「結婚しよう」

まひる

文字の大きさ
400 / 515
第八章

9.有り得ない【5】

しおりを挟む
「ふむ、あれが魔力の坩堝るつぼと呼ばれるものだったのだろう。あの異常な魔力の放出はそうとしか言えないな。我々は常に魔力の流れを魔法石で見ている。広範囲ではその流れも大まかな事しか分からないが、視野をせばめれば細かな魔力情報を知る事が出来るのだ。それゆえ、最近起こっている魔力所持者の力の衰退すいたい原因を探っていた」

 協会長さんが監視魔法石の説明をしてくれます。
 思った以上に高性能な品物でした。そしてヴォルが言っていた魔力の流出の事にもれてます。
 でも私には、協会長さんの言う魔法石は怖い力であるように思えました。道具は使う人次第ですが、それゆえに善にも悪にもなり得ると思うのです。
 魔力を調査する事は大切なのでしょうが、なくなってほしいとも思ってしまいました。

「ここ最近は世界中の魔力が急激に大地へと吸収されていたのだ。そして弾けた先でこの有り様。……恐らく本来は長い年月をもって大地に魔力を吸収し、ある一定量貯蓄すると一気に地表に放出するという流れなのだろう」

「それが魔力の坩堝るつぼの要因ってやつ?」

「そうかもしれぬ。伝説にしか現れぬ言葉だが、それが消え去らないという事は何らかの真実があるからだろうな」

 協会長さんの言葉にベンダーツさんが問い掛けます。
 もう隠し事のない事実のみが語られているようでした。そして魔力の坩堝るつぼの正体の判明です。
 突然大地から吹き出すのであれば、誰もそれを見た事がないのは納得出来ました。だってそこにいたら、見ていた皆が魔法石になってしまうのです。

「破壊は不可能……かな?」

 ベンダーツさんの視線がヴォルに向けられました。これからどうするのか、先の指示を待っているようです。
 私も必死に思考をめぐらせました。私は魔力なんてものを目で見る事は出来ませんが、ついている頭は飾りではない筈です。

「魔力があふれて魔法石が出来るから、そこに魔物がたくさん集まる……と言う事ですよね」

「そうだよ、姫さん。放出された魔力を元に、別の魔物が発生する。この辺りはつい先日までまさに地獄だったからな。さいわい魔法石化した人をいはしないが、大気中にあふれ出た魔力から魔物は出るし光は弾けるしで混沌としていた」

 私の質問に答えてくれた協会長さんが見回すと、魔力協会の人達は顔をひきつらせました。
 その反応を見る限り、余程の現象だったようです。教会の結界があったので襲われる事がなかったようでした。
 確かに結界薄壁一枚をへだてているだけの魔物は、恐怖以外の何のでもありませんから。

「光に寄せられたのは魔物だけではなく精霊もです。この教会の中にも精霊がいますね」

 問い掛けではなく、淡々とした口調で断定して告げたヴォルでした。
 私はスッカリ忘れていましたが、そう言えば精霊さんが助けを求めて来ていたのです。

「あぁ、精霊か。確かにこの教会に二体、精霊がいるが……何でツヴァイス殿が知っているのだ?」

「精霊が来ました。囚われている精霊を解き放って欲しいとの依頼付きです」

「おぉ、まさかあの時逃げた精霊が?そうか、無事あの魔物の群れから逃げ出す事が出来て本当に良かった」

 驚きを含めた協会長さんでしたが、ヴォルの答えに納得したようでした。
 しかしながら何だか話が違う気がします。確か──人が悪者でしたよね、あの話。

「何だか、話が違うねぇ」

 ベンダーツさんも同じ事を思ったようです。
 瞳をさ迷わせて精霊さんを探しているようですが、どうやら彼の視界に精霊さんは映らなくなっているようでした。
 そして私の視界でも、あの銀髪の精霊さんは青い光にしか見えなくなっていたのです。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ
恋愛
 政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。  喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。  そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。  その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。  閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。  でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。  家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。  その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。    まずは亡くなったはずの旦那様との話から。      ご都合主義です。  設定は緩いです。  誤字脱字申し訳ありません。  主人公の名前を途中から間違えていました。  アメリアです。すみません。    

愛し子は自由のために、愛され妹の嘘を放置する

紅子
恋愛
あなたは私の連理の枝。今世こそは比翼の鳥となりましょう。 私は、女神様のお願いで、愛し子として転生した。でも、そのことを誰にも告げる気はない。可愛らしくも美しい双子の妹の影で、いない子と扱われても特別な何かにはならない。私を愛してくれる人とこの世界でささやかな幸せを築ければそれで満足だ。 その希望を打ち砕くことが起こるとき、私は全力でそれに抗うだろう。 完結済み。毎日00:00に更新予定です。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

【完結】地味な私と公爵様

ベル
恋愛
ラエル公爵。この学園でこの名を知らない人はいないでしょう。 端正な顔立ちに甘く低い声、時折見せる少年のような笑顔。誰もがその美しさに魅了され、女性なら誰もがラエル様との結婚を夢見てしまう。 そんな方が、平凡...いや、かなり地味で目立たない伯爵令嬢である私の婚約者だなんて一体誰が信じるでしょうか。 ...正直私も信じていません。 ラエル様が、私を溺愛しているなんて。 きっと、きっと、夢に違いありません。 お読みいただきありがとうございます。短編のつもりで書き始めましたが、意外と話が増えて長編に変更し、無事完結しました(*´-`)

有能女官の赴任先は辺境伯領

たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!! お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。 皆様、お気に入り登録ありがとうございました。 現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。 辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26) ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。 そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。 そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。   だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。 仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!? そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく…… ※お待たせしました。 ※他サイト様にも掲載中

もう一度あなたと?

