浜薔薇の耳掃除

Toki Jijyaku 時 自若

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そんな悪魔でも役に立つこともある

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「辛かった?苦しかった?」
「そんな私の感情を気に入っていただけましたか?」
悪魔め…
「うん、最高だね」
「その感情を食らうことでしか生きていけない道化ですもんね」
「そうそう、なんで…そうなのかは僕にもわからないよ、でも僕はそうだあって、代わりに力を貸すってこと、誰か一人と決めたら、そいつが死ぬか、契約が切れるまではその人だけの味方ってなるかな」
「ずいぶんと付き合いも長くなりましたね」
「そうだね、四回ぐらい、ここで終わりかなって思ったんだけども、見事に乗りきってくれました、だからボーナス、その分は与えているつもりなんだよね」
「あなたという存在は…」
「じゃあ、契約を終わらせるかい?君は十分満たしてくれたから」
「嫌ですよ、切ったら、たぶん私は…」
「生きるのが難しくなるね。かといって、僕がいなくなった後のことを考えるような準備を、僕がさせるわけないし、ただ、出し抜いてくれたら、それは可って感じ」
何でもできる、人生躓くことなくいきてきた幸福は、退屈となり、そこがやがて人を変えてしまいました。
「だってさ、苦難とかわからないから、そこから立ち上がる葛藤は自分じゃ得ることができないんだよね」
だから見て摂取する。
「その瞬間に甘美な何かが駆け巡る、もっと食べたいなってね」
「なんてろくでもない」
「でもさ、これでも生前は結構人のために役立ったんだぜ、これを隠しながら天寿を全うしたんだから、死んでからは好きにさせてくれよ」

