絶死の森で絶滅寸前の人外お姉さんと自由な異世界繁殖生活 転移後は自分のために生きるよ~【R18版】

萩原繁殖

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報告と会議

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 シャフナさんに巣食うアセンブラの因子を浄火した後、僕たちは教会に戻ることにした。ちょっと相談したいしね。本当はシャフナさんから色々訊きたかったんだけど、今は親子の時間を過ごさせてあげたい。シャロンちゃんに何度もお礼を言われた。よかったよ。これであの時の恩返しができた。そのことを伝えるとひどく驚いていたけど、とても喜んでくれた。

 教会に戻る帰り道。

「我が右腕が疼く……」

「そうなの? 大丈夫? 痛いの?」

 我慢出来ずにぼそっと呟いたら、心配されてしまった。違うんだ、痛いのは僕の頭だ。

 あまりに目立つので、鞄から以前シルビアから購入した布を巻き付けた。や、やばい。これはこれでかっこいい。

「解き放て我が力よ……」

「ケイ、ここであの力を解放してはだめよ。目立ってしまうわ」

 優しげに労ってくれるベステルタ。ごめん、黒歴史解放系契約者でごめん。

……

「ただいまー」

「おかえり……ってどうしたのその腕?」

 教会に帰るとシルビアが出迎えてくれた。上はシャツ、下は相変わらずのパンイチスタイルだ。だらしないお肉に、食い込み気味の群青縦縞。バリエーション豊富だよな。ていうか今朝一人繁り知られたの恥ずかしそうだったのに、これはいいんだから不思議だ。

 布を巻き付けた腕を凝視してくる。まあ目立つわな。

「後で皆を集めて説明するよ……。皆は?」

「カリンは洗礼終わって休んでいるところ。マイアが世話してる。ルーナは裏の空き地で子供たちの稽古? なんかスラムの人達も混ざってるみたいだよ。フェイさんもいる。あと、さっきまでドワーフの大工さんが来てたよ。フェイさんと熱心に話してた」

 フェイさんとドルガンさんちゃんと会えたんだね。よかった。

 ほー、ルーナが相手してくれてるのか。初めは子供たちとちゃんと接することが出来るか心配だったけど杞憂だったね。ていうかスラムの人達は何してるんだ?

「シルビアは?」

「朝言ったじゃん。コスモディアだよ」

「……本当にコスモディアだけ?」

「だからそうだって……。な、なんなの。殴るよ?」

 顔を赤くして叩こうとしてくるのを華麗にスルー。

 よしよし、やっぱり恥じらいは大事だぜ。


「御主人様。おかえりなさいませ」

 裏の空き地に行くとルーナが僕を見つけ挨拶してきた。彼女の前に何人もの屈強そうな男が這いつくばっている。なんだこれ。

「あっ、ししょーーー」

「アニキーーー」

「お姉様ぁぁぁん」

 後からザルドたちがわーっと寄ってくる。息は上がっているけど楽しそうだ。

「か、からだが……」

「おげぇぇ」

「もう少し手加減を……」

 屈強そうな男たちはスラムの住人だった。何人か見たことあるな。あー、たぶんフェイさんの周りにいた人たちだ。

「奴隷の姉ちゃん……稽古つけてくれるのは有り難いが、これは訓練なんだから、手加減しないと誰もついていけなくなるぜ……うぷっ」

 あっ、パウロいるじゃん。地面に倒れ口に手を当て今にも吐きそうになっている。ていうかなんで訓練なんてしてるの?

「その言葉、戦場でも言えるのですか?」

 ルーナが無表情かつ冷徹にパウロとスラムの男たちを見下ろす。ぞくぞくする。早くあの冷たい感じで繁られたい。

「……いやまあそうだけどよお」

 納得いかなさそうなパウロたち。気持ちはわかるけどね。

「私は御主人様の奴隷であり、あなた達とは何の関わりもありません。あなた達の要望を受け入れて下さったカリン様の命を受け、相手しているだけです。そもそも死なずに実戦を経験できることに何が不満なのか? 納得が出来ないのならこの場から去れ」

