ざまぁされるのが確実なヒロインに転生したので、地味に目立たず過ごそうと思います

真理亜

文字の大きさ
2 / 16

しおりを挟む
 入学式のイベントは無事回避した。

 第2王子のマリク殿下とも会わなかった。これで一安心...と、思っていたら...

「あっ! 痛っ!」

「オーッホホホッ! あ~ら、ごめんあそばせ。長い足が絡まってしまいましたわ。でもそうやって地べたを這ってる方が、卑しい身分のあなたにはお似合いでしてよ? ずっとそうしていらしたら? オーッホホホッ!」

 おかしい。なんで私は廊下ですれ違い様に足を引っ掛けるなんてベタな虐めを受けてる!? 悪役令嬢がホントに虐めてたらダメじゃん! 何やってんの!? ストーリー変わっちゃうよ!?

 しかも今時「オーッホホホッ」って、昭和かよ...今はもう令和だぞ...しかしなんで第2王子ルートの悪役令嬢である公爵令嬢のエレノアが私に絡んでくるんだ!? マリク殿下と私には何の接点も無いのに。

 さっぱり分からん! 何がどうなっているんだ!? 誰か教えて欲しい!

「はぁ...」

 私はクラスの自分の机に着いてため息を吐く。机には「淫売」だの「娼婦」だの「売女」だの落書きされている。教科書もノートもビリビリに引き裂かれている。これはあれか? 私が平民の分際でマリク殿下を誘惑してるとか思い込んでる? いやいや、有り得ないから!

 クラスのあちこちから私の陰口を囁く声、嘲笑う声が聞こえて来る。四面楚歌というのはこういう状態のことを言うんだろうなぁ...なんて他人事みたいに思っていた。
 
 その後も陰湿な虐めは続いた。足を引っ掛けられるのは日常茶飯事で、エレノアのみならず、その取り巻きも仕掛けて来るので、私は体中が傷だらけだ。

 教科書はもう何冊もダメにされた。何度も購買に買いに行くので、売り子のおばちゃんに不審がられてる。クラスでは完全にハブられてて友達なんか一人も居ない。

 こんな状況、普通の人ならとっくに心が折れてるだろう。だが私は折れない。その理由は一重に、

 首チョンパされるよりはマシだからだ。

 死ぬより辛いような状況でも本当に死ぬよりは遥かにマシだ。耐えていればその内に誤解は解けるだろう。なにせ私とマリク殿下とはクラスが違う。顔を合わせたことも無ければ会話を交わしたことも無いのだから。

 そんな毎日が続いていたある日、私は昼食を取るために人気の無い中庭のベンチに腰掛けていた。最初は学食で食べていたんだけど、トレイに料理を載せて歩いているところに足を掛けられ、料理をぶちまけてしまってからは、購買でパンを買って一人で食べるようにしている。あれは危なかった。危うく大火傷するところだったから。

 パンをちぎって鳩にエサを上げながらのんびり過ごしていると、不意に人の気配がした。気付いた時には5、6人の女子生徒に囲まれていた。エレノアの取り巻きどもだ。ニヤニヤと下卑た嗤いを浮かべながら近付いて来る。

 人気の無い所に居た私を見付けて、甚振ってやろうという魂胆なんだろう。まず二人が私の両腕をホールドして、残りの三人が殴る蹴ると暴力を振るう。私は奥歯を噛み締め耐える。意識が飛びそうになった時だった。

「何をしている!」

 誰かの声が響き渡った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

絞首刑まっしぐらの『醜い悪役令嬢』が『美しい聖女』と呼ばれるようになるまでの24時間

夕景あき
ファンタジー
ガリガリに痩せて肌も髪もボロボロの『醜い悪役令嬢』と呼ばれたオリビアは、ある日婚約者であるトムス王子と義妹のアイラの会話を聞いてしまう。義妹はオリビアが放火犯だとトムス王子に訴え、トムス王子はそれを信じオリビアを明日の卒業パーティーで断罪して婚約破棄するという。 卒業パーティーまで、残り時間は24時間!! 果たしてオリビアは放火犯の冤罪で断罪され絞首刑となる運命から、逃れることが出来るのか!?

【完結】婚約者はお譲りします!転生悪役令嬢は世界を救いたい!

白雨 音
恋愛
公爵令嬢アラベラは、階段から転落した際、前世を思い出し、 この世界が、前世で好きだった乙女ゲームの世界に似ている事に気付いた。 自分に与えられた役は《悪役令嬢》、このままでは破滅だが、避ける事は出来ない。 ゲームのヒロインは、聖女となり世界を救う《予言》をするのだが、 それは、白竜への生贄として《アラベラ》を捧げる事だった___ 「この世界を救う為、悪役令嬢に徹するわ!」と決めたアラベラは、 トゥルーエンドを目指し、ゲーム通りに進めようと、日々奮闘! そんな彼女を見つめるのは…? 異世界転生:恋愛 (※婚約者の王子とは結ばれません) 《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆

私はざまぁされた悪役令嬢。……ってなんだか違う!

杵島 灯
恋愛
王子様から「お前と婚約破棄する!」と言われちゃいました。 彼の隣には幼馴染がちゃっかりおさまっています。 さあ、私どうしよう?  とにかく処刑を避けるためにとっさの行動に出たら、なんか変なことになっちゃった……。 小説家になろう、カクヨムにも投稿中。

王子好きすぎ拗らせ転生悪役令嬢は、王子の溺愛に気づかない

エヌ
恋愛
私の前世の記憶によると、どうやら私は悪役令嬢ポジションにいるらしい 最後はもしかしたら全財産を失ってどこかに飛ばされるかもしれない。 でも大好きな王子には、幸せになってほしいと思う。

転生したら、乙女ゲームの悪役令嬢だったので現実逃避を始めます

山見月あいまゆ
恋愛
私が前世を思い出したのは前世のことに興味を持った時だった 「えっ!前世って前の人生のことなの。私の前の人生はなんだろう?早く思い出したい」 そう思った時すべてを思い出した。 ここは乙女ゲームの世界 そして私は悪役令嬢セリーナ・グランチェスタ 私の人生の結末はハーッピーエンドなんて喜ばしいものじゃない バットエンド処刑されて終わりなのだ こんなことを思い出すなら前世を思い出したくなかった さっき言ったこととは真逆のことを思うのだった…

悪役令嬢に転生したら手遅れだったけど悪くない

おこめ
恋愛
アイリーン・バルケスは断罪の場で記憶を取り戻した。 どうせならもっと早く思い出せたら良かったのに! あれ、でも意外と悪くないかも! 断罪され婚約破棄された令嬢のその後の日常。 ※うりぼう名義の「悪役令嬢婚約破棄諸々」に掲載していたものと同じものです。

悪役令嬢、魔法使いになる

Na20
恋愛
前世で病弱だった私は死んだ。 私は死ぬ間際に願った。 もしも生まれ変われるのなら、健康で丈夫な身体がほしいと。それに魔法が使えたらいいのにと。 そしてその願いは叶えられた。 小説に登場する悪役令嬢として。 本来婚約者になる王子などこれっぽっちも興味はない。せっかく手に入れた二度目の人生。私は好きなように生きるのだ。 私、魔法使いになります! ※ご都合主義、設定ゆるいです ※小説家になろう様にも掲載しています

断罪が行われないってどういうこと!?~一分前に前世を思い出した悪役令嬢は原作のトンデモ展開についていけない

リオン(未完系。)
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生している、そう気が付いたのは断罪が行われる一分前。 もうだめだと諦めるエリザベスだが、事態は予想もしていない展開へと転がっていく…?

処理中です...