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1章 金の無い客
7.心打たれる告白
しおりを挟む俺はベッドに上がって、着てたTシャツを脱いで朱里の頭を掴んで自分の乳首を口元に持って行く。
俺の行動に、びっくりしたのか朱里が戸惑ってるのが分かった。初々しい反応しやがって、初めてだとでも言うのか?
「どうした?舐めろよ。夢にまで見たルナくんのおっぱいだぞ?」
「え、あの……でも……」
「何だよ?」
「ルナくんのおっぱい舐めたいよ?でも、そんな事をしたら俺……止まらなくなっちゃうよ」
俺の胸元でそんな事を言いながら上目遣いで見て来る朱里。その顔がめちゃくちゃかっこよくて俺は何も言わずにキスをした。
俺のが止まらねぇよ。久々のイケメンだから興奮してんのかな。犯される側でもいいかと思えてしまう。
「ん……んんっ」
「……いいよ止まらなくて。その代わりめちゃくちゃにしてくれ♡」
「ルナくんっ!」
「朱里♡」
唇を離して俺が目一杯甘い声で言うと、朱里にスイッチが入ったかのように、俺をヒョイっと持ち上げてベッドに寝かせた。
見かけに寄らず力あるのな。ちょっと怖かったぜ?
そして俺の上に跨り、真剣な表情で真っ直ぐに俺を見て来た。
綺麗なその顔に俺はドキドキしていた。
「ルナくん、本当にいいの?」
「ああ」
「俺、お風呂入ってないよ?」
「いい。俺もだ」
「歯も磨いてないよ?」
「俺もだっての」
「本当にお金も無いんだ」
「分かってる。金はいらん」
「それに俺は……」
「テメェいい加減にしろ!ごちゃごちゃ言ってねぇでさっさと始めろや!」
ずっと続くダラダラした会話に終止符を打つかのように怒鳴ると、朱里は驚いた顔をした後、俺を上からギューっと抱きしめて耳元で弱々しく言った。
「ご、ごめん……最後にいいかな?俺、初めてだから満足させてあげられないかも……」
「……はぁ!?お前童貞か!?」
初めてってそう言う事だよな?
え、この顔面で童貞とか何で?
ハッ!まさか整形したとか?元ブスで、だから俺も前に会ったの分からなかったとか!?
「童貞です!ごめんなさい!」
「いや、別に謝らなくていいけどよ……え、待って?何で童貞なの?今まで誰かと付き合ったりした事は?」
普通に気になったから聞いてみた。
すると更に俺を強く抱き締めて来た。
「ない。その、俺って理想が高いみたいで……好きな人は出来るんだけど、いつも自分の手には届かないような人だったり、相手にされないような人だったりなんだ」
「でもその顔なら好きだって言われたりするだろ?その中にはタイプがいなかったのかよ」
「いなかったよ。自分から好きになった人とじゃないと嫌だから……」
ほー、こんなイケメンもいるんだな。
普通の男なら告白でもされりゃちょっと可愛いかったりすればとりあえず付き合ったりするもんじゃね?
それでこの歳まで経験人数0とか天然記念物かよ。
「ふーん。それじゃあさ、俺とヤッちゃっていいのかよ?大事な童貞捨てる事になるぞ」
「いいです。俺の好きな人はルナくんだから」
「お前……言っとくけど、俺には他に好きな奴いるんだぜ?付き合うとか出来ねぇよ?」
「いいよ!それでも俺はルナくんの事が好きなんだ!ルナくんがその人と結ばれても俺はずっと好きでいると思うから……」
はて、この片想いイケメンをどうするべきか。
いや、ヤッてもいいんだよ?客から告白とか初めてじゃねぇし、いつもなら気にせずにヤッて金貰っておさらばしてたよ?
でも朱里からの告白は心打たれる物があったんだ。本当にこのまましてもいいのか、その迷いは金が発生しないセックスだからとかじゃねぇ。朱里の事を傷付けるんじゃないかって思ったからだ。
もしこれで朱里が傷付くのなら俺は……
なんか嫌だったんだ。
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