キムラましゅろう
恋愛
アデリオール王国魔法省で魔法書士として 働くわたしに、ある日王命が下った。 かつて魅了に囚われ、婚約破棄を言い渡してきた相手、 ワルター=ブライスと再び婚約を結ぶようにと。 「え?もう一度あなたと?」 国王は王太子に巻き込まれる形で魅了に掛けられた者達への 救済措置のつもりだろうけど、はっきり言って迷惑だ。 だって魅了に掛けられなくても、 あの人はわたしになんて興味はなかったもの。 しかもわたしは聞いてしまった。 とりあえずは王命に従って、頃合いを見て再び婚約解消をすればいいと、彼が仲間と話している所を……。 OK、そう言う事ならこちらにも考えがある。 どうせ再びフラれるとわかっているなら、この状況、利用させてもらいましょう。 完全ご都合主義、ノーリアリティ展開で進行します。 生暖かい目で見ていただけると幸いです。 小説家になろうさんの方でも投稿しています。

王宮地味女官、只者じゃねぇ

宵森みなと
恋愛
地味で目立たず、ただ真面目に働く王宮の女官・エミリア。 しかし彼女の正体は――剣術・魔法・語学すべてに長けた首席卒業の才女にして、実はとんでもない美貌と魔性を秘めた、“自覚なしギャップ系”最強女官だった!? 王女付き女官に任命されたその日から、運命が少しずつ動き出す。 訛りだらけのマーレン語で王女に爆笑を起こし、夜会では仮面を外した瞬間、貴族たちを騒然とさせ―― さらには北方マーレン国から訪れた黒髪の第二王子をも、一瞬で虜にしてしまう。 「おら、案内させてもらいますけんの」 その一言が、国を揺らすとは、誰が想像しただろうか。 王女リリアは言う。「エミリアがいなければ、私は生きていけぬ」 副長カイルは焦る。「このまま、他国に連れて行かれてたまるか」 ジークは葛藤する。「自分だけを見てほしいのに、届かない」 そしてレオンハルト王子は心を決める。「妻に望むなら、彼女以外はいない」 けれど――当の本人は今日も地味眼鏡で事務作業中。 王族たちの心を翻弄するのは、無自覚最強の“訛り女官”。 訛って笑いを取り、仮面で魅了し、剣で守る―― これは、彼女の“本当の顔”が王宮を変えていく、壮麗な恋と成長の物語。 ★この物語は、「枯れ専モブ令嬢」の5年前のお話です。クラリスが活躍する前で、少し若いイザークとライナルトがちょっと出ます。

【完結】髪は女の命と言いますが、それよりも大事なものがある〜年下天才魔法使いの愛には応えられません〜

大森 樹
恋愛
髪は女の命。しかし、レベッカの髪は切ったら二度と伸びない。 みんなには秘密だが、レベッカの髪には魔法が宿っている。長い髪を切って、昔助けた男の子レオンが天才魔法使いとなって目の前に現れた。 「あなたを愛しています!絶対に絶対に幸せにするので、俺と結婚してください!よろしくお願いします!!」 婚約破棄されてから、一人で生きていくために真面目に魔法省の事務員として働いていたレベッカ。天才魔法使いとして入団してきた新人レオンに急に告白されるが、それを拒否する。しかし彼は全く諦める気配はない。 「レベッカさん!レベッカさん!」とまとわりつくレオンを迷惑に思いながらも、ストレートに愛を伝えてくる彼に次第に心惹かれていく…….。しかし、レベッカはレオンの気持ちに答えられないある理由があった。 年上訳あり真面目ヒロイン×年下可愛い系一途なヒーローの年の差ラブストーリーです。

お姉様優先な我が家は、このままでは破産です

編端みどり
恋愛
我が家では、なんでも姉が優先。 経費を全て公開しないといけない国で良かったわ。なんとか体裁を保てる予算をわたくしにも回して貰える。 だけどお姉様、どうしてそんな地雷男を選ぶんですか?! 結婚前から愛人ですって?!  愛人の予算もうちが出すのよ?! わかってる?! このままでは更にわたくしの予算は減ってしまうわ。そもそも愛人5人いる男と同居なんて無理! 姉の結婚までにこの家から逃げたい! 相談した親友にセッティングされた辺境伯とのお見合いは、理想の殿方との出会いだった。

処理中です...