我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!

真理亜

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174 (第三者視点6)

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 アランは修羅の如くクリフトファーの体を散々に甚振った。

 100倍返しという言葉の通りである。

「ウラァッ! オラァッ! トリヤァッ!」

「あ、アラン! も、もうその辺りで止めとけ! 死んじまうぞ!」

 さすがにヤバいと思ったのか、カイルがアランを後ろから羽交い締めにして止める。

「止めるな! このクソ野郎はこの場で息の根を止めてやる!」

「気持ちは分かるがちょっと落ち着け!」

 ネオもやって来て二人掛かりで暴れるアランを止める。

「放せ放せえっ!」

 それでもしばらくアランは暴れ続けた。


◇◇◇


 一方その頃、クリフトファーを見失っていたエリザベートも怒りを露にしていた。 

「クソッ! 逃げ足だけは早い!」

 エリザベートは怒りに任せて破落戸共を蹴散らした後、

「吐け! あんたらのボスはどこに行った!? アジトはどこだ!?」

「ヽ(ヽ゜ロ゜)ヒイィィィ! は、吐きます! 吐きます! だ、だから殺さないでぇ~!」

 エリザベートの夜叉のような表情にすっかり怯え切った破落戸共は、あっさりアジトの場所をゲロッた。

 エリザベートは破落戸共の馬を奪い、急いでアジトへと走らせる。

「待ってろよ~! バカ兄がぁ! 今度こそ引導渡したらぁ~!」

 修羅の塊となったエリザベートを止める者は誰も居なかった。


◇◇◇


「アラン、落ち着いたか?」

「あぁ、済まん...取り乱した...」

「まぁ無理もないが...」

 カイルとネオに宥められて、ようやくアランは自分を取り戻した。ちなみにクリフトファーは白目を剥いて気絶している。

「アンリエット嬢が心配している。早く帰って無事な顔見せてやれ」

「そうか...分かった...そうするよ...あ痛ててて!」

 怒りで忘れていた痛みがぶり返したのか、アランが踞って呻いた。

「大丈夫か?」

 カイルがアランを支えようとした時だった。

「おい! 誰かが馬でやって来る!」

 外を見張っていたネオが血相変えてやって来た。

「なんだと!? 新手か!?」

 カイルが緊張して身構える。アランも立ち上がろうとするが、

「アラン、お前は大人しくしてろ。俺達だけで十分だ」

 カイルが止めた。

「分かった...済まんが頼む...」

「任せろ」

 アランをその場に置いて外に出たカイルはネオと合流した。

「どこから来る?」

「向こうからだ」

 ネオが指差した先をカイルは息を呑んで見詰めた。すると、

「ど~こ~だぁ~! バ~カ~兄~ぃ~!」

 そんな呪詛に塗れた叫びが聞こえて来た。二人は顔を見合わせる。

『エリザベートお嬢様!?』

 二人の声が見事にハモッた。

 
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