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やりたいこと
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(はあ……また仕事か)
僕は目覚めた。寝ぼけてる。まだ寝ていたい。
朝起きて、でも、目を開けたくない。目を開けて身体を起こしたら仕事に行かなきゃいけないからだ。
(ああ、早く起きて五十分後の準急電車に乗らないと。髭も剃らないと。昨日剃っておけばよかったな……)
何もかもうまくいかない。
何もやりたくない。
仕事ができないから現場の評価も悪いし、周りの目も厳しい。数ヵ月で仕事先を変えられてしまう。
バス停の場所が分からないお婆さんに道教えてあげたり、 ハンカチ落としたOLにハンカチ拾って渡したり、酔って寝ているお兄さんを介抱したり、そういうことならできるんだけどね。難しいね。
でも、生きるために起きる。起きてうまく 出来ない仕事をしにいく。それが、僕のささやかな反抗だった。
(辛いけど働かなくちゃ)
目を開けると紫のふわふわ。くぴくぴ鳴る寝息。よだれを垂らす不機嫌そうな寝顔。
まだ日がほとんど昇っていない。
早朝だ。そして、異世界だ。
あったかい。布団も無いのに、どうしてこんなにあったかいんだ。こんなに窮屈なベッドなのに、どうして心がこんなに自由なんだ。
僕は人知れず笑った。鼻の奥がつんとする。無性に叫びたい。
でもみんなを起こしちゃいけない。そんなことしなくてもそこにいる。だから安心して二度寝した。
朝日が昇った。
一番早く起きるのはプテュエラ。まだ人には肌寒い風に向かって、心地よさそうに羽を広げて毛繕いをしている。
二番目はベステルタ。プテュエラと一緒によく身体を動かしている。空中を駆け上がっている気がするけど気のせいだろう。
三番目は僕。のそのそ起きる。基本的に体力限界まで搾り取られるからね。普通の人間なら枯れ死んでいるよ。頑健スキル万歳。
最後にシュレア。ピクリともしない。不機嫌そうによだれを垂らして寝ている。すすりたい。
朝はだいたいこんな感じ。
ーー
今日は午前で訓練を切り上げて、午後から野菜部の活動を始めることにした。記念すべき第一回目だ。
「部長、まずは何から始める?」
「シュレアが決めるんですか?」
そりゃそうだよ……と思ったけど部活ってそういうもんでもないか? いや、分からないな。もうずっと昔のことで忘れてしまった。
「野菜部長はシュレアだからね。まあ、どんなことしたいか教えてよ。一緒に考えるからさ」
「であればやはり畑を作りたいです。自分でも何度か試したのですが魔素溜まりのせいでダメでした。浄化された土地がどうしても見当たらなくて」
悔しそうに言った。うまくいかなくて歯痒い思いをしたんだろうね。
シュレアは樹魔法使えるし、野菜の育て方も分かるんだろうけど、土地と野菜がどちらも汚染されていたらどうしようも無いよ。
「よし、じゃあやっていこう」
「はい」
早速シュレアと畑になりそうな場所を選定して、浄化をしていった。
なかなか選ぶのは大変だった。シュレアの拘りが強く、妥協することがなかったからだ。土食べ始めたときはびっくりしたよ。でも前の世界でも、そうやって土の状況を調べる農家さんいたし、理にかなった方法なのかな?
「ここでお願いします。比較的魔素が少なく土の栄養のバランスが良いです。ラミアルカがいればもう少し詳しく分かるのですが……」
シュレアが報告してくる。
おお、見付かったんだね。ていうかその人って前ベステルタが話していた人かな? 土に詳しいのか。色んな亜人がいるね。
ま、それじゃ、やっちゃいますか。
「浄化」
シュワワァー。
土から魔素が消えていく感覚。よし、手応えありだ。
「この後はどうする?」
「種を植えます。ケイのではないですよ」
不機嫌そうに眉をひそめる。そのままこちらをじっと見つめる。な、 なんだ。
……あっ、もしかして冗談か?
