絶死の森で絶滅寸前の人外お姉さんと自由な異世界繁殖生活 転移後は自分のために生きるよ~【R18版】

萩原繁殖

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スローグルメ繁りライフ

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 朝起きると何となく身体が重い。うわ、足の先までべっとべとだ。それでも寝れてしまう僕の眠りの深さやばくないか。

 三人ともぐっすり寝ている。というか寝相が悪い。ベステルタは逆さまになっているし、プテュエラは頬張ったままフガフガ寝ている。シュレアは……今気付いたけど、僕蔦まみれだ。動きづれえ。動くと触手がうねうね逃さないように余計絡めてくるし。なんなんだ。

 何とか這って出て、伸びをする。
 あーっ! 良い朝だ!
 街もいいけど、やっぱり森だよね。絶死だけど。

 さて、森でやることは基本的に繁殖メインだけど、やりたいことはたくさんある。
 開拓、グルメ、拠点拡張などなど。
 久しぶりに亜人たちと訓練もしたいし、浄化作業も必要だろう。少し森を冒険してみたいという気持ちもある。

 まあスローグルメ繁りライフを楽しまなきゃね。
 
「あー、おはようケイ」
「頭がズキズキする」
「身体を樹木化し過ぎました……」

 だるそうな三人。そりゃあんなにすればね。シュレアはすごいことになってる。樹に人が埋め込まれているというか、半樹半人だ。

「シュレアかなり貪ってたもの」
「正直引いた」
「くっ……。何ですかその目は。嫌ですね」

 樹葬しますよ、と冷たい目で睨んでくる彼女に微笑み返すくらいには心に余裕がある。最近ポンコツ部分が見えてきて嬉しい。

「朝ごはんどうする?」
「んー、どうしようかしら」
「簡単なのでいいぞ」
「プテュエラ、それではケイが困ってしまいますよ」
「……そうなのか?」

 そうだよ。

 簡単なのでいい、というのは、めちゃくちゃ難しい注文だ。相手の「簡単」なんて分からないからな。それでカップ麺出した妻に夫ブチ切れ妻ブチ切れ返し、なんてよく聞いたよ。

「ケイ、私は料理に詳しくないですが野菜と肉のさっぱりしたものが食べたいです」
「あー、そういうのもいいわねー。もっと野菜の美味しさ味わいたいわ。この前のフレイムラグー最高だったし」
「何か悔しいがそれで頼む」

 ベステルタが野菜を好きになってきてくれて嬉しいよ。憮然とするプテュエラはもふもふしたくなるね。

 そしてシュレアのなんて具体的かつ可愛らしい回答だろうか。

 よし、張り切っちゃうぞ。

 野菜と肉のさっぱりしたやつ。

 そうきたらやはり冷しゃぶサラダではないだろうか。

 そして冷しゃぶは豚、もといダンプボアだ。

 野菜は……玉ねぎ、トマト、そしてレタスが欲しいところだが。

「シュレア、レタスってある? ていうか分かる?」

「分かりますよ。畑で育ててあります」

 ふふん、とドヤ顔。ただ、半分樹なので埋め込まれた人間が苦悶に喘ぐようにも見えて怖い。

「えっと、じゃあ取ってくるよ」

「私が案内します。ふんぬっ」

 シュレアの気合い入れると、身体がみるみるうちに元に戻っていった。どういう仕組みなんだそれ。

「うおーっ! すごい!」

「ふふふん」

 ごきげんなシュレア。でもこれはすごいよ。
 この野菜畑はもう野菜園と言ってもいいだろう。いや、楽園かな。

 あらゆる野菜が縦横無尽に生えていている。僕が浄化した土の面積より広い。シュレアが魔法を使ったんだろうけど、かなり拡張されている。広めの公園といったところか。

 しかも野菜のサイズがどれも大きい。みずみずしく、たっぷり栄養を含んでいそうだ。

 ただ、ここまでぐっちゃぐちゃに生えていると収穫が大変そうなんだけど……。

「レタスですよね。ちょっと待って下さい」

 シュレアが畑に手をかざすと、うねうねと野菜たちが動き出し、レタスの行列ができた。賢樹魔法やべえ。農家垂涎じゃん。

「何個必要ですか?」

「とりあえず一人一個かな」

「了解です」

 シュレアが手を広げるとぽんぽんレタスがジャンプして飛び込んだ。じゃれつく犬かよ。

「さ、行きましょう。美味しいご飯が待っています」

 ホクホク顔のシュレア。幸せそうでよかった。

 その後、生活魔法で野菜たちを洗い、買ったばかりの包丁で切っていく。その間生活魔法で作った水を鍋に入れ、生活魔法で起こした炎で沸かしていく。生活魔法大活躍だ。

 ダンプボアのモモ肉を薄く、大量にスライスして茹でる。この包丁よく切れるなー。シルビアにお礼言わないと。

 問題はタレだ。ドレッシング。
 冷しゃぶには胡麻ドレと古より決まっているのだが、マヨネーズの手作り経験はほぼない。幸いごまは何故か香辛料として袋に入っていた。まあ、頑張るか。

