絶死の森で絶滅寸前の人外お姉さんと自由な異世界繁殖生活 転移後は自分のために生きるよ~【R18版】

萩原繁殖

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ep268 糖尿病はマジでこわいよ【左脚壊死のポルトン】

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 ウィンティを購入したことで、本日二人目の奴隷お買い上げと相成った。

 なかなか濃いキャラだったわ。

 その後彼女とは秘密事項の確認や、契約内容を詰めて、正式に契約した。契約した時は結構喜んでいて、不覚にもグッと来る笑顔だった。他にないタイプの美人なんだよな。雰囲気が浮き世離れしてるっていうか、秘境の花と戯れる月下の妖精って感じだ。

 ウィンティにはいったんセラミナのいる部屋まで行って待っていてもらうことになった。ちなみにこのあと彼女を連れてクリソプレーズ王国までかっ飛ばすのだが、秘密にしてある。なんか常に余裕綽々でちょっと腹ただしいのでささやかなサプライズドッキリを敢行するつもりだ。

「それで、あと二人だっけ?」

「はい。お時間取らせてしまいもうしわけありません」

 ウィンティがいなくなった部屋で待つこと数分。次の奴隷が入ってきた。

「次にご紹介したい奴隷が、この者になります」

 そこに重い足取りで入ってきたのは……

「お初にお目にかかる。拙者、ポルトンと申す者。よろしく頼むのでござる」

 ワァ……。

 小さく頭を下げるその口調は、どこか芝居がかっている。

 入ってきたのはどっからどう見てもチビデブハゲの三重苦を背負った救えないおっさんだった。

 しかもこの口調。

(あ、やばいやつだ)

 僕は即座に直感した。

 首の下には脂肪が幾重にも重なり、腹は前にせり出している。髪はすっかり抜け落ちて頭頂は光り輝いていたが、不思議と不潔な印象はない。ふぅふぅと苦しそうに吐き、汗をかきやすい体質らしいが、体や衣服はきちんと洗われていて、奴隷服も清潔に整えられていた。

「この者はポルトン。元役人で事務処理に長けております。しかし、長年の不摂生が祟り『渇きの病』を患いました。その際に左脚が壊死し、切断しております」

 渇きの病って、つまり糖尿病かな? 相当不摂生したんだろうな。

 小太りの身体を杖で支えながら進むたび、腹が揺れる。左脚は膝下から先がなく、そこには丁寧に巻かれた包帯が締められている。壊死した痕跡が辛うじて残っているが、処置は行き届いているのか悪臭はなく、見た目の痛ましさだけが彼の不自由を物語っていた。