「あはは」
分かんない。とりあえず笑っておこう。
「ふん」
顔をしかめてそっぽを向いた。枝角はぴかぴかしている。満足している……のか? ただ、シュレアのジョークセンスは壊滅的かもしれない。そっと見守ろう。
「種は前から用意してありました。しかし汚染されているので浄化が必要です。こちらもお願いできますか?」
「もちろん」
シュレアの触手が差し出してきたのは、大きさや色がまちまちの粒だった。
へー、これが異世界の種か。一体どんな野菜が生えるんだ? ていうかトマトとか玉ねぎってこういう種だっけ? まあ異世界だし僕の常識が通じないことの方が多いか。
「浄化」
しょわわぁー。
種を浄化して畑に植えていく。
シュレアの触手が伸びて次々に種を選んでは植え、選んでは植えた。仏頂面だけどとても丁寧に種を扱っているのが印象的だった。
そんなに大きい畑でもないからすぐに全部植えられた。
「これで完了です。ありがとうございます」
「いえいえ。お疲れ様。これからどうするの?」
「部長として野菜の成長を見守ります」
そう言うと畑の前に座り込んで、じっと見つめる。怖い顔だ。本人は真剣なのだろうけど。野菜たちもびびるんじゃないかな。でも可愛いから問題なし。あとタイトスカートからちらちら見えてつらいです。そっちには何も着けてないんだよね……。
……うん、そっちの服も買ってあげよう。もちろん僕の心の平穏のためにね。
シュレアが野菜見守りに徹していると、プテュエラが難しい顔で話しかけてきた。
「なあ、ケイ。私も部活作りたいんだが、いいか?」
おっ、プテュエラもとうとう作るのか。
「もちろん。一体どんな部活?」
「肉部だ」
「肉部」
直球だ。自分の欲求ど真ん中ストレート。飾らないところがプテュエラらしい。
「プテュエラらしいね。どんな活動するの?」
「それに悩んでいるが、どうすればいいと思う?」
あー、そういうことか。テーマはできたけど具体的な活動がイメージできないってことね。ふーむ。
「肉部ってことは肉を食べたいんだよね?」
「そうだ。いろいろ考えたんだが、繁殖以外には肉を食べるのが好きだと分かったからな」
繁殖も好きなのね。よかったです。素直に嬉しい。僕も好きですはぁと。
「難しく考えなくていいんじゃない? 例えば肉が好きなら色んな肉を食べて、どれがどんな風に美味しいとか記録してみんなに教えてあげるとかさ」
グルメブログみたいなもんかな。いやプテュエラの場合は肉を食べたい、だから料理というよりジビエかな?
これは本格的に紙やペンが必要になってきたな。シュレアもあった方がいいだろうし。
「なるほど! 面白いなそれは。
うむ……私が肉に詳しくなって、他の亜人や子供に伝える……。
素晴らしい。なんて素晴らしくて楽しそうなんだ」
うわっ、プテュエラが感動している。キラキラした目で見られているよ。ちょっと怖い。
「それでいこう! 肉部は肉の美味しさの探求とその記録だ! 部長は私だよな?」
「プテュエラ以外にいないよ」
「なら決まりだ。よし、森中の肉を狩ってくるぞ。ちょっと行ってくる。肉の浄化は任せる。では」
あっ、ちょっ。
……行ってしまった。心配だなあ。プテュエラじゃなくて、森の魔獣たちが。プテュエラが本気出したら絶滅するんじゃない? でも楽しそうだからいっか。
「……」
岩場にベステルタが座って何やら思案している。考えるベステルタだ。
「ベステルタも部活に悩んでいるの?」
「そうね……。私のやりたいことって何かしら。それを考えていたの」
おお、青少年の悩みみたいだな。分かるよ。僕もやりたいことなくて悩んでた。結局何も見付からなくて、適当に就職したら大失敗したんだけどね。
「二人を見て焦る必要はないよ。本当にやりたいことなんて、簡単に見付かることじゃないんだ」
「そうね。難しいわ。こんなに考えることなかったし」
「分かるよ。ただ、簡単じゃないけど意外と単純なことだったりするからふとした瞬間に気付いたりするよ。二人を手伝ったりしながらゆっくり探そう?」
