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第八章
10.俺にも利(り)がある事【5】
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「それでは御主達はすぐにまた旅立つのかね」
「はい。ここに魔力の坩堝がないなら長居する理由もありません」
協会長さんの言葉に、ヴォルは表情なく答えました。
元々私達の旅は魔力の坩堝を探す事が目的だったのです。精霊さんのお願いで教会の結界を壊してしまった以外は、この町に来る事もその為に障害となっていた魔物の討伐も想定内でした。
魔法石化現象によって町の機能が破綻してしまっていた事は予想の斜め上をいっていましたが。
「つれないのぉ、ツヴァイス殿は。せめて、この結界を修復していってはくれぬか?我々では、残った全員の魔力を併せても何日かかる事か。一瞬で壊した御主なら、結界を張る事も容易くはないかね?」
「分かりました。問題ありません」
そして協会長さんの要望に淡々と答えるヴォルです。
初めからこれが協会長さんの言いたい事だったのか、私達の行動を妨げるつもりはないようでした。
しかしながら、ヴォルの魔力残量は大丈夫なのでしょうか。
「ヴォル?」
「どうした、メル」
私は思わず袖を引いてしまいましたが、ヴォルは変わらず優しい瞳を向けてくれました。
そしてその瞳に私は自分が覚えた不安を告げる勇気をもらい、心に秘めるより声に出さなくてはならないと思い至ります。
「あの、魔力はもう……流れてしまってはいないのですか?」
「問題ない。それにこの結界はセントラルに比べて小さい。以前のものより強度を増した結界を張ったとしても、消費魔力は俺にとって知れたもの。心配するな」
そう言って頭を撫でられました。──いえ、質問に対する答えをはぐらかされたとも言います。
しかしながら、そうまで言われては私は何の異存もありませんでした。彼が大丈夫だと言うなら大丈夫なのでしょうし、結界を作り直してあげるのは壊してしまった責任でもあるのでしょう。
「分かりました。教会の結界の修復をお願いします」
私が頭を下げた事で、取り囲んでいた魔力協会職員の人達もヴォルに向けて深く頭を下げました。
突然の態度の変化にどうしたのかと驚きましたが、後ろでベンダーツさんは柔らかく笑っています。
「さっすが、メルだね。一瞬で俺達に向けられた警戒心を解かしたよ」
──はい?
私は思わず首を傾げますが、ベンダーツさんは変わらずにこやかな笑みを浮かべていました。
私はただヴォルにお願いしただけなので、ベンダーツさんの言う素敵効果はないと思います。
「では結界を張ります」
「あぁ、お願いするよ。セントラルの結界を張るツヴァイス殿が張ってくれるなら、これ以上安心出来るものはないからね」
穏やかな表情を見せる協会長さんは、周囲で不思議そうに見守る魔力協会職員の人へ頷きを返していました。
そしてこれが彼等への一番の安心だったのでしょう。途端に表情が和らぎました。
そうしてあっという間に結界を張り終えたヴォルは、私の心配をよそに全く体調も悪くなさそうで安心しました。
「あのさぁ、ヴォル。本当に魔力流出は止まったのか?俺達には分からないから、そこら辺をきちんと教えてもらえないと安心出来ないじゃないの」
ヴォルに訴え掛けるベンダーツさんは、やはり一番心配してくれているようです。
「あぁ、問題ない」
「その通りだよ、従者君。ツヴァイス殿は魔力値に余力があるから分かりにくいだろうが、我々のような凡人魔力所持者は多少の流出でも肉体に多大な負担を強いられるからね。それがこの度の魔法石化現象後徐々に和らぎ、今では通常通りの状態に落ち着いたという訳だ」
ヴォルの張ってくれた結界を見回しつつ、笑顔の協会長さんでした。
