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八試合目終了
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エリザと相手の武器がぶつかり合う状態がもうどれぐらい続いただろうか? お互い譲らず一進一退。エリザは肉体強化系の魔法のみを用いて武器による近距離戦を続行している。狙いとしてはエリザとしては何とかして相手をひるませてからの魔法攻撃でダメージを取りたいところであり、相手はそれを許さずエリザを倒すのが最上と考えているはずだ。
が、お互いに集中力が落ちてきているようで細かい被弾が見受けられるようになってきている。流れから考えるに──この戦いの決着もそう遠くはない、ただ問題はどちらが致命的な一撃を先に相手に対して叩き込めるかだ。むろんそれがエリザであってほしいが、ここまでの戦いを見ると四・六でエリザがやや不利とみるしかない。
(逆境はエリザも多々超えてきた。その経験に期待しよう──決して適わない相手ではないんだ、しかし、エリザの本来の戦闘方法である攻撃魔法を用いる事が難しい状況にされているからな。何とかここを脱すれば、エリザが一転して有利になるはず)
しかし、そのエリザが有利になれる展開をとことん相手は許してはくれない。常に前に出る圧をかけ、エリザの詠唱をする時間を与えてくれない。多少の被弾などお構いなしに押して押して押してくる。こうなると魔法使いであるエリザは辛くなる一方だ。いくら補助魔法で対抗していても元々の戦い方は魔法使い。耐久力はどうしても劣ってしまう。
「絶対に詠唱はさせません! このままごり押しで勝たせていただきます!」「はいそうですか、とは行きませんわ! こちらにだって意地や勝ちたい思いはあるのですのよ!」
双方闘志と意地のぶつけ合い。それに伴って出血量が増えていく。が、これまたお互いに致命傷となりうる部分への攻撃だけはしっかりと防いでいる。やはりエリザが不利なままか、このままいけばダメージ交換の結果、先にエリザが倒される。相手もそれなりのダメージを負うだろうが、致命傷には届かないだろう。
(やはり、エリザは何とかして魔法を詠唱する必要がある。しかし、ああも槍で追い立てられると詠唱する時間はどうやっても……奇策の一つでも立てられないと巻き返せないか)
エリザが有効な手段を取れないまま、じりじりと追い詰められていく。むろんエリザも棒術を駆使して反撃も試みている。しかし、どれも有効打には遠い。このままいけば価値の目はどう考えても無い。それをエリザも理解しているはずだ──と思っていたところ、エリザが不敵に笑った。
「やっぱり、アレをやるしかありませんわね」「策があるようですが……成立させませんよ? このまま押し切らせていただきます! もう一度申し上げますが、あなたの魔法は危険すぎます!」
エリザの笑みは、覚悟を決めた人間のそれだった。策はあるのだろうが、かなりリスキーな物だという事は嫌でも察することになる。いったい何をするつもりだろう? 自爆魔法か? いや、自爆してしまったら負けだ。良くて引き分け。じゃあ他に何があるだろう? その答えはエリザがすぐに教えてくれた。
「くうっ!」「捕らえました!」
エリザの体をついに相手の槍が貫いてしまった。突かれたのは右胸辺り、これは致命傷か──が、エリザはそんなダメージを負いながらも相手の槍を左手でつかんだ。
「捕らえられたのは──貴女の方でしてよ!」「槍が、抜けない!?」
南斗エリザは己の体を貫かれてなお、左手で槍をつかんで離さない。槍が抜けないことで焦った相手に向かって、右手を向ける。そして、詠唱──
「《コンプレッション・プリズム》!」「ああああああっ!?」
エリザの放った魔法は、相手に命中した。しかし、相手もぎりぎりで槍から手を放して回避行動をとったため、エリザが狙った心臓には当たらず。だが、相手の左腕を捕らえたことで間違いなく多くのダメージは与えた。でも、それじゃだめだ。エリザは体を槍で貫かれている。だからこそ、先ほどの魔法で決めなければいけなかった。
