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閑話:「僕は恋をした 」2 《アリスト視点》*腐表現、胸糞、近親相姦があります
しおりを挟むその晩訪れた父は酷く酔っていた。
僕を犯すように玄関で抱き、いつもは母の名を呼ぶのに、「みんなあいつが良いのか」とか言うことをブツブツ言っていた。
その不明瞭な言葉の中の、『かずま』というワードを耳が拾う。
ーーー 嫌な予感がした。
『葬式』『後継者』『殺した』『なのになぜ』『みんなあいつが』……。
カズの本名は ーーー 如月、一眞。
僕の父親の名前は……………。
…え……………
それから何を口走ったか覚えていない。
けれど生まれて初めて父に逆らい、暴れた。
ただ、犯されながら首を絞められて苦しかったのと、カズはもういないという絶望感。
でも、もう良いや。
カズが居ないなら、もういい…。
すべてが真っ黒な泥みたいななにかに沈んでいく。
それから僕は生まれ直した。
生まれ直した家庭は何もかもが違っていた。
仲睦まじい両親。濃厚なスキンシップ。厳しい金銭感覚。(決して貧乏ではなかったのだが…)
感情の薄い僕を、両親や使用人、従業員たちは それはもう可愛がってくれた。……こんなボーッとした子供、すっごい不気味だと思うんだけど。
カズのいない人生なんて面倒臭いけど、わざわざ死ぬのも面倒臭い。
僕はぼんやりと生きて、きっとぼんやりと死んでいくんだと思っていた。
そして僕はカズに見つけられる。
この時ばかりは『神様って結構僕のこと好きなんじゃない?』って思った。
現金にも、灰色だった視界が一気に総天然色だ。
そしてここでもすーちゃんがカズの傍に居た。
今回の恋も諦めようとしていた僕に、母がニンマリ笑って言った。
「いいじゃない。好きなんでしょ?ママも応援してあげるわ!だって可愛い一人息子の初恋だもの!!」
……なにこれこわい。何にも言わないのに、カズが ーーー レオンハルト王子が好きなの めっちゃバレてるよ!?母親って怖い!
で、上記の発言には、うちんちの特殊な事情が絡んでいた。
僕の今の父親って、母親とめっちゃラブラブだけど、なんと男の愛人が居るんだ。
えっ、それって普通なの?って父に聞くと、「パパは男しか愛せないけど、ママだけは特別なんだ~」とデレデレしながら返された。
しかも母親公認らしい。
「ママもパパを愛してるけどぉ /// でもね、………………ママ、正直パパの絶倫にはついていけないの…。(迫真) 他所の女を孕ませないからパパが男色家で良かったわぁ♡ 有り余るパパの性欲はロディが受け止めてくれてるの♪」
ロディって……あ、あの人か。うちの番頭さん。いっつも腰痛そうにしてる人!?
良いのそれ!?
………いいのか。
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すーちゃん ーーー ヴィオちゃんにも思い切って聞いてみたけど、
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詰め寄っても、ああハイハイとレオは曖昧に笑うだけだ。
ヴィオちゃんは僕の味方だよねー!?ねー?ヴィオちゃ……!
「総受けなら許すわ!」
敵は本能寺にあり(混乱中)
もうだめだ!待ってたらレオのお尻の危険が危ない!!(迷走中)
母さんの言う通りに実力行使せねば…!!
楽しくて騒がしくて忙しい異世界ライフ。
僕はもう一度、レオに恋をした。
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