「ええ……そうね。そうするわ」
そう言ってベステルタがにっこり笑ってくれた。元気だしてくれたかな。それなら嬉しい。僕はやりたいことが最後まで見付からなかった勢だ。だから、みんなにはとことん楽しんでほしい。……もちろん自分のためにね。
僕は目覚めた。寝ぼけてる。まだ寝ていたい。
朝起きて、でも、目を開けたくない。目を開けて身体を起こしたら仕事に行かなきゃいけないからだ。
(ああ、早く起きて五十分後の準急電車に乗らないと。髭も剃らないと。昨日剃っておけばよかったな……)
何もかもうまくいかない。
何もやりたくない。
仕事ができないから現場の評価も悪いし、周りの目も厳しい。数ヵ月で仕事先を変えられてしまう。
バス停の場所が分からないお婆さんに道教えてあげたり、 ハンカチ落としたOLにハンカチ拾って渡したり、酔って寝ているお兄さんを介抱したり、そういうことならできるんだけどね。難しいね。
でも、生きるために起きる。起きてうまく 出来ない仕事をしにいく。それが、僕のささやかな反抗だった。
(辛いけど働かなくちゃ)
目を開けると紫のふわふわ。くぴくぴ鳴る寝息。よだれを垂らす不機嫌そうな寝顔。
まだ日がほとんど昇っていない。
早朝だ。そして、異世界だ。
あったかい。布団も無いのに、どうしてこんなにあったかいんだ。こんなに窮屈なベッドなのに、どうして心がこんなに自由なんだ。
僕は人知れず笑った。鼻の奥がつんとする。無性に叫びたい。
でもみんなを起こしちゃいけない。そんなことしなくてもそこにいる。だから安心して二度寝した。
朝日が昇った。
一番早く起きるのはプテュエラ。まだ人には肌寒い風に向かって、心地よさそうに羽を広げて毛繕いをしている。
二番目はベステルタ。プテュエラと一緒によく身体を動かしている。空中を駆け上がっている気がするけど気のせいだろう。
三番目は僕。のそのそ起きる。基本的に体力限界まで搾り取られるからね。普通の人間なら枯れ死んでいるよ。頑健スキル万歳。
最後にシュレア。ピクリともしない。不機嫌そうによだれを垂らして寝ている。すすりたい。
朝はだいたいこんな感じ。
ーー
今日は午前で訓練を切り上げて、午後から野菜部の活動を始めることにした。記念すべき第一回目だ。
「部長、まずは何から始める?」
「シュレアが決めるんですか?」
そりゃそうだよ……と思ったけど部活ってそういうもんでもないか? いや、分からないな。もうずっと昔のことで忘れてしまった。
「野菜部長はシュレアだからね。まあ、どんなことしたいか教えてよ。一緒に考えるからさ」
「であればやはり畑を作りたいです。自分でも何度か試したのですが魔素溜まりのせいでダメでした。浄化された土地がどうしても見当たらなくて」
悔しそうに言った。うまくいかなくて歯痒い思いをしたんだろうね。
シュレアは樹魔法使えるし、野菜の育て方も分かるんだろうけど、土地と野菜がどちらも汚染されていたらどうしようも無いよ。
「よし、じゃあやっていこう」
「はい」
早速シュレアと畑になりそうな場所を選定して、浄化をしていった。
なかなか選ぶのは大変だった。シュレアの拘りが強く、妥協することがなかったからだ。土食べ始めたときはびっくりしたよ。でも前の世界でも、そうやって土の状況を調べる農家さんいたし、理にかなった方法なのかな?
「ここでお願いします。比較的魔素が少なく土の栄養のバランスが良いです。ラミアルカがいればもう少し詳しく分かるのですが……」
シュレアが報告してくる。
おお、見付かったんだね。ていうかその人って前ベステルタが話していた人かな? 土に詳しいのか。色んな亜人がいるね。
ま、それじゃ、やっちゃいますか。
「浄化」
シュワワァー。
土から魔素が消えていく感覚。よし、手応えありだ。
「この後はどうする?」
「種を植えます。ケイのではないですよ」
不機嫌そうに眉をひそめる。そのままこちらをじっと見つめる。な、 なんだ。
……あっ、もしかして冗談か?
