絶死の森で絶滅寸前の人外お姉さんと自由な異世界繁殖生活 転移後は自分のために生きるよ~【R18版】

萩原繁殖

文字の大きさ
147 / 287

2連敗なんて

しおりを挟む
 いろいろ話し合った結果、今後はバステンを奴隷長、ルーナを副奴隷長として扱うことにした。二人は早速、今後の方針を話し合うことたようだ。僕がいたんじゃ話し合い辛いかもしれないから、ルーナに「今日はあまり無理をしないように」と言って部屋から出た。

「あ」
「きゃ」

 部屋を出るとすぐそこにシルビアがいた。聞き耳を立てていたのだろうか。

「え、えっと」
「……またあとで」

 僕が何か言おうとする前に彼女はぼそっと言って足早に去ってしまった。見た感じ、激怒していた訳じゃなさそうだ。カリン、うまく言ってくれたのかな。

 それにしても。

 いやあ、どうすっかなこれ。

 午後の商業ギルドのプレゼンを前に、僕とシルビアの間にはなんとも言えない気まずさが流れていた。人間関係って難しい。

「この後どうしようかな」

 午後まで時間が少し余ってしまった。シルビアとの関係改善に努めた方がいいんだろうけど、今すぐに話しかけに行くのは悪手な気がする。

「そうだ、ニステルは戻ってきたかな?」

 あの問題児にバステンとルーナの言うこと聞くように言っておかなきゃいけない。

……

「……! ……っ!」

 建物の外に出ると、訓練所建設予定の空き地でニステルがズタボロになって這いつくばっていた。目の前にはプテュエラがおり、羽を楽しそうにバッサバッサと動かしている。

「………っっっ!」

 ニステルが何やら必死の形相で叫び、プテュエラに飛びかかるが風壁に弾き返され、追撃の風弾が容赦なく彼女を襲う。
 あっ、これプテュエラが周りに迷惑かけないように魔法で防音仕様にしてんな。
 プテュエラと目が合うと、彼女はニコリと笑って一部の防壁を解いて中に入れくれた。

「お邪魔します」

「くっ……そ、ガぁ!」

 プテュエラの暴風で遮断されていたのは、音だけでなく匂いもだった。ニステルのむせ返るような汗と血の匂いが鼻腔を刺す。

 あれほど僕とルーナに絶望的な戦力差を強いてきたニステルも、亜人の前では圧倒的敗者としてひざまずくしかなかったみたいだ。

「このあたしが、二連敗なんて、してたまるか……ぐぼぁっ!」

 彼女はプライドと気力で立ち上がるが、そこに鼻歌交じりで何十発もの風弾が機関銃のように飛んできて、鍛え抜かれた女剣闘士の身体を穿っていく。

「がっ、あっ、ぐっ、がっ」

 上下横下上上横。

 あらゆる角度から飛んでくる風弾になすすべ無く、だんだんとニステルの身体が衝撃で浮かび上がっていく。

 全方向からの風弾によって、空中に縫い付けられているのだ。

 やがて無慈悲な風の嵐は過ぎ去り、力を失ったニステルは白目を剥いて、どうっと倒れ伏した。ちょろちょろと失禁水が地を濡らし、まごうことなき完全敗北の土ペロだ。

 それでもなお、その手には愛用の大剣が握られていた。

「ふうむ、確かに人間にしては頑丈だな。悪くない」

 プテュエラはちょっと感心したように頷いている。

「プテュエラ、かわいがりはその辺にしてやって」

「ん? こいつが殺気を飛ばして絡んできたから、遊んでいただけだぞ? 昨日言っていた新しい奴隷だろう?
ちょうどよかったから、力を計っていた。……も、もしかして違うのか? 客人か?」

「大丈夫大丈夫、客人じゃないよ」

 一気に不安そうになって羽をばたつかせ始めたプテュエラをなだめ、ついでにもみもみしておく。

 にしても、てっきりプっさんが生意気な新入りに稽古つけてるのかと思ったよ。ニステルはなんていうか、マジで戦闘狂なんだな。サンドリアと戦ってあれだけボコられたのに、わざわざプテュエラに喧嘩ふっかけるなんて、イカれてるよ。

「それで、どうだった? ニステルは? 僕はまあいいとこまでいったんだけど、本気出されて負けちゃったんだよね」

「うむ、そうか。それは仕方ないだろうな。この者は人間の中では指折りの実力者だろう。フレイムベアには負けるだろうが、食い下がれるだろうな」

「えっ、勝ったって言ってたよ?」  

「む? そんなはずはない。フレイムベアの纏う炎は魔力的作用を大幅に減衰させるからな。ニステルとかいったか? こやつの必殺技は見事なものだったが、打ち破れはしないだろう」

