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「ねぇところで、サンタンデル伯爵はなんでこんな輩と接点を持った訳? あの偏屈爺さんが一番嫌うタイプの輩じゃないのかしら?」
古き良き時代をいつまでも懐かしんでいるような爺さんだ。金で爵位を買ったような新興貴族なんて、真っ先に唾棄すべき存在なんじゃないんだろうか?
「サンタンデル伯爵領はこのところの天候不順で作物が不作続きで、かなり財政的に厳しくなっているようでございますな」
「あぁ、そういうこと...カスパート家から金を借りたのね...いくら嫌ってても背に腹は代えられなかったってことか...」
「左様でございますな」
「しかもプライドだけは高いから、金に困っても同じ家格のウチとかに頼るような真似は出来なかったと...」
「おっしゃる通りでございます。男爵家であるカスパート家からなら、融資というよりは貢ぎ物のような感覚で受け取ることが可能になりますからね」
「その代わり、他の貴族家に紹介してやるとか言えるようになるもんね...」
「左様でございます。つまるところ、それが現在の状態ということになるのですが...」
「完璧に理解したわ...」
私はすっかり冷め切ったお茶で喉を潤しながら、面倒なことになったなと頭を振った。
「ところでセバスチャン、カスパート家の所有してる出版社の売り上げが落ちてるって話だったけど、経営的にどうなの? ヤバい状況なの?」
「火の車だという噂です」
「そんなに酷いの?」
「えぇ、しかもカスパート家の人々はそんな状況を知ってか知らずか、散財に明け暮れる日々を過ごしているようで、そのことが更に拍車を掛けているらしいですな」
「そんな所と業務提携なんて間違っても結びたくないんだけど...」
「業務提携で済めばよろしいのですが...」
「どういう意味?」
「向こうさんは乗っ取る気満々なんじゃないかと...」
「またか...」
もうこれで何度目だろう...お前ら、人ん家を乗っ取ることしか頭にねぇのかよ...
私の頭の中には、これまで乗っ取りを企んで来た輩の顔が走馬灯のように流れて行った。
いやいや! 走馬灯って! まるで私もうすぐ死ぬみたいじゃんか! 縁起でもない! ...なんてセルフ突っ込みしてる場合じゃねぇな...
「ねぇセバスチャン、ウチって他所からみたらそんな美味しそうに見えるもんなのかしらね...」
「生き馬の目を抜くと言われるのが貴族の世界ですからねぇ...我が家の存在は鴨が葱を背負っているように見えるのかも知れませんねぇ...」
「世知辛い世の中よね...」
私は達観するしかなかった。
古き良き時代をいつまでも懐かしんでいるような爺さんだ。金で爵位を買ったような新興貴族なんて、真っ先に唾棄すべき存在なんじゃないんだろうか?
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「あぁ、そういうこと...カスパート家から金を借りたのね...いくら嫌ってても背に腹は代えられなかったってことか...」
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「完璧に理解したわ...」
私はすっかり冷め切ったお茶で喉を潤しながら、面倒なことになったなと頭を振った。
「ところでセバスチャン、カスパート家の所有してる出版社の売り上げが落ちてるって話だったけど、経営的にどうなの? ヤバい状況なの?」
「火の車だという噂です」
「そんなに酷いの?」
「えぇ、しかもカスパート家の人々はそんな状況を知ってか知らずか、散財に明け暮れる日々を過ごしているようで、そのことが更に拍車を掛けているらしいですな」
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「またか...」
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私は達観するしかなかった。
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