 さて、何から訊いたものか。ツッコミどころがたくさんある。

「ポルトンさん、その口調はなに?」

 やっぱり一番気になってしまったところからいこう。ここではっきりしておかないと、ずっと気になっちゃうからね。

 転移してきた武士か忍者の末裔なんだろうか。

 でも彼の場合は、武士は食わねど高楊枝というより食いすぎて高血糖だし、ぜんぜん忍んでない。ハートアンダーブレードじゃなくてハートアンダーセアブラだよ。

「む、良いところに気付いてくださったのである。拙者、幼少期より騎士物語に親しんでおるゆえ、いつの間にかこの口調になっていたのである」

 ああ、そういうこと……。

 形から入るオタクみたいな感じか。

 こうして言われると、案外普通の理由だった。いや、普通じゃないか。納得しただけだ。理解はしてない。

 とりあえず疑問が解消してスッキリした。

「なんで奴隷になったの?」

「食いすぎて飲みすぎて、身持ちを崩したのである!」

 突き出た腹をさらに突き出した。
 なんて清々しい。

「もらった給料のほとんどを飲み食いに費やし、家に引きこもって本ばかり読んでいそうです」

「優雅な暮らしであろう!」

 との補足と救えない自慢。

「ちなみに何を飲み食いしてたの?」

「飲み物は酒と糖水。食べ物は菓子、肉が主であるな。これでも健康に気を使っていて、たまに野菜も食べていたのである。パンとか」

「……飲み物ってお茶とか水は?」

「茶など渋くて飲めないのである。水は数回飲んだことがあるのでござる!」

 この人マジで今までよく生きてたな。

 ウィンティの時もそう思ったけど、このおっさんはまたベクトルが違うよ。

 穀物を野菜と言い張って、水は数えるほどしか飲んだことないって。

 アメリカ人だってもう少し健康的だと思う。

 糖尿病はマジで怖いんだよ……。

「タネズ様、いかがいたしますか?」

「チェンジで」

「承知しました」

「ちよおおおっ! ちょおおおっと、待たれよ!」

 部屋から連れ出されそうになったポルトンは必死に抵抗する。

「な、なぜでござるかっ。拙者の口調がおかしいからであるか!」

「いや別にそこは気にしてないよ」

「ではなぜ!」

「だって君、不摂生な生活改めようとしないじゃん。僕のところには、小さい子もいるし悪影響与えられたら困るんだよね」

 教会には孤児たちがいるし、スラムから来た未亡人の息子娘くんちゃんたちも大勢いる。
 ポルトンの堕落しきった食生活を見て、変な影響を受けたら大変だ。

「う、うぅ……」

「というわけで、ご縁がなかったということで」

「せ、拙者も……拙者も……」

 また肩を捕まれうなだれるポルトンは、俯きながら血を吐くように言った。

「拙者も分かっているのである……このままではいけないと……このままの拙者では故郷の父母に顔向けできないのである……」

 ご両親は健在なのか。
 なんか勝手に亡くなってるかと思っていたよ。

「拙者は昔から、取り立てて何かに秀でたわけではござらぬ。普通の子供であった。むしろ他人より少し劣っていたのである。それでも、両親は拙者を見捨てずに、ここまで育ててくれたのである……」

 涙がぽろぽろと緩んだ顔の皮膚を濡らして落ちていく。

「それでもなんとか役人になって、社会に貢献できるようになって、やっと両親に顔向けできるようになったのであるが、拙者の意志の弱さのせいで奴隷にまで落ちてしまったのである……」

 彼は震えながらギュッと拳を握りしめる。

「どうかお願い申し上げる。もう不摂生はしないと誓うのである。必ずや健康的な身体を手に入れて、忠勤を尽くすとお約束するのである。だからどうか……お頼み申す……」

 ポルトンは、いい歳をした大人のはずなのに、恥も外聞もかなぐり捨ててつるぴかの頭を床に擦りつけようとした。
 でも片足なのでうまく屈めず、「うぐわぁっ」とまたも情けない悲鳴を上げてすっ転んだ。

「拙者は……拙者は……」

 地べたを転がる自分の情けなさに、彼は泣く。

 丸い頭頂部に光が反射し、汗がぽたぽたと床に落ちていく。

 しかし、声は震え背中も震え、ただ生きたい、やり直したい、その一心だけが真っ直ぐ伝わってきた。

(ここが彼の底なんだな)

 その姿を見て、胸の奥に鈍い痛みが走った。
 一歩間違えば、もしあの場で出会った亜人たちに救われなければ、自分も同じように、惨めに這いつくばっていただろう。
 それは異世界に来ても、来ていなくても同じことだ。

 誰にだって転げ落ちる瞬間はある。彼はただ、それが少し早く、少し深く訪れただけだ。

 激弱メンタルクソ雑魚意志薄弱の僕なら、いつこうなってもおかしくなかった。

(笑えないよなぁ。これは他人事じゃないよ)

 彼はダメ人間かもしれないが、少なくとも恥を知っているし、やり直そうという意志がある。というか子供部屋おじさんじゃないだけ、僕よりずっとすごい。流されるばかりの僕なんかより、よっぽど偉いよ。

 僕は小さく息を吐き、立ち上がって彼の手を取って起こした。

「ポルトン、事務処理が得意と言ったね? まずは君がどんなことできるか教えてくれるかい?」

 そう言うと彼は一瞬きょとんとした後、「あ、あぁっ……! 御屋形様ぁ!」と感極まって泣き崩れた。その呼び方は新しいな。 


 順番が前後したけどその後はポルトンの事務処理能力をチェックした。ジャンゴさんが事前に彼の処理能力をテスト形式で確認しておいてくれたらしい。相変わらずできるオカマだ。

 手渡されたテスト用紙を確認すると、驚いたことに、めちゃくちゃ成績がよかった。

「彼の事務処理能力は商業ギルド職員と同等クラスと言えます。
 請求書、契約書、報告書などの作成や整理、お手ものもの。
 税金を含めた複雑な経理処理。来客の対応に備品の管理。
 そう言った地味で目立たない、しかし重要な仕事を文句も言わずに黙々と遂行する能力があります」

 か、神人材じゃん。
 
 組織にはそういう人ほんっっっっとに重要なんだよ。そりゃもちろん、営業や企画、マーケターみたいな花形も大事だけども。こういう人たちが組織のインフラ支えてるんだ。

「タネズ様は現在二つの組織をお持ちです。一つは教会を中心としたコスモディアポーション製造組織。もう一つはオボロ傭兵団。前者は事務経験者が在籍しておられるようですが、後者にはそういったことに長けた人材はまだ不在のはず」

