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第七章
7.コレとは何の事だ【5】
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「記録魔石か。そんなものまで持ってきていたのか」
ヴォルがベンダーツさんに問います。それは良いのですが、問い掛ける側の態度は問題ないのかと思ってしまいました。
現状、私を後ろから抱き締めたままベッドに腰掛けています。これはまるで私がヴォルの膝の上に乗っているようで──事実足の間にいる状態の羞恥は半端なく、現状を鑑みて一人でダメージを受けました。
これが抱き枕、もしくは巨大な縫い包みならば印象は異なるのですけれども。──ヴォルが縫い包みって……想像出来ません。
「そ。実際に必要だったでしょ?今回はゼブル卿が鼻高々に演説している様子の音声と映像を記録させた記録魔石を自警団に手渡してきた。聞いていた町民はそれはもう恍惚とした様子で聞き入ってて、洗脳されてるのがばっちり分かるやつをね。あ、その映像を見て洗脳される事はないから安心して。そんな感じで後は向こうの判断かな。……って言うかさっきからさ、それって俺に対する当て付け?」
先程の報告よりも詳細を告げるベンダーツさんです。
細かい情報を公開してくれたので、私にもきちんと伝わりました。ですが、最終的に口調を荒らげたベンダーツさんの視線が怖いです。
「メルは俺のだ」
「はいはい。そんな主張しなくたって分かってるよ。ってか取らねぇし。だから必要以上にくっつくなっての、見ていて鬱陶しいっ」
「すみません。あの、ゼブル……さんは離れたところに住んでいる娘さんがいるって言っていましたけど」
激しくなりそうな二人の言い合いに口を挟みました。
そうかといって私がゼブルさんと会話をしたのは神父さんと勘違いしていた時ですが、あの時の話は本当だったのでしょうか。
「まぁ……それは本当だけど……」
「何処でそれを聞いた」
訝しげな表情になったベンダーツさんと、僅かに眉根を寄せたヴォルでした。
何だか二人の雰囲気が怖いのですけど、私は変な事を聞いてしまったようです。
「あ、あの……教会、で……?」
後悔しても口にしてしまった言葉は消えませんから、おどおどとヴォルの質問に答えました。すると更に強く抱き締められます。
そんなに拘束しなくても、私は逃げも隠れもしないと言いたくなりました。でも今のヴォルから怒りは感じないので、これはまた不安にさせたのかと思い至ります。
私は大丈夫ですって気持ちを込めて、自分の胸の前に合わされたヴォルの手を撫でました。
「あぁ、そういう事。それ勿論嘘じゃないけど、恐らくメルを油断させようとして言ったんだと思うよ?その後でしょ、洗脳されて捕まったの。相手の気を引かないと言葉は届かないからね」
ヴォルの態度に苦笑いを浮かべているベンダーツさんですが、親切にも私へあの時の事を教えてくれます。
つまりは、初めから私を教会内部へ引き入れるつもりだったと言う事でした。確かに全く知らない人の言葉に、真摯に耳を傾けたりはしませんね。
「でも、私の事を聖なる娘とか言っていましたけど……」
「あぁ、それはヴォルの魔力を纏っているからだね。それに精霊もついているんだろ?魔力所持者は他者の魔力も多少は感知出来るから、メルに魔力がなくとも『巫女』のような力を持っている印象を受けたんだよ」
ヴォルは私を解放してはくれませんが、ベンダーツさんは質問に普通に答えてくれました。
巫女──ですか。確かにヴォルの精霊さんは今も私と一緒にいてくれてるようです。霊的な存在であった時は、どちらについていたか不明ですけど。
「あ、忘れていました。私が手を触れた途端に動いてしまった紋章は大丈夫だったのでしょうか?教会の紋章の場所に重なっていましたけど……」
思い出しながら新たな質問をしました。
あの紋章が動いたら、いつの間にか入り口が出来ていたのです。
「動いた……あぁ、それは地下への扉の封印の事だね。あれ、メルの責任じゃなくて魔力の反発で揺るがされたからだよ。ん~……何て言うか。メルはヴォルの精霊をつけてて、ヴォルの守護魔法を常に纏っているんだ。そしてそれは強力な魔力で、魔法石にとっては自分の存在を脅かされるものな訳。実際俺が辿り着いた時に閉められていた封印の扉自体も、遅れて到着したヴォルの魔力の波動で再度崩壊した訳だし」
「俺に非があるような言い方をするな。お前がモタモタしているからだ」
ベンダーツさんの言葉に、ヴォルが僅かに眉根を寄せました。
あの時の私は霊的な感じだったので、壁が閉じられた後にもすり抜けて通れたのです。物理的に開けるか壊すかしないと、普通は通れませんからね。
「何で?本当の事じゃん。俺がモタモタしていた訳じゃなくて、封印の壁に塞がれていたんだから仕方ないでしょ。ってか、どれだけ魔力所持者がヴォルを恐れるかメルに教えてあげなきゃ」
