我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!

真理亜

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「最悪の一言ですな」

 セバスチャンが吐き捨てるようにそう言って顔を顰めた。

「そんなに酷いの?」

「えぇ、噂を聞けば聞くほど酷いものばかりでした。カスパート男爵には妻と二人の子供、上が男で下が女の兄妹が居るんですが、一家揃って評判は最悪でした」

「具体的には?」

「まずTPOというものを全く弁えず、いつ如何なる時でも金ぴかな服を身に纏っているので目がチカチカするというもの」

「うわぉ...典型的な成金あるあるってヤツね...」

 突っ込み所多そうだな...

「次にガチャガチャと音を立てて飲み食いする。オマケに食事中に大声を上げて会話するというもの」

「おまえら山猿かよ...」

 テーブルマナーも身に付けてないんかい...

「ダンスを踊ればお互いに足を引っ掛けて転んだり、他のペアにぶつかって迷惑を掛けたりとか」

「うわぁ...目に浮かぶようだわぁ...」

 誰も近寄りたくないよね...

「そして長男の方、つまり肝心のお嬢様のお見合い相手ですが...」

「うん...もうなにを聞いてもきっと驚かないと思うから...ハッキリ言って?」

「では...ハッキリ言ってチャラ男です...」

「うん...なんとなく想像付いた...」

 金ぴか金持ちのボンボンかぁ...そりゃチャラくなって当然だよね...

「とにかく女と見れば所構わず誰彼構わず声を掛け捲るもんだから、あちこちで問題を起こし捲ってるそうです...」

「発情期のオス犬かよ...」

 どんだけお盛んなんだか...

「もしかして、問題を表面化させないために、甘やかし放題の親が金に物を言わせて黙らせてるって感じ?」

「おっしゃる通りでございます」

 なんかとってもデジャヴ...確かウィリアムの両親、つまりはパトリックの両親もこんな感じで息子の尻拭いしてたんだっけな...それこそ家が傾くまで...

「更に長女の方ですが...」

「まだあるのね...」

 そろそろ突っ込むのも疲れて来たよ...

「こちらは一言で言えば...アバズレですね...」

「うん...そうだと思った...」

 兄がチャラ男の時点でね.. 妹も大体想像付くよね...

「ですが長女の方はまだマシな部類かも知れません」

「どういう意味?」

「腰を振るのは高位貴族か金持ち貴族の男に対してのみだそうですから」

「あぁ、ちゃんと相手を選んでる分だけマシって意味ね...」

「左様でございますな」

 なんだかなぁ...

「ねぇセバスチャン、私とっても会いたくなくなったんだけど...」

「奇遇でございますな、お嬢様...私もでございます...」
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