絶死の森で絶滅寸前の人外お姉さんと自由な異世界繁殖生活 転移後は自分のために生きるよ~【R18版】

萩原繁殖

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何してくれているのかしら

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「うっし、座学はこんなもんだな!」

 ラーズさんが大きめの声を出すと、こっくりこっくり船を漕いでいた冒険者たちが慌てて起きる。最初こそラーズさんの話を熱心に聴いていたけど、どんどん居眠りする冒険者が増えてしまった。

 居眠りなんてする暇ないほど面白かったんだけどな。馬鹿にするつもりは無いけど、座学に慣れてないのかもね。この世界は義務教育とか無いだろうしな。もちろん日本式詰め込み教育と無意味な会議で鍛えてきた僕にはこれくらい何ともないぜ。

「じゃあお待ちかねの戦闘訓練だ。ダンジョン入る前に軽く訓練場に移って、お前らの実力を見るぞ!」

 冒険者たちもやる気だ。やっぱり身体を動かしている方が好きなんだろうな。

 さて、授業サボってるヤンキーベステルタを呼ばないとな。ヤンキー……。ヤンキー座りで僕を見下ろして、ヤンキーピストン……。ミニスカセーラー服から覗く筋肉質の紫生足……。想像しただけで精通しそう。

「おーい、ケイ。講習どうだった?」

 ラーズさんに呼び止められて感想を聞かれた。

「楽しかったです。すごくためになりました」

 小並感。

 いや、だって他に言うこと無いよ。分かりやすかったし、ためになったし。ラーズさんの経験談も面白かった。

「そうかそうか。結構寝てるやつもいてよ、心配したんだ」

 恥ずかしそうに頭を掻くおっちゃん。可愛いなこのおっちゃん。友達多そう。

「若い冒険者は血気盛んだろうし、やっぱ身体動かしたいんじゃないんですかねえ」

「あーやっぱそうだよなあ。知識の大切さも知ってほしかったんだがな……。ま、なら仕方ねえ。身体に刻み込んでやるぜ」

 ニヤリ、と不敵な笑みを浮かべる。こりゃ寝ていた奴らしごかれそうだな。

「そういやあのすんげえ別嬪な姉ちゃんはどうしたんだ?」

「ああ……すみません、彼女も身体動かす方が好きな部類なんですよ。後で僕が言っておきますよ」

「おお、そうだったか。あの姉ちゃんめちゃくちゃ強そうだしな。もしかしたら戦闘訓練でお前たちに手本で組手でもしてもらうかも知れないからよ、宜しく頼むぜ」

 ふぁっ。マジかよ。人前で組み手? 罰ゲームかな? ていうかベステルタと本格的な組み手とか命がいくつあっても足りないんだが?

「僕のちんけな組み手なんて人に見せられるもんじゃないんですが……」

「そんなことねーよ。だいたいお前らがツーリンたちぶちのめしてたの見てるんだしよ。初心者たちは命のやり取りはおろか、戦闘経験も無い奴らが多い。少しでも経験を積ませてやりたいんだ。
 次の講習では冒険者同士の組み手メインでやるからよ、お前らは適当に相手してやってくれ。最後にケイと姉ちゃんの模擬戦だ。じゃ、頼んだぜ」

「まっ、待ってください。本当にやるんですか?」

「あたりめーだろ。むしろお前たちは既にJクラスの器じゃないし、早めに実力示した方がいいぜ? 隣の席のガキどもに絡まれてたろ? 適当にあしらっていたみたいだが、それじゃだめだ。冒険者なんだから腕っぷしで実力を示しな。ここじゃ実力を隠す方が嫌われるぜ? あとその馬鹿丁寧な口調は止めろ。サブイボが出るわ」

 どうやらマジでやるみたいだ。でも言ってることは正しい。まあ確かに舐められっぱなしってのもよくない。僕はまだいいとして、ベステルタが舐められるのは癪だ。舐めていいのは僕だけだしね。ぺろぺろ。

「わかったよ。やらせてもらうよ。でも、僕はともかく彼女はあんまり手加減できないよ?」

 亜人と人間はけっこう死生観違うから心配なんだよな。

「まあ、ちょうどいいだろ。冒険者なんて何が起きてどう死ぬか選べないからな」

 いや、さすがにベステルタだってよっぽどのことがなきゃ死ぬくらいまで追い詰めないと思うけど……。

「よっし。じゃあ任せたぜ。強者の格ってのを教えてやってくれ。適当にぶつかって後は流れで頼む」

 その言い方だと八百長になっちゃうよ。

 はー、なし崩しに決まってしまった。強者の格とかはずいんですけど。亜人たちと一緒にいると、人間レベルで強さを競うのって愚かに思えてくるんだよな……。みんなスーパーサ○ヤ人みたいなもんだし。いやサイ〇亜人か?