楽しそうに笑みを浮かべるベンダーツさんでした。
恐れる──ですか。私は後ろにいるヴォルの顔を見上げます。確かに怖い時もありますけど、基本的にヴォルは優しいです。
ヴォルがベンダーツさんに問います。それは良いのですが、問い掛ける側の態度は問題ないのかと思ってしまいました。
現状、私を後ろから抱き締めたままベッドに腰掛けています。これはまるで私がヴォルの膝の上に乗っているようで──事実足の間にいる状態の羞恥は半端なく、現状を鑑みて一人でダメージを受けました。
これが抱き枕、もしくは巨大な縫い包みならば印象は異なるのですけれども。──ヴォルが縫い包みって……想像出来ません。
「そ。実際に必要だったでしょ?今回はゼブル卿が鼻高々に演説している様子の音声と映像を記録させた記録魔石を自警団に手渡してきた。聞いていた町民はそれはもう恍惚とした様子で聞き入ってて、洗脳されてるのがばっちり分かるやつをね。あ、その映像を見て洗脳される事はないから安心して。そんな感じで後は向こうの判断かな。……って言うかさっきからさ、それって俺に対する当て付け?」
先程の報告よりも詳細を告げるベンダーツさんです。
細かい情報を公開してくれたので、私にもきちんと伝わりました。ですが、最終的に口調を荒らげたベンダーツさんの視線が怖いです。
「メルは俺のだ」
「はいはい。そんな主張しなくたって分かってるよ。ってか取らねぇし。だから必要以上にくっつくなっての、見ていて鬱陶しいっ」
「すみません。あの、ゼブル……さんは離れたところに住んでいる娘さんがいるって言っていましたけど」
激しくなりそうな二人の言い合いに口を挟みました。
そうかといって私がゼブルさんと会話をしたのは神父さんと勘違いしていた時ですが、あの時の話は本当だったのでしょうか。
「まぁ……それは本当だけど……」
「何処でそれを聞いた」
訝しげな表情になったベンダーツさんと、僅かに眉根を寄せたヴォルでした。
何だか二人の雰囲気が怖いのですけど、私は変な事を聞いてしまったようです。
「あ、あの……教会、で……?」
後悔しても口にしてしまった言葉は消えませんから、おどおどとヴォルの質問に答えました。すると更に強く抱き締められます。
そんなに拘束しなくても、私は逃げも隠れもしないと言いたくなりました。でも今のヴォルから怒りは感じないので、これはまた不安にさせたのかと思い至ります。
私は大丈夫ですって気持ちを込めて、自分の胸の前に合わされたヴォルの手を撫でました。
「あぁ、そういう事。それ勿論嘘じゃないけど、恐らくメルを油断させようとして言ったんだと思うよ?その後でしょ、洗脳されて捕まったの。相手の気を引かないと言葉は届かないからね」
ヴォルの態度に苦笑いを浮かべているベンダーツさんですが、親切にも私へあの時の事を教えてくれます。
つまりは、初めから私を教会内部へ引き入れるつもりだったと言う事でした。確かに全く知らない人の言葉に、真摯に耳を傾けたりはしませんね。
「でも、私の事を聖なる娘とか言っていましたけど……」
「あぁ、それはヴォルの魔力を纏っているからだね。それに精霊もついているんだろ?魔力所持者は他者の魔力も多少は感知出来るから、メルに魔力がなくとも『巫女』のような力を持っている印象を受けたんだよ」
ヴォルは私を解放してはくれませんが、ベンダーツさんは質問に普通に答えてくれました。
巫女──ですか。確かにヴォルの精霊さんは今も私と一緒にいてくれてるようです。霊的な存在であった時は、どちらについていたか不明ですけど。
「あ、忘れていました。私が手を触れた途端に動いてしまった紋章は大丈夫だったのでしょうか?教会の紋章の場所に重なっていましたけど……」
思い出しながら新たな質問をしました。
あの紋章が動いたら、いつの間にか入り口が出来ていたのです。
「動いた……あぁ、それは地下への扉の封印の事だね。あれ、メルの責任じゃなくて魔力の反発で揺るがされたからだよ。ん~……何て言うか。メルはヴォルの精霊をつけてて、ヴォルの守護魔法を常に纏っているんだ。そしてそれは強力な魔力で、魔法石にとっては自分の存在を脅かされるものな訳。実際俺が辿り着いた時に閉められていた封印の扉自体も、遅れて到着したヴォルの魔力の波動で再度崩壊した訳だし」
「俺に非があるような言い方をするな。お前がモタモタしているからだ」
ベンダーツさんの言葉に、ヴォルが僅かに眉根を寄せました。
あの時の私は霊的な感じだったので、壁が閉じられた後にもすり抜けて通れたのです。物理的に開けるか壊すかしないと、普通は通れませんからね。
「何で?本当の事じゃん。俺がモタモタしていた訳じゃなくて、封印の壁に塞がれていたんだから仕方ないでしょ。ってか、どれだけ魔力所持者がヴォルを恐れるかメルに教えてあげなきゃ」
楽しそうに笑みを浮かべるベンダーツさんでした。
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