 口調が変わってるんだが……。牙が剥きだしになる。めっちゃこわい。

「うっ」

 すげえ、強面の男たちを相手にルーナ一歩も引かないよ。それどころかパウロたち気圧されてる。こわい帰還奴隷兵こわい。

「パウロ、ルーナさんの仰る通りです」

「ぼ、ボス」

 おっとフェイさんの登場だ。ドルガンさんとは会えたのかな。

「パウロ。あなたたちのスラムを守りたい、使徒様やジオス様のお役に立ちたいという気持ちは素晴らしいことです。しかし、戦いの場に身を置くとは生半可な気持ちでは勤まりません。常在戦場、いつでも戦う準備ができていないといけません。それができない者は、去ることを許可します。誰も責めません」

 凛とした面持ちで言うフェイさん。

 おお、さすが。スラムを長年仕切っていただけあってカリスマがあるな。優しさと厳しさを両方併せ持っている。スラム住人たちもじーん、としているよ。

「お、俺は去らねえぞ!」

 一人の男がよろよろと立ち上がる。ぼろぼろだけど目が真剣だ。

「死にかけの母ちゃんが、使徒様の奇跡で救われたんだ! 俺はジオス様と使徒様、カリン様に身を捧げて生きるって決めたんだよ!」

 あ、やばい。この流れは。

「お、おいらも!」

 髪も髭もボサボサで、どうしたらスラムでそんな太れるのかってくらい肥満体型の男が叫んだ。

「おいら、パパ、ママに飯食わせてもらって甘えてばっかりで、役に立たない穀潰しだけど……。あの奇跡はこんなおいらでも病気から救ってくれた! 信仰心なんて無かったけど、今なら神の御業を信じられる! パパ、ママ、おいら神の奉仕者になるよ!」

 なんでよりによってそれを選ぶんだよ。もっと他に選択肢あるだろ。

 ていうか、もしや彼はニートか? この世界にもニートがいたとは。もしかして成人病で苦しんでいたのか?

 後ろでご両親らしき人物が、ぼうや立派になって、と泣いている。なんだこれ。

「わしもじゃ! 余命幾ばくも無いが、こんな老いぼれでも救ってもらった命、使徒様に捧げるつもりじゃ!」

「うおおおおおお!!!」

「ジオス様に栄光あれ!」

「使徒様ばんざあああああい!」

 老若男、が落ちていた木刀を手に持ち、鉄面皮のルーナに突撃していく。そして速攻で吹き飛ばされていった。それでも次々に立ち上がり、立ち向かう。その姿は……ゾンビアタック?

 ていうかルーナの動きがすごい。常に死角に回りつつ、相手が重なって動きづらいポジショニングから、鋭い攻撃を繰り出している。石をぶつけたり、砂をかけたり、なんでもありだ。でも金的はやめてあげて……。ほら、白目剥いて一人倒れた。うぅ、僕もひゅってしてきた。実戦的過ぎるよ。これ、あれじゃない。クラヴ・マガってやつじゃない。さながらルーナ・マガか。

 それでもスラム住人もとい信者たちは戦意を失わない。目を爛々とさせて突っ込んでいく。

 信仰心ってこんな感じでいいんだっけ?

 つらい。

……

 信徒たちの暑苦しく狂気に満ちた訓練が終わり、当初の予定通り関係者を孤児院の大広間に集めて会議を開いた。

 メンツは僕、ベステルタ、プテュエラの絶死の森組。
 カリン、シルビア(さすがに服は着ている)、ルーナ、マイアのリッカリンデン組。
 フェイ、パウロのスラム組。
 そしてゴドーさんだ。

 マジで気が重い。まず会議って言うのが嫌だし、話が狂信者系に行きそうなのもこわい。

「で、なんだ? 俺は部外者だろうが。製造機の様子見に来ただけだぞ?」

「まあまあ、ゴドーさんの力も必要になりそうだからさ」

 ならしゃーねーな、とまんざらでもなさそうな表情で席に着くゴドーさん。そこまで狂信していない彼がいることでずいぶん気が安らぐ……。まさか熊顔のおっさんに安らぎを覚えるようになるとはね。ちなみに彼はちょうどコスモディア製造機のメンテナンスに来ていたところを無理やり参加させた。まあ、この人なら問題ないだろ。

「それで、ケイ様。お話とは? その右腕と何か関係があるのですか?」

 カリンが少し不安気に訊いてきた。そうだよね。やっぱ気になるよね、これ。でも話の持って行き方をどうしようか悩む。

 うーん、いきなりヘビーな話するのもあれだし、亜人ハウス建造計画について訊いてみるか。

「そうなんだけどね。その前にフェイさん、ドルガンさんには会えた?」

「はい、ドルガン殿とは問題なく話すことが出来ました。いささか興奮しておられましたが、ケイ様の御手紙のおかげで滞りなく案件について意見を交わすことが出来ました。……ケイ様」

