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第六章
3.ないと困るのだろ【4】
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低木草地帯から景色が変わっていき、この辺りでは木々の緑が濃いようです。森とまではいきませんが、周囲を木々が覆っていました。
「身を隠す場所が多いからか、この辺りは小型の魔物に要注意だな」
「いるぞ。其方此方に」
「はぁ?って、何処にだよっ!?」
澄ました顔のヴォルに指摘され、ベンダーツさんが周囲を見回します。
私も同じように首を回しましたが当然のように姿なんて見えるはずもなく、ただ木々が立ち並んで見えるだけでした。
「魔力を感じるからな。精霊も警戒しているが、今のところ襲ってくる気はないようだ」
「気配も感じるのかよ、ヴォルは。本当に何でもありだな。俺も殺気を向けられれば分かるけど、ただ傍観してるだけの奴の気配まではなぁ」
振り向くとヴォルが上を見上げていました。彼には怯える精霊さんが見えるのでしょうか、僅かに瞳が細められます。
対して呆れたように告げるベンダーツさんですが、その言葉に私は内心で頷いてしまいました。
だって本当に、ヴォルは何でも出来る感じなのです。──以前本人に言ったら、即否定されましたけど。
「魔物とはいえ、あれらもバカではないからな。こちらの隙を狙ってくるつもりなのだろう」
「そうは言っても、俺としてはいい加減討伐も飽きたんだけどなぁ。魔物ばかりで食えないし、しかも今度は雑魚ときた。剣の錆にしかならないじゃねぇか」
「奴等の狙いは俺の魔力だ。魔物は常に魔力に飢えている」
いつものようにテンポ良く交わされる会話でした。
でも、真顔で自分が餌だなんて言うの、ヴォルくらいじゃないですか?しかもそれが妙に現実的な分、私は怖いだけです。
「ヴォル、その言い方じゃメルが怖がるぞ」
──え?と、思わず隣を並走するベンダーツさんを見つめました。
まるで今の私の感情が伝わってしまったかのような絶妙なタイミングでしたから。
「何がだ」
「気付けよ、本当に。頼りに思っているのはお互い様なんだろ?ヴォルもメルも、互いを必要としているのは端から見ていて良く分かる。ムカツクくらいにな。でもだからこそ、どちらも欠けないような努力が必要なんじゃないのか?」
指摘の意味が分からない様子のヴォルですが、噛み砕いて諭すように言葉を紡ぐベンダーツさんです。
努力──ですか。確かに、私はいつもヴォルに守ってもらってばかりでした。それでヴォルに傷付いて欲しくないって言うのは、勝手すぎますよね。
私にも彼を失わない努力が必要です。戦う事は出来ないですが、何か私でも可能な事がある筈ですよね。
「俺は…………」
何かを言い掛け、口を閉ざしてしまいました。
ヴォルはヴォルなりに、考えがあっての事なのだと思います。だからこそ私は、ヴォルだけを責めるような事が出来ません。
それこそ筋違いですもの。
「あのなぁ。これは魔力持ちだろうがそうじゃなかろうが、当たり前の事なんだぜ?守る為の努力を怠れば、どちらかが残される立場になるだろうが。残った方はどうなる?…………守れなかったと自分を責める事になるんだ」
重い言葉でした。
私の心に両親の顔が浮かびます。私の我が儘を聞いてくれて──結果、失う事になってしまった人達でした。
そう──私は今でも悔いています。あの時どうすれば良かったのかと、自問し続けていました。
ヴォルのおかげで以前程の辛い感情はなくなりましたが、それでも思い出す度に心に痛みを感じます。何故あの時、自分はあんな我が儘を言ってしまったのかと。
「身を隠す場所が多いからか、この辺りは小型の魔物に要注意だな」
「いるぞ。其方此方に」
「はぁ?って、何処にだよっ!?」
澄ました顔のヴォルに指摘され、ベンダーツさんが周囲を見回します。
私も同じように首を回しましたが当然のように姿なんて見えるはずもなく、ただ木々が立ち並んで見えるだけでした。
「魔力を感じるからな。精霊も警戒しているが、今のところ襲ってくる気はないようだ」
「気配も感じるのかよ、ヴォルは。本当に何でもありだな。俺も殺気を向けられれば分かるけど、ただ傍観してるだけの奴の気配まではなぁ」
振り向くとヴォルが上を見上げていました。彼には怯える精霊さんが見えるのでしょうか、僅かに瞳が細められます。
対して呆れたように告げるベンダーツさんですが、その言葉に私は内心で頷いてしまいました。
だって本当に、ヴォルは何でも出来る感じなのです。──以前本人に言ったら、即否定されましたけど。
「魔物とはいえ、あれらもバカではないからな。こちらの隙を狙ってくるつもりなのだろう」
「そうは言っても、俺としてはいい加減討伐も飽きたんだけどなぁ。魔物ばかりで食えないし、しかも今度は雑魚ときた。剣の錆にしかならないじゃねぇか」
「奴等の狙いは俺の魔力だ。魔物は常に魔力に飢えている」
いつものようにテンポ良く交わされる会話でした。
でも、真顔で自分が餌だなんて言うの、ヴォルくらいじゃないですか?しかもそれが妙に現実的な分、私は怖いだけです。
「ヴォル、その言い方じゃメルが怖がるぞ」
──え?と、思わず隣を並走するベンダーツさんを見つめました。
まるで今の私の感情が伝わってしまったかのような絶妙なタイミングでしたから。
「何がだ」
「気付けよ、本当に。頼りに思っているのはお互い様なんだろ?ヴォルもメルも、互いを必要としているのは端から見ていて良く分かる。ムカツクくらいにな。でもだからこそ、どちらも欠けないような努力が必要なんじゃないのか?」
指摘の意味が分からない様子のヴォルですが、噛み砕いて諭すように言葉を紡ぐベンダーツさんです。
努力──ですか。確かに、私はいつもヴォルに守ってもらってばかりでした。それでヴォルに傷付いて欲しくないって言うのは、勝手すぎますよね。
私にも彼を失わない努力が必要です。戦う事は出来ないですが、何か私でも可能な事がある筈ですよね。
「俺は…………」
何かを言い掛け、口を閉ざしてしまいました。
ヴォルはヴォルなりに、考えがあっての事なのだと思います。だからこそ私は、ヴォルだけを責めるような事が出来ません。
それこそ筋違いですもの。
「あのなぁ。これは魔力持ちだろうがそうじゃなかろうが、当たり前の事なんだぜ?守る為の努力を怠れば、どちらかが残される立場になるだろうが。残った方はどうなる?…………守れなかったと自分を責める事になるんだ」
重い言葉でした。
私の心に両親の顔が浮かびます。私の我が儘を聞いてくれて──結果、失う事になってしまった人達でした。
そう──私は今でも悔いています。あの時どうすれば良かったのかと、自問し続けていました。
ヴォルのおかげで以前程の辛い感情はなくなりましたが、それでも思い出す度に心に痛みを感じます。何故あの時、自分はあんな我が儘を言ってしまったのかと。
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