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夕方になって、ようやくアランが疲れ切った顔で戻って来た。
「ただいま...」
「お帰り。その様子じゃまたしても収穫無しってところかしら?」
「いやまぁ...収穫はあったと言えばあったんだけど...」
「歯切れ悪いわね? なんなの?」
「パトリックの野郎、どうやら国外へ逃げたっぽいんだよね...」
「あぁ、なるほど。やっぱりね」
「やっぱり!? お嬢、予想してたの!?」
「いや、そうじゃなくてね...」
私は昼間のハンスとのやり取りを話して聞かせた。
「あぁ、そういうこと...国から追われる身じゃ子供なんて連れ歩けないよね...」
「そうね。ましてや国外に出るんだもん。尚更よね」
「国外に出られたら捕まえらんないよね...諦めるしかないか...」
「そうね...」
「それで子供どうすんの? お嬢が引き取るとか?」
「ちょっと止めてよね。傷物になった上に未婚の母になるだなんて、どこまで属性増やせば気が済むんだって話になるじゃないのよ。しかも私が産んだ子じゃないのに」
ますます婚期が遠退くじゃねぇか! というか、もう既にマトモな相手と結婚できるとは思ってなかったりするんだけどね...
それでもだ。自分の価値をこれ以上貶める趣味は私には無いんで。
「アハハ、確かにそうだね~」
「笑い事じゃ無いっつーの!」
「まぁまぁ、お嬢。聞いてよ。朗報って呼べるかどうかビミョーなところではあるんだけど、ある情報を掴んで来たからさ」
「どんな?」
「ウィリアムのヤツが乗ったマグロの遠洋漁業船が、悪天候で時化に遭ったんでいったん引き返して来るらしいよ」
「それ本当!?」
「うん、なんでも船団がバラバラになっちゃったんで、既に引き返して来てる船が居るんだってさ。その乗組員の話じゃ船団を再構築する必要があるから、他の船も順次引き返して来るだろうってことだった」
「朗報じゃないの! 陸に上がったところでウィリアムを取っ捕まえなさい!」
国に取っ捕まえられる前にね! 恐らくだけど、ウィリアムにも逮捕状は出ているんだろうから。
「お嬢お嬢、ちょっとちょっと、落ち着いて落ち着いて。それにはウィリアムの乗った船が無事だった場合はっていう但し書きが付くんだからさ」
「あ、そっか...時化で沈んだのかも知れないのね?」
「なんとも言えないみたい。その乗組員達も自分達の船のことだけ考えるので精一杯だったみたいだからさ」
「あ~...そりゃそうよね...無理も無いわ...」
他の船のことなんか気にしてる余裕無いよね。
「ともあれ、ウィリアムの乗った船の名前は分かってるから、港湾関係者に金を握らせて戻って来たら知らせてくれるようにと頼んでおいたからさ」
「そう...後は待つしか無いわね...」
「ただいま...」
「お帰り。その様子じゃまたしても収穫無しってところかしら?」
「いやまぁ...収穫はあったと言えばあったんだけど...」
「歯切れ悪いわね? なんなの?」
「パトリックの野郎、どうやら国外へ逃げたっぽいんだよね...」
「あぁ、なるほど。やっぱりね」
「やっぱり!? お嬢、予想してたの!?」
「いや、そうじゃなくてね...」
私は昼間のハンスとのやり取りを話して聞かせた。
「あぁ、そういうこと...国から追われる身じゃ子供なんて連れ歩けないよね...」
「そうね。ましてや国外に出るんだもん。尚更よね」
「国外に出られたら捕まえらんないよね...諦めるしかないか...」
「そうね...」
「それで子供どうすんの? お嬢が引き取るとか?」
「ちょっと止めてよね。傷物になった上に未婚の母になるだなんて、どこまで属性増やせば気が済むんだって話になるじゃないのよ。しかも私が産んだ子じゃないのに」
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「まぁまぁ、お嬢。聞いてよ。朗報って呼べるかどうかビミョーなところではあるんだけど、ある情報を掴んで来たからさ」
「どんな?」
「ウィリアムのヤツが乗ったマグロの遠洋漁業船が、悪天候で時化に遭ったんでいったん引き返して来るらしいよ」
「それ本当!?」
「うん、なんでも船団がバラバラになっちゃったんで、既に引き返して来てる船が居るんだってさ。その乗組員の話じゃ船団を再構築する必要があるから、他の船も順次引き返して来るだろうってことだった」
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「あ~...そりゃそうよね...無理も無いわ...」
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「ともあれ、ウィリアムの乗った船の名前は分かってるから、港湾関係者に金を握らせて戻って来たら知らせてくれるようにと頼んでおいたからさ」
「そう...後は待つしか無いわね...」
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