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二週目第一試合
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ネフィさんは、最初から動いた。様子見など一切なく、エリザの心臓を狙った一突きを放ってきたのである。エリザの状態を見れば、それが一番いいだろう……先の試合でボロボロどころか半死半生状態。ここで下手に様子見などすれば、エリザの魔法で相打ちや下手すれば負ける可能性は十分にある。
ならば、即座に動いて即座に落とす。ネフィさんがその考えに至ったのはむしろ当然だろう。事故を起こして負ける可能性などさっさと摘み取るに限るし、ここで負ければヴァルキュリアスの士気は一気に落ちる。ネフィさんはギルマスとしても、試合の流れからしても負けられない戦いなのだ。
が、それを言い換えればエリザがここで勝てば試合全体の流れを決定づけられるという事だ。ここでネフィさんが落ちればヴァルキュリアスの残りは二人となるし、最大戦力と思われるギルドマスターが落とされれば、向こうの逆転の目はほぼ潰れるだろう。だからこそ、できればエリザに勝ってもらいたい。が──
「く……」
エリザの顔にはすでに汗と血がいくつも流れている。致命傷は避けているものの、数回槍の穂先がエリザの顔を掠めている事により出血している。そして状況が悪いまま進んでいる事による焦りが汗を流させる。ネフィさんの猛攻の前に、エリザは防戦一方。更に先の試合で多大なダメージを受けたことにより、特殊ルールの影響で動きが悪くなっている。
「まだ粘るのか! やはり、数多の激戦、死闘を潜り抜けてきたプレイヤーは一味も二味も違うという事か……!!」
ネフィ遺産が感嘆の声を漏らす。これは純粋にエリザを誉めていると見ていいだろう。ボロボロになりながらも致命傷はとことん避けて期が来るのをずっと待つ。なかなかできる事ではない……ワンモアの痛覚システムによる痛みまで加わっているのに、それでもなおエリザは杖でネフィさんの槍の猛攻から己が身を守り続けている。
「この程度の苦境、あの時に比べればまだ可愛いものですわ……!!」
血を流しながらも、エリザはそう口にしながら槍への対応を続ける。素晴らしい精神力だ、まだまだエリザは折れていない。後は魔法を詠唱できるだけの機会がやって来るかどうかだけか……が、そんな時間を与えれば一転して危険な状況に陥る事など、ネフィさんは百も承知だろう。だからこそ、こうしてエリザに魔法を詠唱させずに倒しきることを目的とした猛攻を仕掛けているのだから。
そのまま精神的に長い時間が過ぎた。実際の時間では二分も立っていなかったのだが──ついに状況が動いた。エリザにとって悪い方に……ネフィさんがここまでエリザとの勝負で使わなかった石突きによる攻撃にエリザが対応できなかった。槍による突き攻撃を受け流されたネフィさんは──槍を引くと一瞬だけ見せかけて、石突き部分で殴るように槍を振り回したのだ。
エリザは槍を引くと思っていたのだろう。だからこそこの石突きによる殴打に杖術での防御が遅れてしまった。ネフィさんの攻撃はエリザの右肩に直撃、エリザの表情が苦痛に歪んだ。当然、それだけでは済まない。エリザはこの打撃による衝撃で、体勢を崩してしまったのだ。そうなれば当然、エリザが立ち直る前にネフィさんが槍のひと突きを放ってくる。
「くうっ!?」「避けられた!?」
だが、エリザは左側へトローリングして槍の穂先からぎりぎりで逃れる。エリザにとどめを刺そうとしていたネフィさんの体が攻撃を回避されたことによってやや泳ぐ形となった。これで詠唱が可能か? そう思われたが──エリザは立ち上がる事が出来ないまま右肩を左手で押さえていた。息も荒くなっており、エリザの着ているローブが右肩付近から赤く染まり始めている。
(杖を取り落としていないからアームブレイクは発生していない様だが……それでも肩の骨にひびが入ったような状態か? ローブで手の先が見えないから何とも言えないが、相当なダメージを受けた事は分かる。正直、もうエリザのHPは残り僅かだろう。先ほどのローリングで全てを使い果たしてしまったのか……?)
ギブアップを宣告しても仕方がない状態になってしまっているが……エリザはギブアップしない。ギブアップしないなら、ネフィさんも止まる事が出来ない。エリザに対して槍が振るわれるが、エリザは地面を転がって回避した。だが、その動きだけでエリザの口からは短い苦悶の声が漏れだしている。
「エリザ、もういい! ギブアップしてくれ!」「エリザちゃん、もう十分ですよ!」「早くギブアップを!」
ツヴァイ、やカザミネが叫び、普段とは違って間延びしたような声ではないミリーもギブアップをするように呼び掛けている。だが、その声が届いているはずのミリーはギブアップを宣告しない。
「ギブアップを責めるような仲間ではないだろう? 流石にギブアップすることをお勧めするが」「お気持ちはありがたく。ですが……それは聞けない話ですわ!」
ネフィさんからもギブアップを勧める発言が出てくるが、エリザは体を汗と血で染めながらもギブアップを拒絶する。でもエリザ、もうこれ以上は嬲り殺しになるだけだぞ? それともまだ、何か手があるからギブアップしないのか? 手があるとしても、もう無茶なんてレベルは超えている。
「ギブアップしないなら、倒すまで攻撃をやめるわけにはいかない!」「分かっていますわ……最初に申し上げましたわよ、手心は加えないでくださいましと」「ならば、私の手で楽にするしかないか!」
ネフィさんの攻撃をエリザは転がって回避するが、限界がある。捕まるのはもう時間の問題だ、そして後一撃を受ければエリザは間違いなく倒されるだろう。それでもまだエリザは粘る、武舞台の上を転がりながら槍の穂先を必死で避け続ける。なぜそこまでする、もうギブアップして欲しい。そう願ったのは自分やブルーカラーのメンバーだけではないだろう。
それから数十秒後ぐらいだろうか? ついにエリザが大の字になった。息も荒く、目は閉じられ、身に着けているローブはあちこちが血と埃で汚れていた。限界を迎えたんだろう、だが十二分にエリザは戦った。誰が責められようか──などと考えたのだが、まだ試合は終わっていなかった。
「ついに限界が来たか……ならば、一思いに楽にしよう!」
ネフィさんの槍がエリザの体に振るわれる。エリザは一切の回避行動をとらずにその槍を受けた。これで決着──と思いきや、なぜか地名の一撃を受けたはずのエリザが武舞台の上から消失しない。それどころか急激にエリザが倒れている状態から飛び起きた! そのままエリザは驚いているネフィさんの後ろに抱き着く態勢を取った。
「いったい、これは何だ!?」「突如として現れ相手を貫く貴女達の槍のような、切り札を持っているのはこちらとて同じことですわ……! 初めから勝つ事は無理だと割り切っていれば、それ相応の切り札を使う事は可能なのですわよ……!」
そんなセリフを両者が交わした後、エリザの体が激しく光り輝き始めた。これ、まさか……自爆!?
「倒せないまでも、貴女の体力と余裕はたっぷりと頂いでいきますわよ! 発動可能になるまでの時間が長かったからこそ、ここまでやられて無様をさらしても耐え続けさせていただきましたわ! 早期決着を実行できなかった貴女へのペナルティですわ! 受けてみなさい《エンド・バニッシュ》!」
瞬間、武舞台の上が強烈に光り輝いた。が、爆発などは一切なかった。光が収まるとエリザの姿は武舞台の上になく、ダウンした状態で武舞台の外に倒れていた。一方でエリザの最後の魔法を受けたネフィさんだが──
「馬鹿な、この高いレベルの魔法耐性を持つ鎧ですら……ここまで貫くのか……!?」
片膝をつき、体のあちこちから出血しているネフィさんの姿がそこにあった。どうやら、エリザが最後の放った捨て身の魔法で、ネフィさんに対して相当深刻なダメージを与える事に成功した様だ。このために、エリザは粘っていたのか。そのエリザがよろよろと起き上がってきた。
「倒すのは無理だと分かっていましたから、これが私にできる精一杯ですの……後は、お任せいたしますわ」
そういうとエリザは地面に座り込んだ。試合の決着が告げられ、ネフィさんもよろよろと武舞台から降りる。エリザは十二分すぎる仕事をしたと言っていいだろう。次の試合はロナちゃんの出番となる、エリザの姿を見て気合を入れなおした彼女の活躍に期待だな。
ならば、即座に動いて即座に落とす。ネフィさんがその考えに至ったのはむしろ当然だろう。事故を起こして負ける可能性などさっさと摘み取るに限るし、ここで負ければヴァルキュリアスの士気は一気に落ちる。ネフィさんはギルマスとしても、試合の流れからしても負けられない戦いなのだ。
が、それを言い換えればエリザがここで勝てば試合全体の流れを決定づけられるという事だ。ここでネフィさんが落ちればヴァルキュリアスの残りは二人となるし、最大戦力と思われるギルドマスターが落とされれば、向こうの逆転の目はほぼ潰れるだろう。だからこそ、できればエリザに勝ってもらいたい。が──
「く……」
エリザの顔にはすでに汗と血がいくつも流れている。致命傷は避けているものの、数回槍の穂先がエリザの顔を掠めている事により出血している。そして状況が悪いまま進んでいる事による焦りが汗を流させる。ネフィさんの猛攻の前に、エリザは防戦一方。更に先の試合で多大なダメージを受けたことにより、特殊ルールの影響で動きが悪くなっている。
「まだ粘るのか! やはり、数多の激戦、死闘を潜り抜けてきたプレイヤーは一味も二味も違うという事か……!!」
ネフィ遺産が感嘆の声を漏らす。これは純粋にエリザを誉めていると見ていいだろう。ボロボロになりながらも致命傷はとことん避けて期が来るのをずっと待つ。なかなかできる事ではない……ワンモアの痛覚システムによる痛みまで加わっているのに、それでもなおエリザは杖でネフィさんの槍の猛攻から己が身を守り続けている。
「この程度の苦境、あの時に比べればまだ可愛いものですわ……!!」
血を流しながらも、エリザはそう口にしながら槍への対応を続ける。素晴らしい精神力だ、まだまだエリザは折れていない。後は魔法を詠唱できるだけの機会がやって来るかどうかだけか……が、そんな時間を与えれば一転して危険な状況に陥る事など、ネフィさんは百も承知だろう。だからこそ、こうしてエリザに魔法を詠唱させずに倒しきることを目的とした猛攻を仕掛けているのだから。
そのまま精神的に長い時間が過ぎた。実際の時間では二分も立っていなかったのだが──ついに状況が動いた。エリザにとって悪い方に……ネフィさんがここまでエリザとの勝負で使わなかった石突きによる攻撃にエリザが対応できなかった。槍による突き攻撃を受け流されたネフィさんは──槍を引くと一瞬だけ見せかけて、石突き部分で殴るように槍を振り回したのだ。
エリザは槍を引くと思っていたのだろう。だからこそこの石突きによる殴打に杖術での防御が遅れてしまった。ネフィさんの攻撃はエリザの右肩に直撃、エリザの表情が苦痛に歪んだ。当然、それだけでは済まない。エリザはこの打撃による衝撃で、体勢を崩してしまったのだ。そうなれば当然、エリザが立ち直る前にネフィさんが槍のひと突きを放ってくる。
「くうっ!?」「避けられた!?」
だが、エリザは左側へトローリングして槍の穂先からぎりぎりで逃れる。エリザにとどめを刺そうとしていたネフィさんの体が攻撃を回避されたことによってやや泳ぐ形となった。これで詠唱が可能か? そう思われたが──エリザは立ち上がる事が出来ないまま右肩を左手で押さえていた。息も荒くなっており、エリザの着ているローブが右肩付近から赤く染まり始めている。
(杖を取り落としていないからアームブレイクは発生していない様だが……それでも肩の骨にひびが入ったような状態か? ローブで手の先が見えないから何とも言えないが、相当なダメージを受けた事は分かる。正直、もうエリザのHPは残り僅かだろう。先ほどのローリングで全てを使い果たしてしまったのか……?)
ギブアップを宣告しても仕方がない状態になってしまっているが……エリザはギブアップしない。ギブアップしないなら、ネフィさんも止まる事が出来ない。エリザに対して槍が振るわれるが、エリザは地面を転がって回避した。だが、その動きだけでエリザの口からは短い苦悶の声が漏れだしている。
「エリザ、もういい! ギブアップしてくれ!」「エリザちゃん、もう十分ですよ!」「早くギブアップを!」
ツヴァイ、やカザミネが叫び、普段とは違って間延びしたような声ではないミリーもギブアップをするように呼び掛けている。だが、その声が届いているはずのミリーはギブアップを宣告しない。
「ギブアップを責めるような仲間ではないだろう? 流石にギブアップすることをお勧めするが」「お気持ちはありがたく。ですが……それは聞けない話ですわ!」
ネフィさんからもギブアップを勧める発言が出てくるが、エリザは体を汗と血で染めながらもギブアップを拒絶する。でもエリザ、もうこれ以上は嬲り殺しになるだけだぞ? それともまだ、何か手があるからギブアップしないのか? 手があるとしても、もう無茶なんてレベルは超えている。
「ギブアップしないなら、倒すまで攻撃をやめるわけにはいかない!」「分かっていますわ……最初に申し上げましたわよ、手心は加えないでくださいましと」「ならば、私の手で楽にするしかないか!」
ネフィさんの攻撃をエリザは転がって回避するが、限界がある。捕まるのはもう時間の問題だ、そして後一撃を受ければエリザは間違いなく倒されるだろう。それでもまだエリザは粘る、武舞台の上を転がりながら槍の穂先を必死で避け続ける。なぜそこまでする、もうギブアップして欲しい。そう願ったのは自分やブルーカラーのメンバーだけではないだろう。
それから数十秒後ぐらいだろうか? ついにエリザが大の字になった。息も荒く、目は閉じられ、身に着けているローブはあちこちが血と埃で汚れていた。限界を迎えたんだろう、だが十二分にエリザは戦った。誰が責められようか──などと考えたのだが、まだ試合は終わっていなかった。
「ついに限界が来たか……ならば、一思いに楽にしよう!」
ネフィさんの槍がエリザの体に振るわれる。エリザは一切の回避行動をとらずにその槍を受けた。これで決着──と思いきや、なぜか地名の一撃を受けたはずのエリザが武舞台の上から消失しない。それどころか急激にエリザが倒れている状態から飛び起きた! そのままエリザは驚いているネフィさんの後ろに抱き着く態勢を取った。
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そんなセリフを両者が交わした後、エリザの体が激しく光り輝き始めた。これ、まさか……自爆!?
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瞬間、武舞台の上が強烈に光り輝いた。が、爆発などは一切なかった。光が収まるとエリザの姿は武舞台の上になく、ダウンした状態で武舞台の外に倒れていた。一方でエリザの最後の魔法を受けたネフィさんだが──
「馬鹿な、この高いレベルの魔法耐性を持つ鎧ですら……ここまで貫くのか……!?」
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「倒すのは無理だと分かっていましたから、これが私にできる精一杯ですの……後は、お任せいたしますわ」
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