『俺だけが知っている「隠しクラス」で無双した結果、女神に愛され続けた!』

ソコニ

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第7話 強くなりすぎて収集がつかない!?王国冒険者選抜試験開幕

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「さあ、見えてきましたよ! あれが王都ソレイユです」

嵐峠を越え、王立森林を抜けたレオンとルートウィヒ教授の前に、巨大な白亜の城壁に囲まれた都市が姿を現した。太陽の光を受けて輝く黄金の屋根と高くそびえる塔が、その名の通り「太陽の都」の名にふさわしい光景だった。

「壮観だな」

レオンは思わず息を呑んだ。グリーンウッドやローゼンのような小さな町しか知らない彼にとって、王都の規模と美しさは圧倒的だった。

「初めて見るならそうだろうな」

教授は懐かしむように微笑んだ。「私の第二の故郷だ。ここで何十年も研究を続けてきた」

二人は南門から王都に入った。厳重な警備をくぐり抜け、身分証明書の確認を終えると、そこには全く別の世界が広がっていた。石畳の道路、整然と並ぶ建物、様々な服装の人々、そして騒々しい市場の声。

---

王立魔法学院の教授の研究室で、レオンは古代の書物「賢者の手記」を受け取った。

「これは『賢者の手記』といって、大災厄以前の断片的な記録だ。一般には公開していない貴重な資料だが、君なら役立てるだろう」

「本当にいいのですか?」

「ああ。君の『全知識吸収』の能力があれば、この価値を最大限に引き出せるはずだ」

教授は立ち上がり、壁に貼られた告知を指さした。

【王国冒険者選抜試験 参加者募集】
【開催日:明後日より三日間】
【場所:王都競技場および王立森林特設会場】
【参加資格:王国公認の冒険者(ランク制限なし)】
【賞金:金貨100枚および特別称号授与】

「王国冒険者選抜試験?」

「年に一度の大イベントだ。王国中から有力な冒険者が集まり、腕を競う。優勝者には高額な賞金と共に、王宮での晩餐会への招待がある」

レオンは考え込んだ。「私のような一般職でも参加できるのですか?」

「ランク制限はないからな。ただし、参加するなら今日中にギルドで手続きする必要がある」

教授はニヤリと笑った。「君なら、『一般職の賢者』として大いに話題になるだろう」

---

王都中央区画にある冒険者ギルド本部は、レオンが今まで見たどのギルドとも比べ物にならないほど壮大だった。三階建ての石造りの建物には、王国の紋章が掲げられ、入り口には常に冒険者の行列ができていた。

受付嬢のリーナは、レオンからカードを受け取ると、専用の魔法装置にかざした。

「レオン・グレイ様、クラスは一般職、現在のランクはEですね」

彼女は情報を確認し、突然目を見開いた。

「あの……もしかして、『一般職の賢者』と呼ばれる方ですか?」

レオンは少し驚いた。「そう呼ばれることもありますが……」

「やはり! グリーン・マンティコアを単独で倒したという報告が本部にも届いています」

リーナの声が少し大きくなり、周囲の冒険者たちが振り返った。囁き声が広がる中、レオンは居心地の悪さを感じた。手続きを済ませ、彼は選抜試験への参加も登録した。

---

翌日の説明会で、レオンは周囲の冒険者たちを観察していた。「神託解析」で見ると、その多くがCランク以上の実力者だと判明する。中には数名のAランク冒険者もいた。

「おい、お前が噂の『一般職の賢者』か?」

突然、隣に座っていた筋骨隆々とした男性が話しかけてきた。鎧に刻まれた紋章から、彼は「鉄拳団」という有名な冒険者ギルドの一員だとわかる。

「はい、レオン・グレイです」

「へえ、若いな。俺はガロン、鉄拳団の団長だ。Bランクの重戦士さ」

ガロンは力強い手を差し出した。レオンはそれを握り返す。

「一般職でCランク魔物を倒したって話は本当か?」

「はい、運が良かっただけですが」

「謙遜するねえ。でも、試験は別次元だぞ。王国中から腕利きが集まる。特に今年は『蒼炎の剣士』ヴァレンも参加するらしい」

「蒼炎の剣士?」

「知らないのか? Aランク上位の剣士だ。青い炎の魔法剣を使う。昨年は惜しくも準優勝だったが、今年は優勝候補の筆頭だよ」

説明会を出る際、レオンは嵐峠で出会った弓術師のシルヴィアと再会した。

「やあ、レオン! やっぱり参加するんだな」

「シルヴィアさん! 無事に戻られたんですね」

彼女は近づいてきて、小声で言った。「あなたの噂でもちきりよ。『一般職の賢者』が参加するって。特に上位ランクの冒険者たちは警戒してるわ」

「僕なんかより、『蒼炎の剣士』とかのほうが注目されるでしょう」

「そうとも言えないわ。未知の力は恐れられるものよ」

シルヴィアの言葉は的を射ていた。実際、壁際で腕組みをして彼を見つめる青い髪の男性——恐らく噂の「蒼炎の剣士」ヴァレン——の視線は鋭く、挑戦的ですらあった。

---

試験初日、王立森林の特設エリアに参加者たちが集まった。第一段階「魔物討伐数競争」では、制限時間内にできるだけ多くの魔物を倒すことが求められる。

「制限時間は六時間! 森の中央にある『回収ポイント』に討伐証拠を提出してください。安全のため、他の参加者との戦闘は禁止です!」

運営責任者のヘルマンが号砲を鳴らし、冒険者たちが一斉に森へと駆け込んだ。

レオンも走り出した。「神託解析」で森の地形を読み取りながら、効率的なルートを選ぶ。他の冒険者が集中しそうな中央部を避け、東側の湿地帯を目指した。

「あそこなら、水棲魔物が多いはずだ」

予想通り、湿地帯には「沼ガエル」や「水蛭蟲(みずひるむし)」といったFランク魔物が大量に生息していた。レオンは「神託解析」で各魔物の弱点を即座に見抜き、素早く効率的に討伐していく。