「左腕が……!! ですが、貴女はもう限界のはず。私の勝ちで──」「人の限界を──勝手に──決めないでくださいまし! 《コンプレッション・プリズム》!!」
槍に貫かれた姿のまま、エリザは二度、三度と魔法を放つ。相手の槍による攻撃が厄介ならば、己の体を貫かれてでも手放させる。それがエリザの取った手段だった。当然ダメージは大きいし、何よりワンモアでは痛覚を感じるシステムがある。とんでもない痛覚をエリザは今現在進行形で味わっているはずだ。その証拠に、エリザは滝のような冷や汗を流れ落としている。
「この程度の痛み、今までの冒険に比べれば……! なんてこと、無いんですのよ!」
エリザは叫びながらも魔法の詠唱をやめない。その鬼気迫る迫力と正確な狙いによる魔法攻撃が相手を一気に追い詰める。しかし、槍を伝って大量の血がエリザの体から出ていく一方だ。エリザが完全に力尽きるのは時間の問題だ。その前に相手を倒せるか否か……この作戦を選択するのは覚悟がいる。だからこそ、あの笑みだったのだ。
(エリザの魔法は確実に相手を捕らえている。相手もエリザの肉を切らせて骨を断つ行動に平常心ではいられないようだ……エリザ、頑張れ)
エリザの魔法が次々と相手の体に突き刺さる。相手も吐血し、動きが鈍っている。後一発か二発当てれば倒せるのでは!? そう思った瞬間、今度はエリザが吐血した。魔法の詠唱も発動もそれに伴って停まってしまった。
「ぐ、あ、はっ、ま、まだ終わっていないというのに……」「つ、ついに限界ですか!?」
何度も血を吐くエリザ、そしてこちらも血を吐きながらもエリザが限界を迎えたと思い、僅かに笑みを浮かべる相手。だが、エリザは再び詠唱を始めた。その事に、相手の表情がこわばるのが見えた。
「この、この、この程度で……終わりませんわ……! 体に杭を打たれ、致命的な一撃を受けてもなお戦い抜いた人だっているのですから……私にだって、できるはずですわ!!」
再び放たれたエリザの魔法。限界を迎えたと思ってしまった相手がこの魔法に対して回避行動をとる事は出来なかった。エリザの魔法は相手の心臓部分を正確に貫いた。信じられない、とばかりに驚愕の表情を浮かべた後──相手はゆっくりとまるで泥に沈むかのように倒れていった。エリザは苦しそうな呼吸をしているが、相手に対しての警戒心を解いていない。
『そこまで! 勝負ありです! 次の選手は武舞台に上がる準備をしてください!」
エリザが勝利した。しかし──相手が武舞台の外に出されたことで槍も消えた瞬間エリザは武舞台の上に倒れこんだ。立ち上がる気配がない。
「私が、彼女を下ろしてきます」
いち早く動いたのはカナさんだった。エリザに近寄ってゆっくりと抱き上げると、静かに武舞台の下に降りる。降りてきたエリザは、辛そうな表情を浮かべながら貫かれていた部分を手で押さえている。
「エリザさん、素晴らしい覚悟を見せていただきました。私も、それを見習ってきます」
そう言い残してカザミネが武舞台に上がっていった。次にエリザに声をかけたのはツヴァイ。
「エリザ、ありがとう。あそこまで無茶をしながらも勝ってくれたことは本当に大きい。しかし、体は大丈夫なのか!? 相当な痛覚を味わったはずだが……」
ツヴァイの言葉に、エリザは呼吸を整えながら返答を返す。
「大丈夫ですわ……きつかったことは事実ですけれど、少し休めば落ち着きますわ。杭に撃たれて貼り付けにされるよりは、はるかにましな痛みですもの。これぐらいの痛みは、必要経費ですのよ」
などと言いながら、自分の方を見るエリザ。ああ、ロスト・ロスとの戦いにおいて自分がされたあの行為をエリザはしっかりと覚えていたのか。だからこそ、戦いのさなかの発言か──あんな痛み、味わうものじゃないんだがなぁ。だが、ツヴァイの言う通りこの一勝は大きい。悪い流れを見事エリザが断ち切ってくれた。後はカザミネが勝ってくれれば、こちらがかなり有利になる。
