は言わないでくれ」
「ん。もー!しっかりしろ!そんなんじゃ俺と喧嘩しても負けちまうぞ?」
楓とは直接やり合った事はないけど、他の奴らと喧嘩をする時は相棒として側で見てたけど、かなり強い。俺よりも全然な。唯一桃山と互角にやり合えるんじゃねぇのって思える男だ。
そんな楓しか俺は知らなかったから、今の弱ってる楓は見ていたくない。
楓には俺の前では堂々としてもらいたい。たまに弱音吐くぐらいなら聞いてやるけど、俺の中での楓を壊して欲しくないと思った。
頼むからいつまでも優しくてかっこいい頼れる相棒でいてくれ。
楓は俺にとって一番の親友なんだから。
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