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「お嬢様...いらっしゃいました...」
午後になってセバスチャンが来客を告げに来た。誰が来たかなんて聞くまでもない。
「そう...客間にお通しして...」
「ランドルフ侯爵が来たの?」
「えぇ、行きましょうか」
私は客間へと向かいながらエリザベートに話し掛ける。
「そういやエリザベート、兄さんは同席しなくていいの?」
「いいわよ別に。縁談を断るだけなんだから、私達だけで十分よ。それに今はまだちょっとその...使い物にならない状態だし」
「...お願いだから腎虚にだけはならないように少しは加減してよね...」
実の兄の死因がやり過ぎなんて恥ずかしいことこの上ないから...
「善処します♪」
「ハァ...」
私はため息を吐くしかなかった。
◇◇◇
「お初にお目に掛かります、ランドルフ侯爵様。フィンレイ伯爵家が長女アンリエットと申します」
初めて見るランドルフ侯爵は、なるほどエリザベートが言っていた通り、腹の突き出た狸そのものの体型のオヤジだった。
だがそのユーモラスな体型に反して、双眸はキツイ感じで威圧感がある。さすがは悪の親玉といった貫禄か。
その隣には、金髪碧眼の小動物っぽい雰囲気を漂わせている儚げな美少女がちょこんと座っている。
どうやらこの娘が兄のお見合い相手らしいが、ちょっと待って欲しい。どう見ても15、6歳くらいにしか見えんのだが? おいおい、勘弁してくれよ...ウチの兄をロリコンにするつもりなのか?
「ランドルフ侯、久し振りね。息災のようでなによりだわ」
「えっ!? あ、あなたはランカスター公爵家のエリザベート嬢!?...な、なんであなたがここに!?」
ランドルフ侯爵の厳しい目付きが一転して狼狽の色を見せる。自分より爵位が上なエリザベートの登場はさすがに予想外だったようだ。
「フィンレイ伯爵家はウチの寄子になったのよ。だから私も同席するっていう訳」
「そ、そんなバカな!? い、いつの間に寄子に!? き、聞いてないぞ!?」
急な展開に焦ったのか、ランドルフ侯爵の顔には脂汗が浮かんでいる。
「そりゃそうでしょうね。寄子になったのはつい最近だから。それで? そっちのお嬢さんがお見合い相手ってことでいいのかしら? あなた、お名前は?」
「あ、アナスタシアと申しますぅ...」
可哀想に...アナスタシア嬢は完全にビビッてしまっている。それも当然で、さっきからエリザベートの圧力が半端ない。
公爵令嬢としての威厳をここぞとばかりに発揮してるもんだから、その覇気に当てられてすっかり縮まってしまった。
午後になってセバスチャンが来客を告げに来た。誰が来たかなんて聞くまでもない。
「そう...客間にお通しして...」
「ランドルフ侯爵が来たの?」
「えぇ、行きましょうか」
私は客間へと向かいながらエリザベートに話し掛ける。
「そういやエリザベート、兄さんは同席しなくていいの?」
「いいわよ別に。縁談を断るだけなんだから、私達だけで十分よ。それに今はまだちょっとその...使い物にならない状態だし」
「...お願いだから腎虚にだけはならないように少しは加減してよね...」
実の兄の死因がやり過ぎなんて恥ずかしいことこの上ないから...
「善処します♪」
「ハァ...」
私はため息を吐くしかなかった。
◇◇◇
「お初にお目に掛かります、ランドルフ侯爵様。フィンレイ伯爵家が長女アンリエットと申します」
初めて見るランドルフ侯爵は、なるほどエリザベートが言っていた通り、腹の突き出た狸そのものの体型のオヤジだった。
だがそのユーモラスな体型に反して、双眸はキツイ感じで威圧感がある。さすがは悪の親玉といった貫禄か。
その隣には、金髪碧眼の小動物っぽい雰囲気を漂わせている儚げな美少女がちょこんと座っている。
どうやらこの娘が兄のお見合い相手らしいが、ちょっと待って欲しい。どう見ても15、6歳くらいにしか見えんのだが? おいおい、勘弁してくれよ...ウチの兄をロリコンにするつもりなのか?
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「えっ!? あ、あなたはランカスター公爵家のエリザベート嬢!?...な、なんであなたがここに!?」
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「フィンレイ伯爵家はウチの寄子になったのよ。だから私も同席するっていう訳」
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