(カザミネも、エリザの戦いを見て相当に気合を入れていたからな。戦いに向けての気力は十分だろう、あとはその気合が必要以上に先走らなければ──)
なんにせよ、カザミネが一週目のラスト。勝ってくれれば二週目が圧倒的に有利になる。カザミネの勝利を信じて戦いを見守ろう。
が、お互いに集中力が落ちてきているようで細かい被弾が見受けられるようになってきている。流れから考えるに──この戦いの決着もそう遠くはない、ただ問題はどちらが致命的な一撃を先に相手に対して叩き込めるかだ。むろんそれがエリザであってほしいが、ここまでの戦いを見ると四・六でエリザがやや不利とみるしかない。
(逆境はエリザも多々超えてきた。その経験に期待しよう──決して適わない相手ではないんだ、しかし、エリザの本来の戦闘方法である攻撃魔法を用いる事が難しい状況にされているからな。何とかここを脱すれば、エリザが一転して有利になるはず)
しかし、そのエリザが有利になれる展開をとことん相手は許してはくれない。常に前に出る圧をかけ、エリザの詠唱をする時間を与えてくれない。多少の被弾などお構いなしに押して押して押してくる。こうなると魔法使いであるエリザは辛くなる一方だ。いくら補助魔法で対抗していても元々の戦い方は魔法使い。耐久力はどうしても劣ってしまう。
「絶対に詠唱はさせません! このままごり押しで勝たせていただきます!」「はいそうですか、とは行きませんわ! こちらにだって意地や勝ちたい思いはあるのですのよ!」
双方闘志と意地のぶつけ合い。それに伴って出血量が増えていく。が、これまたお互いに致命傷となりうる部分への攻撃だけはしっかりと防いでいる。やはりエリザが不利なままか、このままいけばダメージ交換の結果、先にエリザが倒される。相手もそれなりのダメージを負うだろうが、致命傷には届かないだろう。
(やはり、エリザは何とかして魔法を詠唱する必要がある。しかし、ああも槍で追い立てられると詠唱する時間はどうやっても……奇策の一つでも立てられないと巻き返せないか)
エリザが有効な手段を取れないまま、じりじりと追い詰められていく。むろんエリザも棒術を駆使して反撃も試みている。しかし、どれも有効打には遠い。このままいけば価値の目はどう考えても無い。それをエリザも理解しているはずだ──と思っていたところ、エリザが不敵に笑った。
「やっぱり、アレをやるしかありませんわね」「策があるようですが……成立させませんよ? このまま押し切らせていただきます! もう一度申し上げますが、あなたの魔法は危険すぎます!」
エリザの笑みは、覚悟を決めた人間のそれだった。策はあるのだろうが、かなりリスキーな物だという事は嫌でも察することになる。いったい何をするつもりだろう? 自爆魔法か? いや、自爆してしまったら負けだ。良くて引き分け。じゃあ他に何があるだろう? その答えはエリザがすぐに教えてくれた。
「くうっ!」「捕らえました!」
エリザの体をついに相手の槍が貫いてしまった。突かれたのは右胸辺り、これは致命傷か──が、エリザはそんなダメージを負いながらも相手の槍を左手でつかんだ。
「捕らえられたのは──貴女の方でしてよ!」「槍が、抜けない!?」
南斗エリザは己の体を貫かれてなお、左手で槍をつかんで離さない。槍が抜けないことで焦った相手に向かって、右手を向ける。そして、詠唱──
「《コンプレッション・プリズム》!」「ああああああっ!?」
エリザの放った魔法は、相手に命中した。しかし、相手もぎりぎりで槍から手を放して回避行動をとったため、エリザが狙った心臓には当たらず。だが、相手の左腕を捕らえたことで間違いなく多くのダメージは与えた。でも、それじゃだめだ。エリザは体を槍で貫かれている。だからこそ、先ほどの魔法で決めなければいけなかった。
「左腕が……!! ですが、貴女はもう限界のはず。私の勝ちで──」「人の限界を──勝手に──決めないでくださいまし! 《コンプレッション・プリズム》!!」