そんな悪魔でも役に立つこともある。

ある屋敷に招かれた。
屋敷のお嬢様とは知己で、そのご両親は大変お優しいのか、知己の我々を招待してくれたのはいいが。
「私たちは急に出掛けなければならなくてね」
「外は寒いのに?そんなに薄着でですか?」
最近のアウトドア用品が薄いが、外の寒さを耐えれるものを開発しているのならば別だろうが、そうではない。
「それならば僕もほしいな、…まっ、よろしければそこまでではありませんが、試しませんか?」
そういって上着をすすめると。
「ありたい!!助かるよ!」
おかしな反応だ。
「出掛けるのならば最後に、このお屋敷には他には誰が残りますか?」
「そこはおじ様が…」
お嬢様がその名前を呟くと、彼女は震え出した。
「なるほど」
逆らえない相手はそいつであるか。
「おや?よろしいのですか?ぼぉっとして、お出掛けの時間に遅れますよ?」
「すまない、助かるよ!」
そういって夫妻は屋敷からバタバタバタン!と出ていった。
「名探偵殿は何をどうお考えで?」
影よりスッとでてきたものがいた。
「名探偵は友人の方だよ、私はその友人の真似をするだけだ」
「この人は?」
「あっ、失礼、私はこいつの…長い付き合いってやつですよ」
「見ればわかるが、人じゃない」
「でもおじ様より、人に見える」
「あぁ、なるほど、それならばわかった」
「何がなの?」
「どのぐらいそれが耐えれるか、猿の頭でも理解できるか試せるね」
運が悪かったと思う。
まさか自分達の代わりに犠牲者にしようと思っていた人間が、返り討ちにできるような能力を持っていただなんて。
「人間相手にはこいつの力は使わないようにしているんだ」
「そこをしっかりと守ってるから、人生で苦労するんだよ」
「いいんだよ、人間なんだから」
「本当にもったいないな、もっと自由に生きたら」
「あなたたちはそうやって生きてきたのね」
「何か羨ましそうだね」
「だって羨ましいもの、だってお母様が私に最後にかけた言葉聞いたでしょ?」
おとなしくおじ様の相手をお願いね。
「君はひきりながらも笑顔で返すばかりだった、しかし、なんだね、どうして今日なのか?昨日ではダメなのか?ほらそうしたら私たちはいないじゃないか」
「…たぶん今日、お父様はさらなる失敗を重ねたから」
「あぁ、そのために君を売ったか。今までは親としてのなんちゃらか、それとも立場ゆえのプライドかがあって、君は守られていたのか」
「守られていたですって!」
「とりあえず仕掛けおわった、印はつけるから、踏まないで」
「踏むと何があるの?」
「とても痛いですよ」
「わかった、絶対に踏まない」
「名探偵くんとは連絡はつけます?」
「軽く報告、たぶんそしたら私が対応できなく辺りで、活路を教えてくれる」
「わかりました」
「ねぇ、今すぐ助けてくれてもいいんじゃないの?」
「こいつがそういうやつなんですよ、助けてくれるが、その死ぬかもしれないなっていう時に、生きる道を選択させるというか、しかもすんごい準備しないと、ダメなやつ」
「私がいうのもなんだけども、なんであなたはこんなのと一緒にいるの?」
「今ならわかるでしゃ?こんなときに他に誰が助けてくれるの?」
「あっ…」
「その昔、そういう場所でこいつに出会った、今のあなたはもしも私がおらず単独で出会ったらどうしますか?」
「それは…」
ギシギシ… 
二階の廊下が軋む音がした。
「移動しましょう」
「うん」
「こういう屋敷はありがたい、行き止まりではなく、上は下に、下から上にと、建て回さずに最初っから様式を守りながら設計されているから」
つまり階段も一つではない、目の前は主人用の階段ではあるが、使用人用の階段も、あちこちにあるということだ。
「なんであんな化け物が、こんな歴史あるお屋敷にいるのかね」
「それは…」
「捧げられたんでしょうね」
「あ~なるほど」
「自分からなったのならば、こちらのお嬢様のご両親が、化け物になっておられたでしょ。だけど…」
「ん?なんだ?」
「いえいえ、こちらのことですよ」
バン!
何かが破裂する音がした。
「上手く決まりましたな」
「やはりこの手に限る、人には使えない手だが」
「本当に何をしたのよ」
「いろいろだね」
その後も、興味本意で除いてしまいそうなものに、仕掛けては行くが、仕掛けては逃げるたびに引っ掛かってるようだ。
「痛い目にあってるようなのに、なんでかな?」
「そりゃあ、そんなんじゃ学べないことがしたいからですよ」
「うわ…最悪だな」
「囚われてしまった人間なんて、そんなもんですよ」
「参ったな、ここまで来ると…」
「はい、名探偵からの連絡ですよ」
「もしもし、うん、ごめんね、急に」
んで?何に巻き込まれたんだい?
「若いおねーちゃんが大好きな、猿の化け物なんだよね」
相変わらず…それもそうだが、君を巻き込むことに罪悪感ゼロの人たちが多すぎる。
「生意気だったからじゃない?」
生意気ね…そう考えれるのが羨ましいよ。
「我が身の可愛さで、他人を蹴落とすなんて、人間がよくやることだろ?」
そうなんだけども、人間の本性がそれだと、やっぱりやる気がね…
「何?心が折れた?」
折れそうだよ。
「でもそっちはそっちで、解決し続けなきゃならないだろう?」
そーだよ、こんちくしょ。
「それならば上手くやろうよ、大丈夫、こっちはそっちと違って人ではないから、ある程度以上の事は容認されるよ」
相変わらず、どっちが悪魔かわかったもんじゃない。
「こういうときの感情はイキイキとして、まるでフレッシュサラダですから」
「ドレッシングはかけないのかい?素材本来の旨味を楽しむタイプ?それならば伝統的なブランドでもなきゃ、味が負けてしまうよ」
「そこまでグルメじゃない、どっちでも楽しめますよ、それこそシェフはどのような味付けがおすすめで?」
「どのようなね、まずは味見をして、ドレッシングに負けないか、それとも本来の持ち味を消した方がいいかといきたいが…」
「あれがそれを試させてくれとでも」
「ないわ…」
「でも誰かがやらなきゃいけないから」
「えっ」
階段の途中で一人だけ立ち止まり。
「彼女を頼むよ」
「わかりました、ただ骨は残しておいてくださいね」
「丸かじりされないことは祈るが、顎とか丈夫そうなんだよな」
カッチカッチ
ほら音が聞こえる。
生肉でも美味しく噛み切れるやつじゃん。
「たぶん獲物がわざわざ一人でいる、ラッキー程度にお考えでしょうが…」
姿としては人間だった名残なのか、スーツは着ていた、それが内側から成長した体つきのせいで破れてしまった。
「人間をある程度以上に初期化したって感じですね」
上の階からこちらを覗く悪魔の解説。
「何をどこまで願えば、そこまで取られるんだよ」
「さぁ、人間はよく深いから」
ただまあ、ありがたいことに、肉体はそこまで野性味がない、馬鹿力がある、欲望に身を任せているであって。無呼吸は不可能だし、空も飛べない。
「そういう縛りがある化け物ならば迎撃は可能ってやつさ」
 こういう段差がある場所を活かして、わざと誘って、高確率でかわして、相手が自滅で落ちていくで、ちょっとずつ時間を稼ぐか。
「落ちていく音だけで気味が悪いわ」
「おやおや、でもこれはあなたを頑張って助けているんですけどもね」
ダメージが少ししか与えられないから、先にお嬢様の精神状態の方が危うくなっているようだ。
(しょうがないか)
「おや、諦めましたか?」
「だって、耐えれないんだろう?」
「あなたと違いますからね」
「じゃあ、連れていってもらおうよ」
「化け物は化け物が住む場所へってやつですか、いいですよ、もう今回はそれで」
「何をするの?」
「終わりの時間が来たんだよ、あっ、ツケはなるたけこっちで調整するから」
それだけ言って、二人はさっさと…
「もうお屋敷から出て逃げてもいいよ」
「えっ?でも出たらそれこそ…」
社会的な地位にダメージが与えられるからこそ、ここから逃げることは不可能、諦めることしかできない、彼女はそういうやつだと思っていた。
「頭が意外と固いね…じゃあ、そういうことで」
勝手口からお嬢様は外に出されると、まさか本当に出されるとは思わなかったこと、そして私は助かるんだという安堵が足を進めさせたあと、振り替えろうとしたが。
「それはダメです、あなたはこの先を見る権利がない」
悪魔が囁くと、ぺたりと座り込んでしまった。
屋敷の中で何かが鳴いて、着地する音、もみ合った音が聞こえてから、静かになった。
それでも私は座り込んだまま、声をかけたのはなんでお前がここにいる?という父の言葉。
でもそれにしては屋敷の中は静かなので、恐る恐る確認すると、頭痛の種はどこにも見当たらない、屋敷が所々破損されていたが、想定よりも美観を保っている。
「ようやく私にも幸運が舞い込んだぞ!はっはっはっ!」
そうだろうか?
「あなたは…何もされてないの?良かったじゃない」
そこは喜ぶところなのでしょうか?
「お前の知人たちは?まあ、あのぐらいの人間ならば、後でいなくなったと騒がれても大丈夫だろうが…その犠牲で済んだのならば安い、お前もよくやった、自分の身を守ったか」
私には両親たちの対応が信じられなかった。
が、私はこういう家に生れ、育ったのだも同時にわかった。


