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第七章
10.契約を破棄している【5】
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「そう……ですよね……」
「泣くな」
「泣いてませんよ」
本当は物凄く目頭が熱いのですけど、私は必死に涙を堪えます。
だってまだ泣くのは早いですから。
ユーニキュアさんがどうなるかなんて事、今の段階では分かりませんでした。けれども魔法を使って人心を操る事が普通に許される訳もないのです。
例えどのような立場にいる人でも、罪は償わなければなりませんでした。ゼブルさんも既に拘束されていますし、発端がどうであってもやっていけない事ですから。
「メル」
ヴォルに名を呼ばれ、先程よりも強く抱き締められました。
そしていつの間にか外の景色が見えなくなっています。何だか先程までの出来事から切り離され、夢の中にいるようにも感じました。
「メル」
ヴォルの手が熱い事に今更のように気付いた私は遅かったようです。
次に名前を呼ばれた時には既に、ヴォルと二人してベッドの上でした。この流れは不味くないですかと、声を大にして言いたいです。
「ヴォ、ま、待ってくださいっ」
「待てない」
「あ、あの……んっ!」
その先の言葉は呑み込まれました。
何にかと言えば──当たり前ではないですが、ヴォルの唇にです。
──私の意見はないのですか?!
「んっ……ま、待って……くださっ」
「……ダメか?」
口を半ば塞がれつつの抵抗でした。
ダメとか良いとかではなくてです。
先程の幼子のようなすがり付く可愛い雰囲気は消し去り、今は狼のようにギラギラした熱い瞳をしていました。
それでも私の拒絶を表す言葉に、捨てられそうなワンコの様な瞳を向けられます。
「っ……ダメ……では、ないです……」
完全に拒否出来ませんでした。
私の意思は必要なかったようです。こういうヴォルに弱すぎました。
本当は色々と聞きたかったのですけど、今は諦めるしかないようです。
何だかヴォルは、魔力を大量消費すると狂暴化すると言うか──理性に歯止めが利かなくなる感じでした。とにかく普段よりも男性の部分が強く現れるようです。
いえ、私の思い過ごしかも知れませんが。
ここは外なのに感覚的には外ではなくて、周りの音も景色も見えませんでした。恐らく外にも内部で何があっても伝わらないでしょうから、とにかく二人きりなのです。
それなので誰にも怒られないですし、文句も言われない事は確定でした。
「メル」
「はい……」
ヴォルに触れられる度、少しずつ私の体温が上昇します。
もう周りを気にする必要がないのだと分かってから、私の中の自制心はどんどん薄れていきました。
ここにはヴォルと私の二人きりなのです。
メルの柔らかな肌に触れる度、俺は自分がただの人間だったのだと気付かされる。
自身を抑え込む事も出来ず、ただ欲望の為に彼女を貫くのだ。
甘い声を聞きながら、その香しい匂いを身体中に吸い込む。
もはや手放す事の出来ないメル。誰にも触れさせず見せる事なく、閉じ込めておきたい衝動に駆られた。
あぁ、満たされる。
削り取られた魔力も気力も何もかもが、彼女に触れれば触れる程回復する感覚だった。
俺はいつからこうも弱くなったのだろうか。
彼女に何かあっただけで酷く取り乱してしまう。彼女がここにいるだけで心の底から休まる。彼女の表情が、声が──匂いすらも俺の一部であるかのようだ。
だがそれも、悪くない。
「泣くな」
「泣いてませんよ」
本当は物凄く目頭が熱いのですけど、私は必死に涙を堪えます。
だってまだ泣くのは早いですから。
ユーニキュアさんがどうなるかなんて事、今の段階では分かりませんでした。けれども魔法を使って人心を操る事が普通に許される訳もないのです。
例えどのような立場にいる人でも、罪は償わなければなりませんでした。ゼブルさんも既に拘束されていますし、発端がどうであってもやっていけない事ですから。
「メル」
ヴォルに名を呼ばれ、先程よりも強く抱き締められました。
そしていつの間にか外の景色が見えなくなっています。何だか先程までの出来事から切り離され、夢の中にいるようにも感じました。
「メル」
ヴォルの手が熱い事に今更のように気付いた私は遅かったようです。
次に名前を呼ばれた時には既に、ヴォルと二人してベッドの上でした。この流れは不味くないですかと、声を大にして言いたいです。
「ヴォ、ま、待ってくださいっ」
「待てない」
「あ、あの……んっ!」
その先の言葉は呑み込まれました。
何にかと言えば──当たり前ではないですが、ヴォルの唇にです。
──私の意見はないのですか?!
「んっ……ま、待って……くださっ」
「……ダメか?」
口を半ば塞がれつつの抵抗でした。
ダメとか良いとかではなくてです。
先程の幼子のようなすがり付く可愛い雰囲気は消し去り、今は狼のようにギラギラした熱い瞳をしていました。
それでも私の拒絶を表す言葉に、捨てられそうなワンコの様な瞳を向けられます。
「っ……ダメ……では、ないです……」
完全に拒否出来ませんでした。
私の意思は必要なかったようです。こういうヴォルに弱すぎました。
本当は色々と聞きたかったのですけど、今は諦めるしかないようです。
何だかヴォルは、魔力を大量消費すると狂暴化すると言うか──理性に歯止めが利かなくなる感じでした。とにかく普段よりも男性の部分が強く現れるようです。
いえ、私の思い過ごしかも知れませんが。
ここは外なのに感覚的には外ではなくて、周りの音も景色も見えませんでした。恐らく外にも内部で何があっても伝わらないでしょうから、とにかく二人きりなのです。
それなので誰にも怒られないですし、文句も言われない事は確定でした。
「メル」
「はい……」
ヴォルに触れられる度、少しずつ私の体温が上昇します。
もう周りを気にする必要がないのだと分かってから、私の中の自制心はどんどん薄れていきました。
ここにはヴォルと私の二人きりなのです。
メルの柔らかな肌に触れる度、俺は自分がただの人間だったのだと気付かされる。
自身を抑え込む事も出来ず、ただ欲望の為に彼女を貫くのだ。
甘い声を聞きながら、その香しい匂いを身体中に吸い込む。
もはや手放す事の出来ないメル。誰にも触れさせず見せる事なく、閉じ込めておきたい衝動に駆られた。
あぁ、満たされる。
削り取られた魔力も気力も何もかもが、彼女に触れれば触れる程回復する感覚だった。
俺はいつからこうも弱くなったのだろうか。
彼女に何かあっただけで酷く取り乱してしまう。彼女がここにいるだけで心の底から休まる。彼女の表情が、声が──匂いすらも俺の一部であるかのようだ。
だがそれも、悪くない。
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