槍に貫かれた姿のまま、エリザは二度、三度と魔法を放つ。相手の槍による攻撃が厄介ならば、己の体を貫かれてでも手放させる。それがエリザの取った手段だった。当然ダメージは大きいし、何よりワンモアでは痛覚を感じるシステムがある。とんでもない痛覚をエリザは今現在進行形で味わっているはずだ。その証拠に、エリザは滝のような冷や汗を流れ落としている。
「この程度の痛み、今までの冒険に比べれば……! なんてこと、無いんですのよ!」
エリザは叫びながらも魔法の詠唱をやめない。その鬼気迫る迫力と正確な狙いによる魔法攻撃が相手を一気に追い詰める。しかし、槍を伝って大量の血がエリザの体から出ていく一方だ。エリザが完全に力尽きるのは時間の問題だ。その前に相手を倒せるか否か……この作戦を選択するのは覚悟がいる。だからこそ、あの笑みだったのだ。
(エリザの魔法は確実に相手を捕らえている。相手もエリザの肉を切らせて骨を断つ行動に平常心ではいられないようだ……エリザ、頑張れ)
エリザの魔法が次々と相手の体に突き刺さる。相手も吐血し、動きが鈍っている。後一発か二発当てれば倒せるのでは!? そう思った瞬間、今度はエリザが吐血した。魔法の詠唱も発動もそれに伴って停まってしまった。
「ぐ、あ、はっ、ま、まだ終わっていないというのに……」「つ、ついに限界ですか!?」
何度も血を吐くエリザ、そしてこちらも血を吐きながらもエリザが限界を迎えたと思い、僅かに笑みを浮かべる相手。だが、エリザは再び詠唱を始めた。その事に、相手の表情がこわばるのが見えた。
「この、この、この程度で……終わりませんわ……! 体に杭を打たれ、致命的な一撃を受けてもなお戦い抜いた人だっているのですから……私にだって、できるはずですわ!!」
再び放たれたエリザの魔法。限界を迎えたと思ってしまった相手がこの魔法に対して回避行動をとる事は出来なかった。エリザの魔法は相手の心臓部分を正確に貫いた。信じられない、とばかりに驚愕の表情を浮かべた後──相手はゆっくりとまるで泥に沈むかのように倒れていった。エリザは苦しそうな呼吸をしているが、相手に対しての警戒心を解いていない。
『そこまで! 勝負ありです! 次の選手は武舞台に上がる準備をしてください!」
エリザが勝利した。しかし──相手が武舞台の外に出されたことで槍も消えた瞬間エリザは武舞台の上に倒れこんだ。立ち上がる気配がない。
「私が、彼女を下ろしてきます」
いち早く動いたのはカナさんだった。エリザに近寄ってゆっくりと抱き上げると、静かに武舞台の下に降りる。降りてきたエリザは、辛そうな表情を浮かべながら貫かれていた部分を手で押さえている。
「エリザさん、素晴らしい覚悟を見せていただきました。私も、それを見習ってきます」
そう言い残してカザミネが武舞台に上がっていった。次にエリザに声をかけたのはツヴァイ。
「エリザ、ありがとう。あそこまで無茶をしながらも勝ってくれたことは本当に大きい。しかし、体は大丈夫なのか!? 相当な痛覚を味わったはずだが……」
ツヴァイの言葉に、エリザは呼吸を整えながら返答を返す。
「大丈夫ですわ……きつかったことは事実ですけれど、少し休めば落ち着きますわ。杭に撃たれて貼り付けにされるよりは、はるかにましな痛みですもの。これぐらいの痛みは、必要経費ですのよ」
などと言いながら、自分の方を見るエリザ。ああ、ロスト・ロスとの戦いにおいて自分がされたあの行為をエリザはしっかりと覚えていたのか。だからこそ、戦いのさなかの発言か──あんな痛み、味わうものじゃないんだがなぁ。だが、ツヴァイの言う通りこの一勝は大きい。悪い流れを見事エリザが断ち切ってくれた。後はカザミネが勝ってくれれば、こちらがかなり有利になる。
(カザミネも、エリザの戦いを見て相当に気合を入れていたからな。戦いに向けての気力は十分だろう、あとはその気合が必要以上に先走らなければ──)
なんにせよ、カザミネが一週目のラスト。勝ってくれれば二週目が圧倒的に有利になる。カザミネの勝利を信じて戦いを見守ろう。
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