「彼女はどっちになりますかね?」
「悪魔のお前が楽しそうにいうから、ろくなもんじゃないね」
「えっ?おもしろいじゃありませんか、綺麗に生きていけるための努力をしてれば違ったかもしれませんが、彼女はそうじゃなかった、それを今回自覚してしまったので」
「そだね、それで猿のおじ様はどうなった?」
「あれは…人には無類の強さを誇りますが、化け物相手ではね、本能的に敵わないと察している相手を前にして、こそこそと生きるしかないようで、まさに地獄でしょ」
「危惧していたのは気に入られるかどうかだったが…」
「もっと可愛げがあるものが好きですから、ああいう粗野な相手は飽きている」
「そういうところに招いたんじゃないのかね?」
「かもしれませんね、さすがは名探偵、よい収まり先を知っている、破れ鍋に綴じ蓋ってやつですよ」
「今回の点数をつけるならば?」
「満点かな、なんといってもこちらの好みそうなポイントを抑えてくれた上で動いてくれるから、ただお嬢様にはもっと頑張ってほしかった、あそこで愕然とするのは真の御嬢様なんでしょうか?違うでしょ?それ、そっちは採点対象にするのはちょっと違うなって思ったから、含めてません、だってそれまで点数内に含めたら、解ける人がいなくなっちゃいますから」
「じゃあ、少し何か食べてから寝る」
「歯磨きを忘れずに、少しでも体のダメージを減らしてください。あっ、それともマッサージでもします?」
「一人でゆっくりする」
「ではごゆっくり」
寝床をとりあえず確保するとそんな話をしてから、一人でごろ寝する。
目が冴えるかと思ったが、やはり疲れているのか、電池が切れるように眠りに落ちた。
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