一時間もしないうちに、彼の袋は討伐証拠でふくらんでいた。中央の回収ポイントで最初の成果を提出すると、記録係は驚いた様子で記録した。

「レオン・グレイ、第一回収分として、Fランク魔物三十二体分の証拠品を確認。これは…かなりのペースですね」

第二ラウンドで森の中ほどまで進むと、レオンは青い炎の光を目にした。「蒼炎の剣士」ヴァレンだ。彼は青い炎をまとった剣で、複数の「針獣」を一度に倒していた。

「おい、お前が噂の『一般職の賢者』か?」

彼の声は低く、威圧感があった。

「はい、レオン・グレイです」

ヴァレンはさっと剣を振るい、レオンの背後の茂みを切り裂いた。そこには潜んでいたDランク魔物「影猫」がいた。

「どうした? 気づかなかったのか?」

レオンは冷静に答えた。「いえ、気づいていました。ただ、あなたが先に行動されたので」

実は「神託解析」でとっくに「影猫」の存在を察知していたのだ。

ヴァレンの目が細くなった。「ほう……本当に一般職なのか? その目は何かを見ている。通常とは違う何かをな」

「まあいい。最終段階まで勝ち進めば、答えは自ずとわかるだろう」

ヴァレンは去り際、最後にこう言った。「期待しているぞ、『賢者』」

---

午後が深まるにつれ、レオンはさらに奥地へと進んだ。森の最深部に近づくと、突然の悲鳴が聞こえた。

「誰か助けて!」

大きな岩場の前で、若い女性冒険者が「赤鱗竜(あかうろこりゅう)」に追い詰められていた。Cランクの危険な魔物で、その強靭な鱗と炎の息が特徴だ。

「神託解析」で魔物の弱点を即座に把握したレオンは、女性冒険者に逃げるよう指示し、赤鱗竜の注意を引いた。魔物が炎の息を吐く瞬間を見極め、側面から回り込んで尾の付け根を攻撃。バランスを崩した魔物の喉の下の青い斑点を狙って渾身の一撃を放った。

「おりゃあっ!」

剣が魔物の弱点を貫き、赤鱗竜は断末魔の叫びを上げて倒れた。

「す、すごい……一太刀で……」

岩の隙間から出てきた女性冒険者が、信じられない様子で呟いた。彼女はマリーと名乗り、王都ギルドのEランク冒険者だという。

「噂通りね! 赤鱗竜を一人であんなに簡単に倒すなんて、本当にすごい!」

二回目の提出では、レオンはEランク魔物二十体とCランク魔物一体の討伐証拠を記録した。

「これは…暫定首位です!」

記録係は驚きを隠さなかった。周囲の冒険者たちもレオンを注目の眼差しで見ていた。

最後の討伐時間、彼は遠くで青い光が煌めくのを見た。ヴァレンの魔法剣の光だ。「神託解析」で確認すると、「巨角獣(きょかくじゅう)」——Bランク下位の強力な魔物——と戦うヴァレンの姿が見えた。

レオンは自分のやるべきことに集中し、残り時間を有効に使った。日が沈み始め、終了の合図が鳴り響いたとき、彼の最終成績は驚異的なものだった。

Fランク魔物五十二体、Eランク魔物二十五体、Dランク魔物八体、Cランク魔物二体——これは合計点でトップクラスの成績だった。

「レオン・グレイ、総合ポイント235点! 現在の暫定順位は……第一位です!」

会場がざわめいた。「一般職」の冒険者が首位に立つという前代未聞の事態に、誰もが驚きの声を上げた。

「まだヴァレン様が戻っていませんが……」

その言葉が終わらないうち、森の奥から青い光を放ちながらヴァレンが現れた。彼の肩には巨角獣の角が担がれていた。

「Bランク魔物の討伐証拠! これは単独では……」

記録係は興奮した様子で記録を取った。「ヴァレン様、総合ポイント242点! 第一位です!」

僅差で首位を譲ったレオンだったが、笑顔で拍手した。ヴァレンは彼に視線を送り、小さく頷いた。それは認めたという意思表示にも見えた。

第一日目の試験が終わり、結果が発表された。上位十名が第二段階「迷宮突破競争」に進出する。

「明日の第二段階進出者を発表します! 第一位、ヴァレン! 第二位、レオン・グレイ!」

レオンの名前が呼ばれると、会場から驚きと賞賛の声が上がった。

「『一般職の賢者』、第二位だって!」
「あの若者、本当に一般職なのか?」
「これは面白くなってきたぞ!」

宿に戻る道すがら、レオンは複雑な気分だった。目立ちすぎているという自覚と、同時に力を発揮できた満足感。そして何より、明日の試験への期待と緊張が入り混じっていた。

「強くなりすぎて収集がつかない……か」

彼は自分の成長の速さに、時々戸惑いを感じていた。勇者パーティを追放されてからまだ一月も経っていないというのに、今や王国最大の試験で二位につけている。

宿の窓から見える王都の夜景を眺めながら、レオンは明日に向けた決意を新たにした。彼の真の実力が試される「迷宮突破競争」——それは単なる迷路探索ではなく、様々な仕掛けと試練が待ち受ける難関だという。

「明日も全力を尽くそう」

レオンは「智慧の輝き」の髪飾りに触れながら、静かに目を閉じた。遠くの空の向こうで、女神アステリアが彼の活躍を見守っているような気がした。
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