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それから【1】
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あの日から、私はますます社交界から敬遠されるようになった。既に彼処には、自分の居場所なんて無いことを知った今、自分にとって社交界にはなんの価値も無い。
それからの私は、ある意味自由だったと思う。社交界に対し、どこか吹っ切れたという面も作用したのだろう。また、社交界に姿を見せなくなったのもこの時からだ。
そんなときだった。あの人との婚儀を迎えたのは…。
身内だけのこじんまりとした式で終わらせた。
互いに愛を必要としない政略結婚。どこまでも冷たく、ただ心だけが疲弊していくだけの。
私があの人を愛しても、その愛があの人から返ってくることはない。底なしの沼に、足を踏み入れていくような気がした…。
もう一つだけ、変わったことがあった。
「アイラ様~!」
彼女だ。彼女こそ、あの人の美しくか弱き姫。
私はあの人によって、彼女の話し相手になっていた。
「リリシア様ごきげんよう。お加減はいかがですか?」
「アイラ様ごきげんよう。今日は調子が良いの。だから以前から計画していたピクニックに行きましょう?」
「でもリリシア様、最近はことに寒いですし、ピクニックに行って疲れが出てはいけませんわ」
そこまで言うと、リリシア様の瞳が涙で潤んできたことに気づいた。
「でっ、ですが、お屋敷の敷地内でミニピクニックというのはどうでしょう。敷地内でしたら、もし具合が悪くなっても直ぐに専属のお医者様を呼べますし、ベッドも近いです」
いかがでしょう…?と問いかけてみると、リリシア様は震えていた。怒らせてしまっただろうか…と不安になったが、次の瞬間それは掻き消された。
「アイラ様、大好き!」
そう言って、リリシア様は勢いよく抱きついてきた。
「きゃあっ。リリシア様落ち着いてください」
「嫌よ。だって初めて許してもらえたんだもの。嬉しいに決まってるわ」
リリシア様のその発言に、少し違和感を感じた。
初めて、許された?
もしかして、リリシア様は一度も外に出たことは無いのかしら?だからあんなにピクニックにこだわるの?
まだリリシア様と過ごす時間は少なく、お互いのこともよく知らない。けれど、同じときを過ごし、同じものを見ていく中で、私の中のリリシア様の像は、明らかに変わっていった。
そして、私もまたリリシア様を守らねばならないと思うようになった。
彼女は私の大事な友人なのだから。
それからの私は、ある意味自由だったと思う。社交界に対し、どこか吹っ切れたという面も作用したのだろう。また、社交界に姿を見せなくなったのもこの時からだ。
そんなときだった。あの人との婚儀を迎えたのは…。
身内だけのこじんまりとした式で終わらせた。
互いに愛を必要としない政略結婚。どこまでも冷たく、ただ心だけが疲弊していくだけの。
私があの人を愛しても、その愛があの人から返ってくることはない。底なしの沼に、足を踏み入れていくような気がした…。
もう一つだけ、変わったことがあった。
「アイラ様~!」
彼女だ。彼女こそ、あの人の美しくか弱き姫。
私はあの人によって、彼女の話し相手になっていた。
「リリシア様ごきげんよう。お加減はいかがですか?」
「アイラ様ごきげんよう。今日は調子が良いの。だから以前から計画していたピクニックに行きましょう?」
「でもリリシア様、最近はことに寒いですし、ピクニックに行って疲れが出てはいけませんわ」
そこまで言うと、リリシア様の瞳が涙で潤んできたことに気づいた。
「でっ、ですが、お屋敷の敷地内でミニピクニックというのはどうでしょう。敷地内でしたら、もし具合が悪くなっても直ぐに専属のお医者様を呼べますし、ベッドも近いです」
いかがでしょう…?と問いかけてみると、リリシア様は震えていた。怒らせてしまっただろうか…と不安になったが、次の瞬間それは掻き消された。
「アイラ様、大好き!」
そう言って、リリシア様は勢いよく抱きついてきた。
「きゃあっ。リリシア様落ち着いてください」
「嫌よ。だって初めて許してもらえたんだもの。嬉しいに決まってるわ」
リリシア様のその発言に、少し違和感を感じた。
初めて、許された?
もしかして、リリシア様は一度も外に出たことは無いのかしら?だからあんなにピクニックにこだわるの?
まだリリシア様と過ごす時間は少なく、お互いのこともよく知らない。けれど、同じときを過ごし、同じものを見ていく中で、私の中のリリシア様の像は、明らかに変わっていった。
そして、私もまたリリシア様を守らねばならないと思うようになった。
彼女は私の大事な友人なのだから。
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