 ボウルに卵をしこたま投入。お酢と塩を入れ、泡立て器で混ぜる。とにかく混ぜる。ミスったレモンあるか訊けばよかった。仕方無いから今日はこれでいこう。

 香辛料の袋から黒胡椒を取り出し振りかける。マスタードでもいいんだけど、流石に無かった。これでもうまいよ。要はアクセントだ。

 これらを混ぜ合わせ、少しずつ植物油を足していく。ほぼオリーブオイルだなこれ。良い薫りだ。

 最後に胡麻を入れると一気に重たくなる。うっ、手首が痛い。結構な量を作ったので腕が吊りそうだ。悔しいから練喚攻を発動したらめちゃくちゃ余裕になった。

「できた!」

 ダンプボアと絶死の森産野菜の胡麻ドレ冷しゃぶ。完成。

 小洒落た食器に盛り合わせ、皆を呼ぶ。

「あら……なんだか華やかね」
「肉も結構盛ってくれたんだな。この茶色い液体は何だ?」
「何だか野菜が喜んでいる気がします」

 皆を興味津々だ。こっちとしても作った甲斐があったよ。

「冷しゃぶサラダだね。上にかかっているのは胡麻ドレッシングだよ。香ばしくてまったりして美味しいんだ」

「ふーん、とにかく食べてみましょう」
「いい匂いだな。香ばしい」
「楽しみです」

 じゃあ、頂きます。

 まずは何もつけずにレタスをパクリ。

 パリッ、しゃくっ。
 
 うーん、みずみずしくて美味しい! 苦味もほとんど無いな。爽やかなレタスの味だ。

 次はごまドレごと全部頂く。

 むぉーっ、うまい。ごまドレが思ったより味が濃い。異世界の胡麻すごいな。マヨネーズが負けている気がする。ふむ、これは調整が必要だね。でも美味しいことには変わりない。

「ケイ、わたしこれ好きだわ。好きな味」
「うまいな。この胡麻ドレが最高だ。香ばしさが肉と野菜に深みを与えている」
「胡麻育てますね」

 三人とも好評のようだ。いやー、よかった。
 皆一回ずつお替りして、ごちそうさました。

「腹ごしらえもしたし、訓練に行くわよ」

 ベステルタが皿を洗う僕を後ろから抱き締めて言った。ばいんばいんが当たる。

「分かった。フランチェスカ使いたいんだけどいいかな?」

「フランチェスカ? ああ、プテュエラが言っていた戦斧ね。もちろん。構わないわ。あの黒豚共を狩るわよ」

 ダイオークね。相変わらず扱いが雑だけど、今回ばかりは僕も楽しみだ。フランチェスカの初陣だからね。
 そうだ、ダイオークの肉も試してみないとな。ベステルタとの訓練中に食べてみよう。

 お昼は訓練に行くことを伝え、昼食を用意しておく。プテュエラにはダンプボアの肉と内臓を焼いたやつ。シュレアには冷しゃぶをフレイムベアバージョンで。

 それで準備運動だ、と言わんばかりに三人で一回ずつ繁った。一人が繁っている横で、二人が談笑しているのがやたら興奮した。僕、こっちに来てからおかしな回路が増えている気がする。

 シュレアは野菜畑とリンカにアドバイス(なんの?)と浄化調査、プテュエラは美味しそうな肉とコス茶を採取しに行くそうだ。その時シュレアからいくつか野菜をもらった。むふふ、料理の幅が広がりそうだぜ。

「じゃあわたし達も行きましょうか」

「うん」

 そう言って駆け出すベステルタの後を追う。今日からはこうやって、少しずつ走ることも取り入れていく。森は足場が不安定だから、良いトレーニングになるらしい。じっさい中々キツかった。

 そんなこんなで、ダイオークの集落まで走っていく。
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