【完結】取り柄はズル賢い事だけです

pino

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3章 次の嫁はお前に決めた

17.ゲジ眉男

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 少しだけ見覚えのある免許証に写る男に、俺は一生懸命に記憶を辿った。確かそう遠く無い記憶だ。一年たたないぐらいじゃないか?
 初回1時間の客。どこで売ってんのってぐらいのダセェメガネ。お洒落とは無縁のクソダセェ男。
 名前は花森朱里……

「お、俺の名前女の子みたいでしょ?」
「あ?んな事ねぇよ。かっけぇじゃん」

 あ、思い出したかも!
 ふと蘇ったゲジ眉男との会話に、今目の前にいる朱里を見て閃いた顔をする。イケメンになった朱里はそんな俺を見てニコニコ笑っていた。

 あれは一年前ぐらいか、店でたまにやる初回限定割引のイベントがある。そん時は忙しくて入った予約をこなすのがやっとだったんだけど、その時に「花森朱里」がいたんだ。
 

「その感じだと思い出してくれた!?」

「ああ、初回限定割引で予約入れたゲジ眉男だろ。何を話したとかは覚えてねぇけど、こんな奴いたのは思い出した。はは、俺の事安く買いやがって」

「それはごめんね!本当にあの時はお金が無くて!いや、あの後も貧乏なんだけど……」

「新卒で就職したんなら仕方ねぇんじゃん。でも今は何でそんな金ねぇんだ?新人とは言え大手企業なんだろ?お前そんな金遣い荒いのか?」

「前にも言った通りいろいろ出費が重なりまして……」

「結婚式か?そんなの毎月ある訳じゃねぇだろ。どんなけダチいんだよお前」

「それだけじゃないよ。ルナくんとのデートの後に、アドバイスされた通りコンタクトにしたんだ。そしたら周りからの対応が変わって、仕事も上手くいくようになったんだ。それから髪も切ったりいろいろ改善してみた。定期的に皮膚科に通って肌の手入れをしてみたり、服とかも買ってみたり。ルナくんには地味だって言われちゃったけどね」

 
 えへへと笑う朱里に俺は全てが繋がった気がして呆れていた。なんだよ、そういう事かよ。
 俺が会ったのも覚えてないぐらい、ここまで変わったのはこいつなりの努力って訳か。自分磨きしてたから金が無いのか。
 ふーん、面白いじゃん♪


「お前、ますます気に入った♪服装はまだまだだけど、顔面とスタイルは合格な♪」

「嬉しい~♪あ、それじゃあ今日はルナくん好みのお店に連れてって?俺に似合う服装教えて♪」

「いいけど、金持ってんの?俺が行くとこ高ぇぞ」

「この日の為に貯金おろして来ました!」

「おー、やる気あんじゃん♪そんじゃ連れてってやるから付いて来い♪」


 一応俺とのデートで金は用意してたらしいな。
 結局自分の服買う事になったけど、面白そうだしこういうデートも悪くねぇか。
 こうなったら好青年イケメンの朱里を俺仕様に変えてやる。
 俺は一つ楽しみが出来た気がした。


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