【完結】取り柄はズル賢い事だけです

pino

文字の大きさ
31 / 38
4章 俺も初体験

30.こいつとなら

しおりを挟む

 朱里とのセックスの後、ベッドでぐったり横たわる朱里の疲れた顔を肘をつきながらジーッと見ていた。
 うん、ガチ童貞だったな。終始不慣れな感じでもどかしいったりゃありゃしない。それでも俺に触れる時はすげぇ優しくて、俺の様子をいちいち気にしたり、傷付けないようにって言うのがめちゃくちゃ伝わって来た。

 総合的な感想は、最高に良かった♡

 どんな大金を積まれるセックスよりも興奮したし、度肝抜く様なテクニックのあるセックスよりも感じる事が出来た気がする。
 そうなんだ、朱里とのセックスは終始ドキドキしっぱなしだったんだ。性行為にドキドキって何?って感じだったけど、多分これが本当に好きな奴とするって事なんだろうな。

 愛のないセックスばかりして来た俺こそ童貞かもなとか思う。
 まさか朱里に本当のセックスを教えてもらえるなんておかしくて笑えるわ。

 苦しそうな顔をして息を整える朱里を見ながらそんな事を考えてると、いきなり目が開いて俺を見て来た。わお、イケメーン。

 
「ハッ!!」

「どうした?まだ朝じゃないぞ?」


 俺は体勢をそのままに何故か慌ててる朱里のほっぺをツンツンしながら聞くと、ガバッと起き上がって俺の体の心配をし始めた。


「千くん体大丈夫?痛くなかった?」

「平気♡だって優しくしてくれたじゃん」

「良かったぁ~!あ、シャワー行く?中で出しちゃったから気持ち悪いよね?」

「何でそう言うとこだけ慣れてそうなんだよ」


 ゴムやローションもだけど、こいつにはちょくちょく驚かされるわ。
 俺が突っ込むと、恥ずかしそうに答えた。


「し、調べたからです!後処理も行為の大切な一部だって!」

「あはは♪紳士~♪別に自分でやるからいいって。それよりもお前はもう寝な?明日早いんだろ?ちゃんと起こしてやっから」

「本当?実はもう限界で……」


 ヘナヘナ~っと再びベッドに横たわる朱里。うん。お前頑張ってたもんな。大変な仕事して来た後に俺と会って飯食ってボロクソに言われて初めてのセックスしてくれて。

 いつも朱里は金が~とか仕事が~とか言って俺を苛つかせるけど、本当は俺と過ごす為にちゃんと考えてるんだって知ってるんだ。
 働いて稼がないと俺と過ごせないし、金がないと美味い飯や旅行にだって行けないもんな。

 朱里はケチとかそう言うんじゃないんだ。
 いつも先を考えて行動してる、そんな男。
 俺との関係をこの先ずっとずーっと後の事まで考えてるから、今散財したりしないように欲に負けずに制御してるんだ。
 だけど、我慢出来ずにちょこっと俺に会いに予約したり、俺の意見に流されて慌てたりしちゃうんだよな。
 お前のそういうとこちゃんと分かってるよ。
 ありがとな朱里。

 ゴロンと寝返りを打って俺の横にピトッと張り付いて来る朱里。既に寝息が聞こえて来てとても愛おしく感じた。

 そんな朱里にキスをして優しく抱き締める。


「絶対に離さないからな。だからお前も俺から離れるなよ……」


 完全に寝たのか返事は無かったけど、俺は満足だった。

 俺はこんな性格だし、これからも朱里に無茶な事を言って困らせるだろう。だけど朱里のしつこい俺愛は認めてんだ。
 俺からの重い愛を受け止められるのも朱里ぐらいだろ。

 俺と会って変わったのはお前だけじゃねぇよ。
 俺もお前と再会して変わったよ。
 こんな気持ちにさせてくれて感謝してる。

 俺は愛おしい恋人の寝顔にキスをしてベッドから出てシャワーを浴びに風呂場へ向かう。
 その足取りはどんなセックスをした後よりも軽かった。
 
 朱里、近い将来俺の嫁にしてやるからな♡




✳︎✳︎✳︎完✳︎✳︎✳︎


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

僕の恋人は、超イケメン!!

BL
僕は、普通の高校2年生。そんな僕にある日恋人ができた!それは超イケメンのモテモテ男子、あまりにもモテるため女の子に嫌気をさして、偽者の恋人同士になってほしいとお願いされる。最初は、嘘から始まった恋人ごっこがだんだん本気になっていく。お互いに本気になっていくが・・・二人とも、どうすれば良いのかわからない。この後、僕たちはどうなって行くのかな?

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる

クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

目撃者、モブ

みけねこ
BL
平凡で生きてきた一般人主人公、ところがある日学園の催し物で事件が起き……⁈

処理中です...