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第五章
3.何故お前がここにいる【3】
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「いい加減にしろ、ペルニギュート」
「良いじゃない、兄さん。どのみちこのまま何もなくても、いずれ兄さんは魔法石になるんでしょ?」
事も無げにペルさんは口にします。
──ドキッとしました。それは私の一番恐れている事なのです。
そして、一番目を背けている事でした。
「それならこんな世界なんか壊しちゃおうよ。魔物だって人間だって、所詮は同じ存在価値でしょ。精霊だってそれ自体は存在価値でしかない訳だから、人間だけが守られるっておかしくない?それとも、人間は特別?」
話ながらもペルさんはペシペシと石像を叩きます。その度に細かいヒビが入り、そしてついには砂のようになって崩れてしまいました。
これは腕力ではなく、あの黒い炎のように見える力の為ですよね。
「……世界は守らなければならない」
「またまたぁ~。そんな正論なんてどうでも良いんだって。兄さんの本心を聞いてるのさ。散々人間の醜いところを見てきたんでしょ?自己中で強欲で自己愛の塊であるニンゲン。まだ魔物の方が純粋だよ」
そしてペルさんは、また別の石像に手を伸ばします。
サラッ──とあまりに簡単に崩れ落ちる石像達に、私は実は砂の虚像なのかと思った程でした。
「魔物は悪だ」
「悪ってなぁに?人を喰うから?……そんなの、人だってそうじゃない。生き物を喰らい、自然を喰らってる。このままだと世界を汚して、何も住めない場所にしちゃうよ。兄さんだって、魔法石になりたくはないでしょ?」
誘うような言葉が続きます。
でもペルさんの言う事も一理あって、全ての人が善人ではないとの言葉に私も頷きそうになりました。
「もし兄さんが魔法石になったら、その人は誰が守るの?」
笑みを浮かべたままのペルさんの問い掛けです。
ゆっくりとヴォルの視線が私に向けられました。その揺れる青緑色の瞳に戸惑います。
止めて下さい、ヴォルにそんな悲しい瞳をさせないで下さい──と言いたくなりました。
「……な、何で私?」
「ほら、困っちゃうでしょ」
私の問い掛けを聞き流して笑顔で次々と石像を砂に変えながら、その口はヴォルを誘惑していきます。──この子、本当に十歳ですか?
「この国の結界なんて解いちゃったら?彼女を守る為だけに力を使ったって構わないんじゃない?」
今度は世界を盾にではなく、私を盾に話を進めていっているようでした。──これって、物凄く状況的に不利ではありませんか?
私がヴォルの足枷になってしまってはダメです。
「私なら大丈夫ですからっ」
思わず口にして焦りました。だって何の策もないのですから。
「何が大丈夫なの?」
ペルさんの瞳の青が暗く光ります。
「わ、私……は……」
「だから、何?」
凄く離れているのに、この少年から発せられる威圧感に呼吸困難になりました。
ダメです。気持ちで負けてしまいそうでした。
「私は……、ヴォルが石になったら石になりますからっ」
叫ぶように告げました。ヴォルが息を呑んだのが分かります。でも、本心からでした。
──だってヴォルがいなかったら、私がここにいる意味がないのですもの。
彼の為に王都に来たのですし、今では本当に共に生きていきたいと心から願っているのです。
「ヴォルがいる場所が私の居場所ですっ」
今度は真っ直ぐ前を向いて言えました。
ペルさんに脅されたって、これだけは譲れません。
「良いじゃない、兄さん。どのみちこのまま何もなくても、いずれ兄さんは魔法石になるんでしょ?」
事も無げにペルさんは口にします。
──ドキッとしました。それは私の一番恐れている事なのです。
そして、一番目を背けている事でした。
「それならこんな世界なんか壊しちゃおうよ。魔物だって人間だって、所詮は同じ存在価値でしょ。精霊だってそれ自体は存在価値でしかない訳だから、人間だけが守られるっておかしくない?それとも、人間は特別?」
話ながらもペルさんはペシペシと石像を叩きます。その度に細かいヒビが入り、そしてついには砂のようになって崩れてしまいました。
これは腕力ではなく、あの黒い炎のように見える力の為ですよね。
「……世界は守らなければならない」
「またまたぁ~。そんな正論なんてどうでも良いんだって。兄さんの本心を聞いてるのさ。散々人間の醜いところを見てきたんでしょ?自己中で強欲で自己愛の塊であるニンゲン。まだ魔物の方が純粋だよ」
そしてペルさんは、また別の石像に手を伸ばします。
サラッ──とあまりに簡単に崩れ落ちる石像達に、私は実は砂の虚像なのかと思った程でした。
「魔物は悪だ」
「悪ってなぁに?人を喰うから?……そんなの、人だってそうじゃない。生き物を喰らい、自然を喰らってる。このままだと世界を汚して、何も住めない場所にしちゃうよ。兄さんだって、魔法石になりたくはないでしょ?」
誘うような言葉が続きます。
でもペルさんの言う事も一理あって、全ての人が善人ではないとの言葉に私も頷きそうになりました。
「もし兄さんが魔法石になったら、その人は誰が守るの?」
笑みを浮かべたままのペルさんの問い掛けです。
ゆっくりとヴォルの視線が私に向けられました。その揺れる青緑色の瞳に戸惑います。
止めて下さい、ヴォルにそんな悲しい瞳をさせないで下さい──と言いたくなりました。
「……な、何で私?」
「ほら、困っちゃうでしょ」
私の問い掛けを聞き流して笑顔で次々と石像を砂に変えながら、その口はヴォルを誘惑していきます。──この子、本当に十歳ですか?
「この国の結界なんて解いちゃったら?彼女を守る為だけに力を使ったって構わないんじゃない?」
今度は世界を盾にではなく、私を盾に話を進めていっているようでした。──これって、物凄く状況的に不利ではありませんか?
私がヴォルの足枷になってしまってはダメです。
「私なら大丈夫ですからっ」
思わず口にして焦りました。だって何の策もないのですから。
「何が大丈夫なの?」
ペルさんの瞳の青が暗く光ります。
「わ、私……は……」
「だから、何?」
凄く離れているのに、この少年から発せられる威圧感に呼吸困難になりました。
ダメです。気持ちで負けてしまいそうでした。
「私は……、ヴォルが石になったら石になりますからっ」
叫ぶように告げました。ヴォルが息を呑んだのが分かります。でも、本心からでした。
──だってヴォルがいなかったら、私がここにいる意味がないのですもの。
彼の為に王都に来たのですし、今では本当に共に生きていきたいと心から願っているのです。
「ヴォルがいる場所が私の居場所ですっ」
今度は真っ直ぐ前を向いて言えました。
ペルさんに脅されたって、これだけは譲れません。
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