「あはは」
分かんない。とりあえず笑っておこう。
「ふん」
顔をしかめてそっぽを向いた。枝角はぴかぴかしている。満足している……のか? ただ、シュレアのジョークセンスは壊滅的かもしれない。そっと見守ろう。
「種は前から用意してありました。しかし汚染されているので浄化が必要です。こちらもお願いできますか?」
「もちろん」
シュレアの触手が差し出してきたのは、大きさや色がまちまちの粒だった。
へー、これが異世界の種か。一体どんな野菜が生えるんだ? ていうかトマトとか玉ねぎってこういう種だっけ? まあ異世界だし僕の常識が通じないことの方が多いか。
「浄化」
しょわわぁー。
種を浄化して畑に植えていく。
シュレアの触手が伸びて次々に種を選んでは植え、選んでは植えた。仏頂面だけどとても丁寧に種を扱っているのが印象的だった。
そんなに大きい畑でもないからすぐに全部植えられた。
「これで完了です。ありがとうございます」
「いえいえ。お疲れ様。これからどうするの?」
「部長として野菜の成長を見守ります」
そう言うと畑の前に座り込んで、じっと見つめる。怖い顔だ。本人は真剣なのだろうけど。野菜たちもびびるんじゃないかな。でも可愛いから問題なし。あとタイトスカートからちらちら見えてつらいです。そっちには何も着けてないんだよね……。
……うん、そっちの服も買ってあげよう。もちろん僕の心の平穏のためにね。
シュレアが野菜見守りに徹していると、プテュエラが難しい顔で話しかけてきた。
「なあ、ケイ。私も部活作りたいんだが、いいか?」
おっ、プテュエラもとうとう作るのか。
「もちろん。一体どんな部活?」
「肉部だ」
「肉部」
直球だ。自分の欲求ど真ん中ストレート。飾らないところがプテュエラらしい。
「プテュエラらしいね。どんな活動するの?」
「それに悩んでいるが、どうすればいいと思う?」
あー、そういうことか。テーマはできたけど具体的な活動がイメージできないってことね。ふーむ。
「肉部ってことは肉を食べたいんだよね?」
「そうだ。いろいろ考えたんだが、繁殖以外には肉を食べるのが好きだと分かったからな」
繁殖も好きなのね。よかったです。素直に嬉しい。僕も好きですはぁと。
「難しく考えなくていいんじゃない? 例えば肉が好きなら色んな肉を食べて、どれがどんな風に美味しいとか記録してみんなに教えてあげるとかさ」
グルメブログみたいなもんかな。いやプテュエラの場合は肉を食べたい、だから料理というよりジビエかな?
これは本格的に紙やペンが必要になってきたな。シュレアもあった方がいいだろうし。
「なるほど! 面白いなそれは。
うむ……私が肉に詳しくなって、他の亜人や子供に伝える……。
素晴らしい。なんて素晴らしくて楽しそうなんだ」
うわっ、プテュエラが感動している。キラキラした目で見られているよ。ちょっと怖い。
「それでいこう! 肉部は肉の美味しさの探求とその記録だ! 部長は私だよな?」
「プテュエラ以外にいないよ」
「なら決まりだ。よし、森中の肉を狩ってくるぞ。ちょっと行ってくる。肉の浄化は任せる。では」
あっ、ちょっ。
……行ってしまった。心配だなあ。プテュエラじゃなくて、森の魔獣たちが。プテュエラが本気出したら絶滅するんじゃない? でも楽しそうだからいっか。
「……」
岩場にベステルタが座って何やら思案している。考えるベステルタだ。
「ベステルタも部活に悩んでいるの?」
「そうね……。私のやりたいことって何かしら。それを考えていたの」
おお、青少年の悩みみたいだな。分かるよ。僕もやりたいことなくて悩んでた。結局何も見付からなくて、適当に就職したら大失敗したんだけどね。
「二人を見て焦る必要はないよ。本当にやりたいことなんて、簡単に見付かることじゃないんだ」
「そうね。難しいわ。こんなに考えることなかったし」
「分かるよ。ただ、簡単じゃないけど意外と単純なことだったりするからふとした瞬間に気付いたりするよ。二人を手伝ったりしながらゆっくり探そう?」
「ええ……そうね。そうするわ」
そう言ってベステルタがにっこり笑ってくれた。元気だしてくれたかな。それなら嬉しい。僕はやりたいことが最後まで見付からなかった勢だ。だから、みんなにはとことん楽しんでほしい。……もちろん自分のためにね。
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