 おいおい、あの危険極まりないヴァニラ・ア◯スが使ってそうなクリーム攻撃も使ったのかよ。周りに人いるし建物あるんだぞ。まったく、こいつは分からせないとだめだな。拳で下半身で

「えっ、減衰するならプテュエラの魔法も減衰するんじゃ……」

「いいか、ケイ。確かに減衰はする。しかし、それは同じレベルの相手の話だ。フレイムベアの攻撃をゴブリンが防げると思うか? そういうことだ」

 そういうことらしい。あまりにも隔絶した実力差の前では先輩自慢のつよつよ毛皮もただの紙切れみたいなもんだと……弱肉強食世知辛え……。

「うーん、でもニステルやジャンゴさん、ああ、彼女の前の雇用主ね。彼らが嘘つくとは思えないんだけどな」

「……ふむ。あまり気にしていなかったが、フレイムベアの若い個体は、まだその身にうまく炎を宿らすことができなかったはずだ。おそらく若い個体と戦ったのではないか?」

「……あっ、なるほど」

 そっか、そういう可能性もあったな。

「いやさ、サンドリアが僕が負けたあとに戦ってくれたんだけど、彼女はフレイムベアに手こずるって言ってたからすっごい心配しちゃったんだよ」

「ははは。ケイは心配性だな。生まれたての亜人ならともかく、ある程度成長した亜人がフレイムベアに負けるわけないだろう? 手こずるといっても、私たちが一発で倒せるところを、サンドリアは二、三発必要だ、ぐらいの意味合いだろうさ」

「あ、そうッスか」

 僕の知ってる「手こずる」と違うんですけど……。

 とりあえずプテュエラに手伝ってもらい、ボロボロのニステルを教会の一室に運び込んだ。派手にやられていたけどさすがの回復力と打たれ強さだ。もう回復しつつある。それでも痣とか切り傷がめちゃくちゃあって、生々しい。

 にしてもすげえ体だ。バインバインだし、フェロモンがすごい。ベステルタ系統だけどまた違う色気がある。年齢っていくつくらいなんだろう。四十歳はいってないと思うんだけど。長年、戦いに明け暮れた彼女の身体は古傷だらけで、皮膚は頑丈に厚くなっている。それでも老いは感じさせず、内から湧き出る生命のエネルギーを感じさせた。

「す、ぅ……」

 あとこうやって眠っていると、やたらと穏やかな顔立ちでギャップがすごい。少女性すら感じるあどけなさで、こう、ぐっとくる。

「……あの、これ」

 ニステルの血や汚れを拭っていると、シルビアが扉の隙間からひょこっと顔を出して、コトリと透明な液体の入った瓶を置いた。

「さっきのコスモディアより、濃く作ったやつ。こっちも試してみて」

「あ、ありがとう」

 すると「うん」と言って、ほんの少し笑ってまた引っ込んでいった。シルビアの方から歩み寄ってきてくれたようだ。うう、ありがたい。引かれて押されると好きになっちゃいそう。

 んで、完成したと思しきコスモディアをしげしげと眺める。

「なんか光ってない?」

 光の加減かな、と思ったけどそんなことはない。シンプルに光ってる。薄毛のおっちゃんの頭皮みたいなねっとりした輝きではない、鈍感オブ・ザ・イヤー受賞した僕にでさえ分かる神々しさだ。

「うーん飲ませられないし、とりあえずニステルの怪我してる時に塗っていこう」

 本当はやむを得ず口腔摂取させることも考えたけど、最初だからね。最初は印象が大事だ。最初だけは紳士に行こう。寝てる女性を好き放題にするなんて紳士ではない。許可取るまではだめだ。はやく許可取ろう。

 コスモディアポーション、通称コスポを念入りに塗っていく。くぅ、美魔女戦士のニステルの体に触れてると、やっぱこう、昂ってくるな……がまんがまん……。ほら、ニステルの小皺を数え落ち着くんだ。一本、二本……。

「……小皺消えてね?」

 コスポを塗った箇所のシワが消えている。

 え、もしかしてこれ若返り効果ある?

 背筋がヒヤリとした。
 
 それはちょっと……やばいかも。
しおりを挟む
感想 29

あなたにおすすめの小説

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

うちの冷蔵庫がダンジョンになった

空志戸レミ
ファンタジー
一二三大賞3:コミカライズ賞受賞 ある日の事、突然世界中にモンスターの跋扈するダンジョンが現れたことで人々は戦慄。 そんななかしがないサラリーマンの住むアパートに置かれた古びた2ドア冷蔵庫もまた、なぜかダンジョンと繋がってしまう。部屋の借主である男は酷く困惑しつつもその魔性に惹かれ、このひとりしか知らないダンジョンの攻略に乗り出すのだった…。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

処理中です...