…………


……

 場所は移ってギルド併設の訓練場。

「うらあ!」

 可愛い顔で僕に肉薄する少年。練習用の木刀を振りかざしている。さっき隣席だった冒険者だ。

「やめなよ」

 ひょいっ、と足をかけて転ばす。めちゃくちゃ遅い。マスキュラスなら五回は馬鹿にしてくるよ。

 勢い余って、ずざーっと顔で地面をスライディング。「くそがぁっ」と悔しがって地面を叩いてる。

「てめえ! 俺を馬鹿にしてんのか! 真面目にやれよ!」

「興味ないね」

 いやー、一度言ってみたかったんだよね。異世界では皆元ネタ知らないだろうから言い放題だね。

 あああーっ! と悔しがって突撃してくるキュートフェイス少年。ギリギリまで避けないで、今度こそ当たると思わせておいてまた足を引っ掻ける。

 そんなことを十回くらい繰り返している内に少年も学習したようで、無闇に突っ込んでくるのは止めたみたい。

「絶対ぶっとばしてやる」

 ぎりり、と歯を食い縛って木刀を構える少年。すごい意気込みだ。見習いたい。

「っ! おらぁ!」

「おっ」

 少年は同じように突撃すると見せかけて足元の砂を巻き上げて目潰しをしてきた。パターン変えてきたな。

「もらった!」

 で、突撃か。それじゃ何も変わらないじゃん。

「亜人キック!」

「ぐぼあっ!」

 練喚攻で五感の鋭さビンビンの僕には、目を瞑っていてもこれくらいなら簡単に把握できる。

 突撃のタイミングに合わせてカウンターの前蹴り。ポイントは強者の余裕をもって無造作に蹴ることだ。

 どっっ、ごっっ!

 僕の無造作な蹴りは少年の腹にめり込んで、一瞬の後。

「ひゅっ!」

「あっ」

 ひゅるるるる……。

 あ、あれ。すごい吹っ飛んでる。身体が空中でくの字になっていることがはっきり分かる。

 ドンガラガッシャーン!

 かなりの滞空時間を経て少年冒険者は訓練所の壁に激突した。ぴくりとも動かない。

「ターク!」

 少女冒険者が僕がふっ飛ばした少年に駆け寄る。あー、そんな名前だったっけ?

「おー、けっこう飛んだな。誰か、そいつを介抱してやってくれ」

 ラーズさんがまるで野球観戦してるみたいに言った。呑気だな。自分でやっといてあれだけど大丈夫かな?

「……う、ぐぐ」

「ターク! よかった……」

 少女がターク少年に意識があることを確認しほっとしている。

「ケイ、いい蹴りだったわよ。殺気も無く脱力できていたわね」

 ぱちぱち、と手を叩いて誉めてくれるベステルタ。そ、そんな誉められるような蹴りだったのかな。

「ありがとう。ベステルタの方はどう?」

「わたし? 暇すぎて欠伸が出るわ。これならコス茶採取していた方がマシ」

 ベステルタはふわぁと欠伸をし、髪をかき上げ、親指で後ろを指差す。こういう何でもない仕草がめちゃくちゃ様になるな。何ていうか、スーパーモデルと百獣の王の相反する気品を併せ持つというか……。

 そんな彼女に見とれつつ、指差した方を見る。

「つ、つえぇ」

「何をされたの……?」

「足がぁ足がぁ」

 死屍累々。いや、死んでないけど。若い男女の冒険者たちが唸ったり苦しんだりして横たわっている。

「まったく、あいつら弱いとかそんなレベルではないわよ。これで冒険しようっていうの? 冒険に失礼よ」

 ぷりぷり怒るベステルタ。ぷりぷりのお尻もみもみしたい。

「まあ、初心者だから仕方ないんじゃない?」

「ケイは初心者でも強かったわよ?」

 そうだっけ……? 僕の初戦ってなんだ? フレイムベア先輩はご挨拶に伺っただけだから、ダイオークになるのかな。うーん、そんなに戦えてたかな?

 ……あっ、まあ、亜人との戦い(繁殖)ならやれてたかも。耐えてただけだが。

 そんな風に考えていると、少女冒険者が僕に文句を言ってきた。

「おまえ! ここまですることないでしょ! タークが怪我しちゃったじゃない!」

「パ、パメラ。やめるんだな」

 そばかすのある頬を赤くして怒鳴ってくる。太っちょ獣人はおろおろしつつも仲裁しているみたいだ。

「ぐ……肋骨が……」

 タークくん? が苦しそうに呻く。そんなに強く蹴ったかな……。うーん、何か申し訳無くなってきた。

 ラーズさんを見ても「自分で解決しな」と肩をすくめるだけだ。このオヤジィ。
 
 仕方ない、自分で何とかするか。

「うーん、ごめんね。そんなに強くするつもりなかったんだよ」

「そんなわけないでしょ! タークが将来有望だから嫉妬したんだろ! この卑怯者!」

 そばかす少女がめっちゃ唾を飛ばして怒ってくる。可愛いから全然気にならない。ご褒美シャワーかな。

「そんなことないよ。誤解だ。ほら、手を貸すよ」

「いるか! ペッ!」

 苦しむタークくんに手を貸そうとしたら、少女に唾吐かれた。掌に。なにこれ、化粧水?

「タークに触るなっ」

「パメラ、や、やりすぎなんだな」

 おい、太っちょ。止めなくていい。止めはすまいって言っていいぞ。これ集めて売ったらお金になるかな。

『お前、何してくれているのかしら』

 そばかす少女の後ろに紫影がゆらりと音も無く立つ。
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