我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!

真理亜

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「お嬢様、お客様です」

 お茶を入れに行っていたハンスが、戻って来るなりそう言った。

「お客? 誰?」

「パトリック殿です」

「えっ!? パトリックが!?」

 なんだろう? まさか返事を催促しに来たとかじゃないよね? まだアランによる身元調査が終わってない段階じゃ答えようが無いんだけど...

「分かったわ。通して頂戴」

「畏まりました」

 だからと言って追い返す訳にもいかない。取り敢えず会ってみることにした。

「アンリエット、申し訳ない...」

 やって来たパトリックはなぜか開口一番、謝罪から入って来た。

「え~と...ゴメン、なんのための謝罪か分かんない。一体なにがどうしたって言うの?」

「バカな弟の件だ...」

「あぁ、そのことね...」

 わざわざそのために来たっていうのか。律儀な人だな。

「別にいいわよ。気にしてないし。ウィリアムのクズっ振りを自分の目で確認できて良かったと思えたくらいよ」

「そう言って貰えると助かる...本当にアイツはどうしようもないロクデナシに育ってしまって...」

「あなたも大変ねぇ...」

「あぁ、もう何度アイツの尻拭いで頭を下げたことか...」

 パトリックは遠い目をしながらそう言った。そんなパトリックに言うのは非常に心苦しいが、

「パトリック、ちょいちょい」

 私はパトリックを窓際まで手招きした。そしてカーテンの隙間から外を見せる。

「見える? あの並木道の街路樹の脇。ほら、ちょっとだけ見えてるでしょ?」

「あれは...もしかしてウィリアムなのか!?」

「そうなのよ。一昨日叩き出してからずっとあそこに潜んでるの。恐らくだけど私が外出するところを狙って、もう一度接触しようと思って待ち伏せしてるんだと思うのよ」

「あんのクソ野郎が...」

 パトリックの顔が憤怒で染まった。

「このままじゃ私、おちおち外出も出来ないのよ。パトリック、なんとかして貰えないかしら?」

「もちろんだとも! アンリエット、迷惑を掛けて本当に済まない...」

「それじゃあ早速行きましょうか」

「えっ!? アンリエット、君が自ら行くのかい!? そんなことまでして貰わなくてもいいよ。俺が行って首根っ子をひっ掴んで来るから」

「ダメよ。あなたがいきなり行ったらきっと逃げちゃうわよ? 私がエサになって誘き寄せるから、あなたは隠れて尾いて来て。そしてウィリアムがノコノコ現れた所をひっ捕らえてちょうだい」

「分かった...面倒掛けて済まないな...」

 私達は部屋から出て玄関に向かう。

「お嬢様!? どちらに行かれるのですか!?」

 するとハンスが慌ててやって来た。

「あぁ、ハンス。なんでもないわ。ちょっとした捕物をするだけよ」

「はぁっ!?」

 疑問符を浮かべているハンスを尻目に、私は玄関を出て屋敷の門まで向かう。パトリックは私の後をちょっと離れて尾いて来ている。

 門番に軽く手を上げて挨拶した私は、ウィリアムが隠れている方向へと足を向けた。
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