「なんでそんなこと知ってんの」

「タネズ様は大事なお客様ゆえ」

 にっこり。

 なんかめちゃくちゃ調べられてる。でもぜんぜん僕の視点には無かった。考えてもいなかったよ。

(……そう言えば、傭兵団の方は事務仕事どうしてんだろう)

 スラム出身のの団員たちにやらせるのは厳しそうだから除外するとして、バステン、ルーナ、が団長、副団長でニステルも……まあ幹部なのか? ニステルに事務仕事ができるとは思えないから、バステンとルーナで回してるのだろうか。体力仕事でへとへとになった後に? おいおい、めちゃブラックやん。それはちょっと世間が許してくれませんよ。

 いずれにしろ、ジャンゴさんの目の付け所はとてもシャープであると言える。

「ジャンゴさん、ありがとう。よく考えたら大事な人材だと分かった」

「お役に立てて何よりでございます」

 彼は嬉しそうに隣に控えていたマッチョ奴隷のケツを揉んでいた。これさえなければな。

「彼を購入させてもらうよ。ポルトン、まずは痩せようか。椅子が壊れてもしまうかもしれないからね」

「お、御屋形ぁぁぁぁっ!!! 
 ありがとうございまするぅぅっ!
 ンッッロロロォォォォオオオロォーーン! おーんっ!」

 ポルトンは汗をびちゃびちゃ振りしだきながら感謝してきた。すかさず、数人の小姓たちが清潔な布を手に、僕とポルトンの間に入ってガードしてくれた。危ない、前言撤回するところだった。
 



 契約内容を詰め、ポルトンを浄火する。目を閉じる彼に向かって本日二度目のファイアー。

「……お、おおおおおっーん!」

 しょわわわわぁーん……

 浄火の炎が身体を包むと、彼は気持ち悪めの声をあげて悶えた。不摂生チビデブハゲがくねくねと身体を揺らす姿は、かなりキツイものがある。が、もう僕は彼の主人なのできちんと公平な視点と態度で接しなければならない。

「お、お、おぉーーん……あっ」

 ポルトンは妙に高い声を出して股間を押さえた。まさか漏らしたのか?

「どうしたの? 大丈夫?」

「せっ、拙者の拙者が……っ」

 見るとポルトンのポルトンが、ちんまりとスタンドアップしていた。

「渇きの病の病にかかってから、ずっと元気がなかった愚息が……立ち上がったのであるぅ! ンおろろろろーん!」

 ポルトンは股間を押さえて泣いた。男泣きだ。非常に気持ち悪い。

(あれか、糖尿病で減退していた性欲が戻ったのか)

 僕も原理はよく知らないが、糖尿病にかかると性欲減退するらしいからね。ポルトンにはその症状が出ていたんだろう。

 気持ち悪いけど、勃起不全は男としてつらすぎる。しかもモッコリのちんまり具合を見るに、短小かもしれない。ここまできたらもう包茎であってくれ。もしそうであったのなら、ポルトンは世の中の男のカルマを背負って産まれた生仏として崇められてもいいレヴェルだ。

「ポルトン……つらかったね……」

「う、うぅ……御屋形様……聞くところによると、御屋形様には奥さまがおられるとのこと……もし、よろしければおパンティを貸してくださらぬか……拙者ムラムラして候」

「殺すぞお前」


 ポルトンに殺意が湧いたがなんとか抑えて、セラミナのいる部屋に向かわせる。数年封じられていた彼のポケットサイズモンスターがセラミナに向けられないか不安だったが、ジャンゴニキネキが顎をくいっとやって職員を付き添わせてくれた。気遣いのできるオカマだ。ありがとうございます。

 さて、最後の奴隷か。
 結局ここまで全員購入しちゃったな。
 次は一体どんな奴隷なのだろうか。
 傭兵辺りが無難か? でも戦闘員なら最初にまとめて紹介しそうだよな。料理人はいるし……うーん、分からん。

「タネズ様、準備ができたようです。中に入れても?」

「うん、お願い。……まさかねっちょりしたおじさんじゃないよね?」

「ふふふ。ご安心を。次は女人の奴隷です。タネズ様もきっと気に入ってくださるかと」

 そしてジャンゴさんの合図で最後の奴隷は。

「治癒師のハクシでございます」

(……いやいやいやいや)

 属性てんこ盛りのフェティッシュ女奴隷だった。

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