隠れヤンデレは自制しながら、鈍感幼なじみを溺愛する

知世

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俺の完璧な幼なじみ

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俺には完璧な幼なじみがいる。

顔良し、頭良し、運動神経良し、性格良し。

うん、スゴい。

それに比べて、俺は平凡顔、頭は残念(バカだけど、バカって言わないで!)、性格はビビりのヘタレ。

…ある意味スゴいでしょ。

いいとこあんの?って感じだけどさ、あっ、でもでも、運動神経は良い方!あと…ノリはいいよ。

つーか、俺なんかどうでもいいよね。イケメンの話をしよう。

優しくて、カッコ良くて、ノリもいい、俺の幼なじみ。

一緒にいると楽しいし、これからも仲良くしていきたいと思ってる。

けど…心配な事があるんだ。

俺、幼なじみがいないと、一人…なんだよ。

いや、別に、ボッチってわけじゃないよ?

人とはよく話す方だと思う…ただ、仲良しな友達は、幼なじみだけ、なんだ。

…ヤバいよな。

「ヤバいんだよ!どうしよう!」

「それはヤバいのかい?」

「ヤバいよ!超ヤバい!」

「そう。…君は私に何を望む?」

「友達になって!」

「おや…私と君は友達ではないのか。それは心外だ」

「いや、友達だけど。薄い付き合いじゃなくて、濃い付き合いでってこと」

「友情に薄い濃いの違いがあるのか。そんな考えは思いつかなかったよ。面白いね」

「そ、そう…?それは良かった。―って、ちがーう!」

「うん?」

「アル…。アルはさ、聖(ひじり)と仲良しだよね」

「彼は私の特別な人だからね」

「えっ…あ、そうなの(えっと、友達の中で特別ってことだよな。好きとかじゃなくて)」

「友人だよ。とても大切なね」

「アル、心読めんの!?」

「ふふ。声に出ていたよ」

「なにそれ恥ずかしい…」

「それで?」

「ぇ?」

「話は終わりかい?」

「あ、や、…それで、俺も聖が特別なんだけど、その…聖にべったりするの、よくないと思うんだよ」

「君たちはそのままでいいと思うけど」

「いやいや、よくないでしょ。だって、もし聖に彼女できたら、どうする?そりゃ、聖には幸せになってほしいけど、聖以外に親しい友達いない俺、ボッチ確定だよ…寂しい大学生活なんて嫌だ!」

「…それはないんじゃないかな」

「何で!?聖モテモテだよ!彼女の一人や二人、すぐできるよ。いや、聖は真面目だから、彼女は一人だけだと思うけどね。そもそも彼女は一人だけだな。言葉のあや?ってやつだよ、アル。…俺も彼女欲しい!」

「友達が欲しいのか、彼女が欲しいのか、どっちなんだい?」

「どっちも!」

「欲張りだね」

「う~。ボッチはヤダ。アル~、俺ともっと仲良くなってよ」

「聖の次に仲良しな友人候補に選ばれたのは光栄だけど…遠慮しておくよ」

「な、何で?アルは俺と仲良くなりたくない…?あっ、迷惑だったよな、ゴメン!」

「いや、そうではないんだ。…聖と大輝(だいき)の為に、私は深く関わるわけにはいかない」

「? アル?」

「何でもないよ」

「そっか」

「大輝。心配することはないよ。聖は大輝が一番大切だから、大輝より優先することなんて、絶対にない」

「絶対かぁ…。絶対なんて、この世には存在しない、って聞いたことあるけど、どうなんだろ」

「絶対ではなく、確実と言い換えてもいいよ」

「…アルに言われると、安心感がスゴい。めっちゃ落ち着くわー」

「ふふ、ありがとう」

「こちらこそ、ありがとう」

「―楽しそうだね、大輝」

「んぁ!?聖!?お、脅かすなよー!」

「ごめんごめん。大輝の驚いた顔見たくて、つい」

「うわっ、悪趣味ー。聖さんのエッチ」

「男はみんな狼だよ」

「ふむ…。では私も狼なのか。いつ変身できるのかな?」

「…ツッコミ待ちだったのに、話がズレた」

「で?」

「ん?」

「何の話してた?随分楽しそうだったけど」

「あー…(聖以外の親しい友達欲しくて、アルに頼み込んでた…とか、恥ずかしくて言えないなぁ)」

「アル」

「私は用事があるから、先に帰るよ。また明日」

「あ、そうだったの?引き止めちゃって、ごめん!話聞いてくれて、ありがとな!また明日っ」

「また明日。…大輝、待たせてごめんね」

「ちょっとしか待ってないから、気にすんなよ。―それに、俺もお前と帰りたかったし」

「行きたい所あるんだ?」

「そそ。寄り道して帰ろーぜ」

「いいよ」

聖の隣は居心地が良い。

むしろ、良すぎて、不安になる。

幸せになってほしいのに、ずっと一緒にいてほしいと思ってしまう。

そんなの無理だって、分かってる。

聖を困らせるだけだ。

だから、幼なじみ離れ、しないといけない。

今まで通り仲良く、でも、べったりしない程度に。

じゃないと、聖に頼ったり、甘えたりして、いざという時、一人で生きていけないかもしれないから。

俺は、聖の負担にはなりたくない。

ダメダメだけど、聖と対等でいたいんだ。

俺だって、聖に頼ってもらったり、甘えてもらいたい。

俺は聖に頼り過ぎてた。甘え過ぎてた。そのことに、やっと気付いたんだ。

…今更気付くとか、遅すぎるけどさ。

俺、聖が好きだ。大好きだ。

だから…、俺が聖の邪魔になってるなら、離れるよ。

聖には、誰よりも一番、幸せになってほしい。

「…?」

「どうした?」

「ん…。んー、何でもない」

「そうか」

聖と普通の友達になる、と思ったら、胸が痛む…。

何でだろ。やっぱり、寂しいのかな?

―大輝は気付かない。

自分の気持ちに、

聖の思いに、

何も、気付けなかった。

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