 フェイさんはすっと佇まいを直し、片膝をついた。パウロさんも慌ててそれに倣う。ああ……結局こうなるのね。

「ドルガン殿から話を聞いてからというものの、胸に去来するのは貴方様とジオス様の偉大さばかりでございます。スラムを救ってくださるだけではなく、仕事まで斡旋して下さるとは……。スラムの代表として感謝の念に堪えません。この御恩は末代までかかっても返しきれそうにありませんが、せめてこの身が滅びるまでケイ様とジオス様に尽くす所存です」

「しょ、所存でさあ」

 フェイさんの目がクリアに澄み切って一切の濁りが無い。
 
 よくこんなセリフがすぐに出てくるよな。カリンも感心したように頷いているし、もしかして練習したのか? おいおい、スラム住民が総出でこんな話し方したら僕の羞恥心が粉々に砕け散るよ。もう、パウロの全然言えていないところにものすごく安心感覚えるもん。

「さらに、事業内容はケイ様と亜人様が暮らす繁殖宮殿の建造だとか。素晴らしいです。スラム住民一丸となって着手させていただきます」

 ……宮殿か。へ、へえー、そんな計画が僕の知らないところで進められていたんだね。頼むから嘘だと言ってくれ。繁殖宮殿? 何がどうねじ曲がってそうなったんだよ。宮殿はきっとドルガンさんが大げさに言ったんだろうけど、繁殖って。誰かが漏らしたのか? もしかしてカリンか?

「……ふふ、ケイ様。本日も凛々しいです」

 カリンを見たら寝言を言ってきた。僕が凛々しかったらマスキュラスが映画の主役になれるよ。でも、この感じだとうっかり言ってそうだな。いやもう、フェイさんなら知っていてもいいけどさ。逆に話す手間が省けたか。 

「宮殿だぁ?」

 それまで静かに話を聞いていたゴドーさんが声を上げた。

「ケイ、お前そんな悪趣味なもん造ろうとしてんのか?」

「……悪趣味?」

 フェイさんのこめかみにビキビキと血管が浮き出る。

「貴殿、鍛冶屋のゴドーと言いましたか? 使徒様が住まわれる宮殿を悪趣味とは……信仰心を炉に置き忘れてきたのでは? 本当にジオス教徒ですか?」

「ケッ、こちとらてめえが生まれる前からジオス教徒だっての。ジオス様に跪いて数日の若造が俺に信仰を説くなんて、可笑しくてオークが生肉残すわ」

「ほう……」

 テーブルを挟んでいて良かった。まさか君らが相性悪いとは思わなかった。今にも殴り掛かりそうだよ。

「ケイ様の知人ということで見逃していましたが……そもそもその言葉遣いからして敬意が足りていません。一度矯正する必要がありそうですね、拳で」

「おーおーやってみろよ。こちとら昔は冒険者でそれなりだったんだ。ケツの青いお子様の拳なんていくら喰らっても欠伸しかでねーわ。大体、お前らはケイを恭しく扱い過ぎなんだよ。こいつは使徒で俺たちにとっての福音だが、心を持った人間なんだ。尊重した上で敬意を払わないと潰れちまうぞ」

「それは……」

 歯切れの悪くなるフェイさん。

 ゴドーさんが僕の心を代弁してくれた。思わず泣きそうになったね。やべーよ。泣きそうだよ。熊顔のおっさんとか言ってごめん。

「俺たちはジオス教徒なんだ。同胞なんだぜ。こんなところでいがみ合ってどうする。敵はアセンブラだけで十分だ。これからお前ら若い奴らの時代なんだ。頼むぜ?」

 にやり、とゴドーさんがダンディに決めてきた。熊が牙剥いただけだけど。でも、雌熊がいたらたぶんイチコロだったんじゃないかな。渋すぎる。信仰心の年季が違うぜ。

「……失礼いたしました。私の気が逸っていたようです。武の道に通じるものが己の心を乱すとは、恥ずかしい限りです」

「おうよ、気にするなよ若いの。一緒に頑張っていこうぜ」

「はい、ゴドー殿」

 二人は和解の笑みを交わし、ここに信仰と言う名の鎖でつながれた同胞が生まれた。

(ケイ、なにこれ?)

 シルビアが小声でよく分からなそうに尋ねてきた。たぶん……男の世界ってやつだよ。
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