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第九章
3.魔力の質は個性【4】
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そして空腹を訴えた私の主張が通り、朝食をしようかと思っていたのです。ところがそこへ、ヨルグト騎士団長さんからの呼び出しがありました。
食事を用意してくれたと言うのです。けれどもこんな早い時間から、アポなしで突然の馬車訪問はどうかと思いました。
「普通ならこの様なお誘いはお断りするのですが」
ベンダーツさんが冷たく告げます。
確かに安全の為には、見ず知らずの方の差し出す食事は避けた方が良いのかも知れませんでした。
ここには私が知らないだけで、ヴォルの事を知っている人がたくさんいるのです。
「申し訳ございません。ここは我々騎士が使用している屋敷なのです。食事の安全は私が保証いたします。市井の食事処などでツヴァイス様にお食事をさせる訳にも参りません」
「私としては市井の食事処の方が安心出来ます。ヴォルティ様の素性を知る者はおりませんので。それに今回は食事込みで会談をなさると言うから、仕方なく主に足を運んでいただいたのです。お考え違いのないように」
ピシャリと釘を刺すベンダーツさんでした。
騎士団の方々はヴォルの事を知っている筈ですので、スマクトブさんのような方も他にいらっしゃるかもしれません。
「も、申し訳ございませんでした。で、では食事の方は……」
「毒や薬の類いが入っていないとも限らない。俺には効かないが、メルにその様な危ない物は出せない。ベンダーツ、お前が作れ」
「かしこまりました」
ベンダーツさんはそう言われて、胸に手をあてて深く頭を下げます。そしてすぐに部屋を後にしました。
まさか、今からここで作るとは思わなかったので驚きです。確かに私はお腹が空いていましたし、既に目の前のたくさんのご馳走が並んでいるのを見た事で空腹が増しました。
「その様な事に気付かず、大変申し訳ございませんでした。すぐに下げさせます」
ヨルグト騎士団長さんがオタオタしています。
すみません、お気遣いを無下にしてしまいました。
その後、数人の騎士の方が食事を下げに呼ばれてやって来ます。あ、スマクトブさんもいました。
テーブルに並んだ美味しそうな食事達が引き上げられていくのを見送る私でしたが、体調が悪いのかスマクトブさんは青い顔をしています。
「……何だか顔色が悪いですね」
何気に私が小さく漏らした言葉に、ヴォルがこちらへ視線を向けました。
隣に座っているので、テーブル向かい側のヨルグト騎士団長さんには届いていないと思います。
「お前、それを食べてみろ」
そしてスマクトブさんに告げられたヴォルの言葉で、ガチャンと大きな音と共に食事が床に散らかりました。
スマクトブさんが持っていたお盆を落としたようです。
「も、申し訳ございません。すぐに片付けます」
慌てふためいた様子で、スマクトブさんは頭を下げました。
ヴォルが急に声をかけたから、驚いて落としてしまったようです。先程より一段とスマクトブさんの顔色が悪いように見えました。私が思うに彼は緊張し過ぎですけど、ヴォルの立場を知っている人ならば当たり前かもしれません。
そうしてその一連の流れを見ていたