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女を黙らせるにはこうするんだろ? 前編 朝乃宮千春SIDE
2/7 その十
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車を出た後、ウチは保育園に……向かわず、ただ街中を歩いていた。
どこへ向かっているのか? どこに行くべきなのか?
分からへん……。
おじさまの言葉が脳裏から離れへん。
「負けないで欲しい。その体に流れる朝乃宮の血に」
朝乃宮の血に負けないで? 無理や……もう……ウチは……完全に屈してる……。
屈したから……ウチはここにいる。
朝乃宮家の誰もが……御館様もきっと……朝乃宮の血には抗へんかった……まるで、呪われてるかのように……。
富と名声。
それだけを護る為に、ウチらは心を壊された……。
ある者は虐待に耐えきれなかった為……。
ある者は愛を奪われた為……。
ある者は御館様の力に屈した為……。
ウチにも壊れる決定的なモノがあった……。
御館様に襲われたのはそのきっかけやったけど……親戚や父様に侮蔑の言葉を投げかけられたこともやろうけど……。
きっと……きっと……あの言葉で……壊れた……。
「苦しんでいるのはキミだけではない。みんな、辛くても頑張っているんだ」
青島高校の理事長に言われた言葉……あれだけは……あれだけは許せへんかった……。
苦しんでいるのはウチだけやない? 皆、頑張ってる? それやったら……それやったら! 全員! ウチと同じ苦痛を味わわせたる!
理不尽で逃げ場のない暴力を体験してみ! それから頑張ってるって言え!
そうして、ウチは誰彼かまわず、叩きのめしてきた……世界を呪い続けた……だって、不公平やん?
ウチの苦しみが……ウチだけのものやないんなら……皆が同じ苦しみを味わって、初めて同じスタートラインに立つ。
そこから、努力できる人がいるのなら、認めたる!
けどな……けどな!
今まで生きてきて、今も尚、虐待や洗脳、強姦までされてきて、ウチだけが不幸って思うのは罪なん? 否定されることなん?
それが許せなかった……。
ウチの周りは皆、敵。せや……敵……や……誰も助けてくれへんのなら……敵や……。
景色がぼやけて見えてきた……。
そう……敵は……敵は……どうするんやったっけ?
完膚なきまでに叩きのめせ。
せや……忘れてた……敵は駆逐せな……でも、敵って誰やったっけ?
御堂はんと長尾はん、青島にいる不良共……レッドアーミー……ええっと……それから……それから……。
ああ……考えるのが面倒になってきた……せや……いいこと思いついた。
目の前にいる人間全員……叩きのめせばええんや……それなら……敵が誰かなんて考える必要なんてない……なんや……簡単なことやないの……。
壊したる……ウチだけが不幸やないんなら……皆、不幸になれ!
壊したる……壊したる……まずは……まずは……あの幸せそうな顔をしてる家族を……家族を……血祭りに……。
「朝乃宮!」
えっ? 藤堂はん?
藤堂はんは……敵……やったっけ?
あれ? どうやったやろ……分からへん……藤堂はんを護る為にウチは行動してて……あれ? ウチ、藤堂はんを叩きのめさんと……。
「朝乃宮!」
えっ?
ウチは藤堂はんに……抱きしめられてた。
な、なんで?
大きな体がウチを包み込むように抱きしめられる。
ぬくもりを感じる……。
頭のモヤが……はれていく……。
「大丈夫だから! 俺がいるから!」
ちょぉ! こんな公共の場で抱きしめるとか!
しかも、大声でこっぱずかしいことを!
ウチは耳まで真っ赤になってることを自覚する。恥ずかしい!
「ママ……」
「桜花ちゃん?」
「……なかないで……ママ……なかないで……うぇえええええええええええええええええええええええええんんんんんんんんん!」」
お、桜花ちゃん!
なんで、いきなり泣き出すの!
もう! もう!
ウチは桜花ちゃんを抱き上げようとして……藤堂はんに抱きしめられることに気づいた。
「ふ、藤堂はん、ウチ、大丈夫ですから……その……」
それでも、藤堂はんは離れてくれへんかった。
恥ずかしい……ねんけど、なんでやろ……懐かしい……。
このハグされた時に感じる安心感とぬくもり……以前……どこかで……。
「千春……堪忍な……堪忍な……ウチが弱いから……弱いから……母親なのに……」
……そっか、母様のぬくもりや……。
体つきや匂いなんか全然違うけど、それでも、安心感に包まれている感覚は同じやった。
そっか……これがぬくもりなんや……このあたたかみがあれば……ウチは……ウチは……。
「負けないで欲しい。その体に流れる朝乃宮の血に」
ウチも……このぬくもりを誰かに伝えることが出来るんやろうか?
こんなふうに誰かを安心させることが出来るんやろうか?
人を傷つけることしか知らへんバケモノが……。
自信がないけど……それでも……。
「パパだけずるいぃいいいいいいいいいいい! おうかちゃんも~~~ああああああああああああんんんんんん!」
「……藤堂はん、桜花ちゃんが拗ねますから」
「……すまん」
藤堂はんはそっとウチから離れる。
壊れないよう……大事にしてくれてる。
ああ……ほんま、厄介なお人や。
ウチがこんなふうに落ち着けるのも……全てを破壊したいと朝乃宮の血に身を委ねそうになるのも……目の前の藤堂はんが原因。
藤堂はんがウチの居場所であってほしいから……それを守る為に敵を駆逐せなあかんから……心が落ち着かへん。
けどな、ウチかて初めてやねん。
地獄のなかでたった一つのウチの居場所……それを護りたいの思うのは……罪なんやろうか……。
ウチに桜花ちゃんを抱き上げる。
桜花ちゃんはギュッと抱きついてきた。
桜花ちゃんが羨ましい……だって……こんなにも素直に愛情を求めてくるんやから……。
「桜花ちゃん、落ち着いた?」
泣き止むまでウチは桜花ちゃんを抱っこし続けた。
桜花ちゃんは涙と鼻水を流しながら、ウチをジッと見つめている。
「桜花ちゃん?」
えっ?
桜花ちゃんが無言でウチの頭を撫でてくる。小さな手で何度も何度もウチの頭を撫でていた。
これって……。
「桜花は朝乃宮を慰めてるんだ」
ハハハッ……。
四歳児に慰められるとか……情けない姿やけど……。
「……ママ、げんきになった?」
「おおきに! 桜花ちゃん!」
「きゃ!」
ウチはギュッと桜花ちゃんをハグした。桜花ちゃんはニタッと笑っている。
はぁ……ほんま……桜花ちゃんについては予想外なことばかりや。
この重さ、ぬくもり、愛情……。
これが母親の気持ちなんやろうか?
ウチには分からへんけど……悪い気はせえへんかった。
これが……幸せなんやろうか?
ウチが追い求めていたものは……きっと……。
家族の愛。
家族は他人とは違う強い絆で結ばれている……そんな幻想をずっと抱いていた。
ウチだけの家族。ウチだけの安心できる時間と場所。
それが目の前にある。
期間限定で偽りの家族やけど……それでも……。
「パパ!」
「おう」
「ママ!」
「はい」
桜花ちゃんの右手を藤堂はん。
左がウチ。
「ママ! きょうはおべんとうがいい!」
「お弁当?」
「いっぱいキャラがあるの!」
「はいはい。作ってあげます」
「やったぁあ! パパ! パパ! かえったら、あそぼ!」
「いいぞ、桜花。何をして遊ぶ?」
「ええっとね! ええっとね!」
桜花ちゃんの手を握って、ウチ達の家へ……帰るべき場所へ帰っていった。
外は寒かったけど、心の中はぽかぽかと暖かかった。
どこへ向かっているのか? どこに行くべきなのか?
分からへん……。
おじさまの言葉が脳裏から離れへん。
「負けないで欲しい。その体に流れる朝乃宮の血に」
朝乃宮の血に負けないで? 無理や……もう……ウチは……完全に屈してる……。
屈したから……ウチはここにいる。
朝乃宮家の誰もが……御館様もきっと……朝乃宮の血には抗へんかった……まるで、呪われてるかのように……。
富と名声。
それだけを護る為に、ウチらは心を壊された……。
ある者は虐待に耐えきれなかった為……。
ある者は愛を奪われた為……。
ある者は御館様の力に屈した為……。
ウチにも壊れる決定的なモノがあった……。
御館様に襲われたのはそのきっかけやったけど……親戚や父様に侮蔑の言葉を投げかけられたこともやろうけど……。
きっと……きっと……あの言葉で……壊れた……。
「苦しんでいるのはキミだけではない。みんな、辛くても頑張っているんだ」
青島高校の理事長に言われた言葉……あれだけは……あれだけは許せへんかった……。
苦しんでいるのはウチだけやない? 皆、頑張ってる? それやったら……それやったら! 全員! ウチと同じ苦痛を味わわせたる!
理不尽で逃げ場のない暴力を体験してみ! それから頑張ってるって言え!
そうして、ウチは誰彼かまわず、叩きのめしてきた……世界を呪い続けた……だって、不公平やん?
ウチの苦しみが……ウチだけのものやないんなら……皆が同じ苦しみを味わって、初めて同じスタートラインに立つ。
そこから、努力できる人がいるのなら、認めたる!
けどな……けどな!
今まで生きてきて、今も尚、虐待や洗脳、強姦までされてきて、ウチだけが不幸って思うのは罪なん? 否定されることなん?
それが許せなかった……。
ウチの周りは皆、敵。せや……敵……や……誰も助けてくれへんのなら……敵や……。
景色がぼやけて見えてきた……。
そう……敵は……敵は……どうするんやったっけ?
完膚なきまでに叩きのめせ。
せや……忘れてた……敵は駆逐せな……でも、敵って誰やったっけ?
御堂はんと長尾はん、青島にいる不良共……レッドアーミー……ええっと……それから……それから……。
ああ……考えるのが面倒になってきた……せや……いいこと思いついた。
目の前にいる人間全員……叩きのめせばええんや……それなら……敵が誰かなんて考える必要なんてない……なんや……簡単なことやないの……。
壊したる……ウチだけが不幸やないんなら……皆、不幸になれ!
壊したる……壊したる……まずは……まずは……あの幸せそうな顔をしてる家族を……家族を……血祭りに……。
「朝乃宮!」
えっ? 藤堂はん?
藤堂はんは……敵……やったっけ?
あれ? どうやったやろ……分からへん……藤堂はんを護る為にウチは行動してて……あれ? ウチ、藤堂はんを叩きのめさんと……。
「朝乃宮!」
えっ?
ウチは藤堂はんに……抱きしめられてた。
な、なんで?
大きな体がウチを包み込むように抱きしめられる。
ぬくもりを感じる……。
頭のモヤが……はれていく……。
「大丈夫だから! 俺がいるから!」
ちょぉ! こんな公共の場で抱きしめるとか!
しかも、大声でこっぱずかしいことを!
ウチは耳まで真っ赤になってることを自覚する。恥ずかしい!
「ママ……」
「桜花ちゃん?」
「……なかないで……ママ……なかないで……うぇえええええええええええええええええええええええええんんんんんんんんん!」」
お、桜花ちゃん!
なんで、いきなり泣き出すの!
もう! もう!
ウチは桜花ちゃんを抱き上げようとして……藤堂はんに抱きしめられることに気づいた。
「ふ、藤堂はん、ウチ、大丈夫ですから……その……」
それでも、藤堂はんは離れてくれへんかった。
恥ずかしい……ねんけど、なんでやろ……懐かしい……。
このハグされた時に感じる安心感とぬくもり……以前……どこかで……。
「千春……堪忍な……堪忍な……ウチが弱いから……弱いから……母親なのに……」
……そっか、母様のぬくもりや……。
体つきや匂いなんか全然違うけど、それでも、安心感に包まれている感覚は同じやった。
そっか……これがぬくもりなんや……このあたたかみがあれば……ウチは……ウチは……。
「負けないで欲しい。その体に流れる朝乃宮の血に」
ウチも……このぬくもりを誰かに伝えることが出来るんやろうか?
こんなふうに誰かを安心させることが出来るんやろうか?
人を傷つけることしか知らへんバケモノが……。
自信がないけど……それでも……。
「パパだけずるいぃいいいいいいいいいいい! おうかちゃんも~~~ああああああああああああんんんんんん!」
「……藤堂はん、桜花ちゃんが拗ねますから」
「……すまん」
藤堂はんはそっとウチから離れる。
壊れないよう……大事にしてくれてる。
ああ……ほんま、厄介なお人や。
ウチがこんなふうに落ち着けるのも……全てを破壊したいと朝乃宮の血に身を委ねそうになるのも……目の前の藤堂はんが原因。
藤堂はんがウチの居場所であってほしいから……それを守る為に敵を駆逐せなあかんから……心が落ち着かへん。
けどな、ウチかて初めてやねん。
地獄のなかでたった一つのウチの居場所……それを護りたいの思うのは……罪なんやろうか……。
ウチに桜花ちゃんを抱き上げる。
桜花ちゃんはギュッと抱きついてきた。
桜花ちゃんが羨ましい……だって……こんなにも素直に愛情を求めてくるんやから……。
「桜花ちゃん、落ち着いた?」
泣き止むまでウチは桜花ちゃんを抱っこし続けた。
桜花ちゃんは涙と鼻水を流しながら、ウチをジッと見つめている。
「桜花ちゃん?」
えっ?
桜花ちゃんが無言でウチの頭を撫でてくる。小さな手で何度も何度もウチの頭を撫でていた。
これって……。
「桜花は朝乃宮を慰めてるんだ」
ハハハッ……。
四歳児に慰められるとか……情けない姿やけど……。
「……ママ、げんきになった?」
「おおきに! 桜花ちゃん!」
「きゃ!」
ウチはギュッと桜花ちゃんをハグした。桜花ちゃんはニタッと笑っている。
はぁ……ほんま……桜花ちゃんについては予想外なことばかりや。
この重さ、ぬくもり、愛情……。
これが母親の気持ちなんやろうか?
ウチには分からへんけど……悪い気はせえへんかった。
これが……幸せなんやろうか?
ウチが追い求めていたものは……きっと……。
家族の愛。
家族は他人とは違う強い絆で結ばれている……そんな幻想をずっと抱いていた。
ウチだけの家族。ウチだけの安心できる時間と場所。
それが目の前にある。
期間限定で偽りの家族やけど……それでも……。
「パパ!」
「おう」
「ママ!」
「はい」
桜花ちゃんの右手を藤堂はん。
左がウチ。
「ママ! きょうはおべんとうがいい!」
「お弁当?」
「いっぱいキャラがあるの!」
「はいはい。作ってあげます」
「やったぁあ! パパ! パパ! かえったら、あそぼ!」
「いいぞ、桜花。何をして遊ぶ?」
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