「結婚しよう」

まひる

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第八章

≪Ⅷ≫魔力協会の人間だ【1】

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「精霊が何処にいるのか俺には分からないぜ?」

「いずれマークにも視認出来るかもしれない。今は教会この中にいる」

 わずかに不安を乗せたベンダーツさんの言葉に、ヴォルは事も無げに答えました。
 もしかしてヴォルって、分かって真っ直ぐこちらに向かって来たとかですか。

「何、初めから俺等はいらなかったんじゃね?」

「ついてくると言ったのはマークだ」

「そりゃそうなんだけど……、何だかなぁ~」

 あまりにも達観した物言いのヴォルに対し、ベンダーツさんはそれ以上何も言えないようでした。
 確かに私も同行の意思表示をしましたが、初めから役に立つとか思っていない分気が楽です。その点、本来のベンダーツさんは戦闘部門でも頭脳部門でもお役立ち人員なのでした。

「中の結界を破壊する。光と衝撃波が生じるが問題ない。押し入るぞ」

 ──危険度に対する前もっての説明をありがとうございます。
 今回は私達の返答を視線で確認してからおこなう方針のようでした。
 でも説明だけ聞いたところで有効な対策が取れる訳でもありません。
 私の精神的なものでしょうが、ヴォルの結界が自分達を守っているとはいっても現象の程度が不明なままでした。それはあまり安心出来るものではなく、自然と身体に緊張が走ります。

「くっ……」

「キャッ」

 そしてそれが起こりました。
 思わず声が出てしまった私です。ベンダーツさんの声も同時に聞こえました。
 私が認識出来た現象はこうです──ヴォルが手をかざした瞬間、爆発したかのような凄い光が弾けます。その爆発的な光の洪水と、結界壁を伝わって空気が揺れる程の衝撃波が起こりました。
 勿論自分の身体は何ともないのですが、驚愕と同時に恐怖でパニックになります。

「大丈夫か?」

 声を掛けられ閉じていた目を開けると、 私を覗き込むヴォルがいました。
 私はどうやら混乱のあまり、硬く目を閉じて耳を覆っていたようです。──というか、私達の間の結界は互いを妨げはしないようでした。既にヴォルと私は触れ合っています。

「あ、はい……」

 ヴォルに返した後、見回してベンダーツさんを確認しました。
 彼も同じ様な状態だったのかもしれません。私と目が合った途端苦笑されてしまいました。
 やはりあの説明だけでは理解が追い付かず、驚かないではいられなかったようです。
 そんな事を漠然ばくぜんと思っていると、急に違う緊張感が生まれました。その感覚に我に返ると、ヴォルが前方に鋭い視線を向けています。
 教会兼魔力協会の建物から、一人の男性が出てきました。しかしながらその足取りは覚束無いようで、フラフラとして頼りないものです。

「あの人は……」

「魔力協会の人間だ」

 いつもより固い声音でヴォルが告げました。
 出ました魔力協会員です。いえ──当たり前ですけど、見た目はごく普通の人でした。
 でも何て言うのでしょうか──雰囲気がドロドロとした、黒くて重いものをまとっているように見えます。

「何だ、大勢いるんじゃないか」

 ベンダーツさんの言葉に、教会からゾロゾロと隊をなして出て来た人達へ一通ひととおり視線を送ってみました。
 思ったよりたくさんいます──20人はいるでしょうか。その全員が同じ様な、頭から被る系の青い長衣ながぎぬを身に付けていました。脇の部分はめくれないように部分的に留まっていて、その長さは足をスッポリと覆ってしまう程あります。
 私が着たならば歩いている間に転んでしまいそうでした。残念ながら根本的な問題として、身の丈が私に合いません。

「皆お揃いの、これまた魔力協会だぞって服装だねぇ」

 茶化すようなベンダーツさんでした。
 なるほど納得です。この青い衣装は魔力協会の制服のようでした。けれども初めに出てきた人同様に、私達へ向ける皆さんの視線が怖いです。

「ここの協会長に会いたい」

 りんとしたヴォルの声が響きました。
 ギョッとした私ですが、協会長ってもしかしなくてもここで一番偉い人だと思います。そんな人を突然の訪問で呼びつけるヴォルなのでした。
 更にいえば教会の結界まで壊してしまっています。
 そして、やはりと言うか──魔力協会の方々の雰囲気が何だか輪を掛けて剣呑けんのんなものに変わりました。
 ──ですよねぇ。
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