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【side皇帝】おまけ
しおりを挟む弟が結婚相手を連れて帰ってきた。私の初恋の女性が産んだ、目に入れても痛くないほど可愛い可愛い弟だ。
身元調査をすると、王国の公爵家の庶子で、以前は王太子の側近候補にまでなっていた優秀な ーーー 男。
そう、弟が結婚したのは男だった。
ジョセフは小さな頃から可愛かった。母親似のチョコレートのような色の髪と、黒と見間違う深い藍色の瞳。整った顔はしているけれど、気配を消し存在を消し、その他大勢に紛れ込むのが上手かった。
まさか騙されているのではないだろうな…。
王国は我が皇国と縁を結びたがっている。我が国の有力貴族への縁談は数え切れないほどだ。ジョセフの相手は大層美しい容姿をしているらしい。
ジョセフの帰国後、港まで迎えを出してすぐに城に呼んだ。見極めなくてはならない。呼びつけたジョセフの相手は、想像以上の美形だった。これが女性だったならば傾国の女であったろう。
だがその相手 ーーー ウィステリアは儚げな見た目に似合わない男だった。
ジョセフが皇弟だと知って「聞いてない!」と食って掛かった。……は?普通はもっと喜ぶものじゃあないか?キャンキャン吠えてジョセフを追い詰める言葉は些か品がない。所作は美しいというのに…。兄として不安になってくる。
まさか騙して嵌めたのは弟の方ではないだろうか…。
弟が誤魔化すように唇を合わせると、ウィステリアは真っ赤になって黙った。
……確定だ。騙して誑かしたのは弟だろう。
皇弟と言えど、皇族としての義務は殆どないし、表舞台にも出なくていい。そう言うと、ウィステリアはあからさまにホッとした。王国の王太子の側近候補だったと言うが、こんなに素直で腹芸の一つも出来ないのに務まっていたのだろうか。
弟は笑う。幸せそうに。蕩けるように。
今まで色恋の気配すらなかった弟がこんなに幸せそうならなんでも良いじゃないか。
その後、弟が紹介してきた令嬢が嫁いで来た。うら若く美しく教養があり、王家の血を持つ娘だ。私との子供に実家を継がせたいという野心あふれる娘だ。面白い。14番目の妻となった妃 ーーー アーリヤはウィステリアと仲が良いらしく、私はアーリヤをダシに弟たちを呼び出す。
穏やかな日々。
王国では内乱が起こり、血で血を洗う戦いの末に革新派の第二王子が国王となった。保守派であった貴族たちは粛清され、4大公爵家も革新派であった筆頭公爵家以外は取り潰されたらしい。ウィステリアの実家も保守派であったが、内乱が起こる直前に父親だけが亡命してきたらしい。タイミングが良すぎる。きっと弟が手を回したのだろう。
穏やか……なのだが、最近、弟が怪しげな魔術と薬を調べている。なんでも男でも子を孕める方法があるのだとか……。
弟よ、兄は心配だぞ。お前ではなく、お前の妻のことが心配でたまらない。アレは純粋で流されやすいから、あまり騙してやるな。
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