つまりは、他の魔力所持者の人達も負担がなくなったという事です。魔力がなくなれば生命力を削らなくてはならないというのですから、何もしなくても力が流れ出てしまわなくなって本当に良かったです。
「はい。ここに魔力の坩堝がないなら長居する理由もありません」
協会長さんの言葉に、ヴォルは表情なく答えました。
元々私達の旅は魔力の坩堝を探す事が目的だったのです。精霊さんのお願いで教会の結界を壊してしまった以外は、この町に来る事もその為に障害となっていた魔物の討伐も想定内でした。
魔法石化現象によって町の機能が破綻してしまっていた事は予想の斜め上をいっていましたが。
「つれないのぉ、ツヴァイス殿は。せめて、この結界を修復していってはくれぬか?我々では、残った全員の魔力を併せても何日かかる事か。一瞬で壊した御主なら、結界を張る事も容易くはないかね?」
「分かりました。問題ありません」
そして協会長さんの要望に淡々と答えるヴォルです。
初めからこれが協会長さんの言いたい事だったのか、私達の行動を妨げるつもりはないようでした。
しかしながら、ヴォルの魔力残量は大丈夫なのでしょうか。
「ヴォル?」
「どうした、メル」
私は思わず袖を引いてしまいましたが、ヴォルは変わらず優しい瞳を向けてくれました。
そしてその瞳に私は自分が覚えた不安を告げる勇気をもらい、心に秘めるより声に出さなくてはならないと思い至ります。
「あの、魔力はもう……流れてしまってはいないのですか?」
「問題ない。それにこの結界はセントラルに比べて小さい。以前のものより強度を増した結界を張ったとしても、消費魔力は俺にとって知れたもの。心配するな」
そう言って頭を撫でられました。──いえ、質問に対する答えをはぐらかされたとも言います。
しかしながら、そうまで言われては私は何の異存もありませんでした。彼が大丈夫だと言うなら大丈夫なのでしょうし、結界を作り直してあげるのは壊してしまった責任でもあるのでしょう。
「分かりました。教会の結界の修復をお願いします」
私が頭を下げた事で、取り囲んでいた魔力協会職員の人達もヴォルに向けて深く頭を下げました。
突然の態度の変化にどうしたのかと驚きましたが、後ろでベンダーツさんは柔らかく笑っています。
「さっすが、メルだね。一瞬で俺達に向けられた警戒心を解かしたよ」
──はい?
私は思わず首を傾げますが、ベンダーツさんは変わらずにこやかな笑みを浮かべていました。
私はただヴォルにお願いしただけなので、ベンダーツさんの言う素敵効果はないと思います。
「では結界を張ります」
「あぁ、お願いするよ。セントラルの結界を張るツヴァイス殿が張ってくれるなら、これ以上安心出来るものはないからね」
穏やかな表情を見せる協会長さんは、周囲で不思議そうに見守る魔力協会職員の人へ頷きを返していました。
そしてこれが彼等への一番の安心だったのでしょう。途端に表情が和らぎました。
そうしてあっという間に結界を張り終えたヴォルは、私の心配をよそに全く体調も悪くなさそうで安心しました。
「あのさぁ、ヴォル。本当に魔力流出は止まったのか?俺達には分からないから、そこら辺をきちんと教えてもらえないと安心出来ないじゃないの」
ヴォルに訴え掛けるベンダーツさんは、やはり一番心配してくれているようです。
「あぁ、問題ない」
「その通りだよ、従者君。ツヴァイス殿は魔力値に余力があるから分かりにくいだろうが、我々のような凡人魔力所持者は多少の流出でも肉体に多大な負担を強いられるからね。それがこの度の魔法石化現象後徐々に和らぎ、今では通常通りの状態に落ち着いたという訳だ」
ヴォルの張ってくれた結界を見回しつつ、笑顔の協会長さんでした。
つまりは、他の魔力所持者の人達も負担がなくなったという事です。魔力がなくなれば生命力を削らなくてはならないというのですから、何もしなくても力が流れ出てしまわなくなって本当に良かったです。
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