我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!

真理亜

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122 (第三者視点5)

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「えっ!?」

 そんな薬瓶など入れた覚えのないパトリックは間の抜けた声を上げた。実はマーガレットがコッソリと忍ばせていたのだが、そんなことを知らないパトリックは当惑するのみだった。

 上着のポケットならまだしも、コートのポケットまでは確認しなかったということもあった。

「これは...」

 薬瓶の蓋をちょっとだけ開けて中身の匂いを嗅いだアランが顔を顰めた。

「なんなの?」

「媚薬だ。それもかなり強力なヤツ」

「...ちょっと、パトリック...なんでそんなもん持ち歩いてんのよ!?」

 アンリエットは蔑むような視線を向けた。

「ち、違う! そ、それは俺の物じゃない!」

 パトリックは必死に否定する。マーガレットの物なので間違ってはいない。

「はは~ん、そういうことか」

 アランがしたり顔でそう呟く。

「どういうこと?」

 まだ分かっていないアンリエットが問い掛ける。

「お嬢、こういうことだよ。窮地を救ってくれたヒーローに対しては『なにかお礼をさせて下さい』ってな話になるじゃん? そしたら『じゃあお食事でも一緒に』っていう風に話を持って行って、後は隙を見てコッソリこの媚薬を料理や飲み物に混ぜて飲ませる。薬が回って来たらお持ち帰りして既成事実へとまっしぐら。どうよ? パトリックの旦那? こんな筋書きだったんだろ?」

「ち、違う! ち、違うんだ! そ、そんなこと考えてない!」

 確かにマーガレットにはそう言われた。女なんてヤっちまえばこっちのもんだと。だがパトリックはそんな考えを真っ向から否定した。

 だからその点に関して言えば完全に冤罪ではあるのだが、如何せん破落戸を嗾けたのは事実だから、いくら否定しても説得力がない。

 しかも媚薬まで出て来たとあっては言い訳のしようもなかった。

「パトリック...アンタって人は...堕ちる所まで堕ちたわね...」

 アンリエットは汚らわしいものを見るような目でパトリックを見下ろした。

「違う...違うんだ...アンリエット、頼むから信じてくれ...」

 パトリックは涙ながらに懇願するが、アンリエットは聞く耳を持たなかった。そして怒りを滲ませながらこう続けた。

「アラン、決めたわ。官憲に突き出すのは止める。その代わりにこのロクデナシは、弟と同じようにマグロの遠洋漁業船に乗せることにする。コイツの子爵家は我が伯爵家の権威を振り翳して取り潰してやる! 伯爵家を舐めんじゃないわよ!」

「ヽ(ヽ゜ロ゜)ヒイィィィ!」

 凄い剣幕のアンリエットにこれ以上ないほど凄まれたパトリックは、情けない悲鳴を上げて地に伏してしまった。
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