18 / 38
3章 次の嫁はお前に決めた
17.ゲジ眉男
しおりを挟む少しだけ見覚えのある免許証に写る男に、俺は一生懸命に記憶を辿った。確かそう遠く無い記憶だ。一年たたないぐらいじゃないか?
初回1時間の客。どこで売ってんのってぐらいのダセェメガネ。お洒落とは無縁のクソダセェ男。
名前は花森朱里……
「お、俺の名前女の子みたいでしょ?」
「あ?んな事ねぇよ。かっけぇじゃん」
あ、思い出したかも!
ふと蘇ったゲジ眉男との会話に、今目の前にいる朱里を見て閃いた顔をする。イケメンになった朱里はそんな俺を見てニコニコ笑っていた。
あれは一年前ぐらいか、店でたまにやる初回限定割引のイベントがある。そん時は忙しくて入った予約をこなすのがやっとだったんだけど、その時に「花森朱里」がいたんだ。
「その感じだと思い出してくれた!?」
「ああ、初回限定割引で予約入れたゲジ眉男だろ。何を話したとかは覚えてねぇけど、こんな奴いたのは思い出した。はは、俺の事安く買いやがって」
「それはごめんね!本当にあの時はお金が無くて!いや、あの後も貧乏なんだけど……」
「新卒で就職したんなら仕方ねぇんじゃん。でも今は何でそんな金ねぇんだ?新人とは言え大手企業なんだろ?お前そんな金遣い荒いのか?」
「前にも言った通りいろいろ出費が重なりまして……」
「結婚式か?そんなの毎月ある訳じゃねぇだろ。どんなけダチいんだよお前」
「それだけじゃないよ。ルナくんとのデートの後に、アドバイスされた通りコンタクトにしたんだ。そしたら周りからの対応が変わって、仕事も上手くいくようになったんだ。それから髪も切ったりいろいろ改善してみた。定期的に皮膚科に通って肌の手入れをしてみたり、服とかも買ってみたり。ルナくんには地味だって言われちゃったけどね」
えへへと笑う朱里に俺は全てが繋がった気がして呆れていた。なんだよ、そういう事かよ。
俺が会ったのも覚えてないぐらい、ここまで変わったのはこいつなりの努力って訳か。自分磨きしてたから金が無いのか。
ふーん、面白いじゃん♪
「お前、ますます気に入った♪服装はまだまだだけど、顔面とスタイルは合格な♪」
「嬉しい~♪あ、それじゃあ今日はルナくん好みのお店に連れてって?俺に似合う服装教えて♪」
「いいけど、金持ってんの?俺が行くとこ高ぇぞ」
「この日の為に貯金おろして来ました!」
「おー、やる気あんじゃん♪そんじゃ連れてってやるから付いて来い♪」
一応俺とのデートで金は用意してたらしいな。
結局自分の服買う事になったけど、面白そうだしこういうデートも悪くねぇか。
こうなったら好青年イケメンの朱里を俺仕様に変えてやる。
俺は一つ楽しみが出来た気がした。
0
あなたにおすすめの小説
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした
リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。
仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!
原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!
だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。
「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」
死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?
原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に!
見どころ
・転生
・主従
・推しである原作悪役に溺愛される
・前世の経験と知識を活かす
・政治的な駆け引きとバトル要素(少し)
・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程)
・黒猫もふもふ
番外編では。
・もふもふ獣人化
・切ない裏側
・少年時代
などなど
最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。
僕の恋人は、超イケメン!!
刃
BL
僕は、普通の高校2年生。そんな僕にある日恋人ができた!それは超イケメンのモテモテ男子、あまりにもモテるため女の子に嫌気をさして、偽者の恋人同士になってほしいとお願いされる。最初は、嘘から始まった恋人ごっこがだんだん本気になっていく。お互いに本気になっていくが・・・二人とも、どうすれば良いのかわからない。この後、僕たちはどうなって行くのかな?
オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる
クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。
三ヶ月だけの恋人
perari
BL
仁野(にの)は人違いで殴ってしまった。
殴った相手は――学年の先輩で、学内で知らぬ者はいない医学部の天才。
しかも、ずっと密かに想いを寄せていた松田(まつだ)先輩だった。
罪悪感にかられた仁野は、謝罪の気持ちとして松田の提案を受け入れた。
それは「三ヶ月だけ恋人として付き合う」という、まさかの提案だった――。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる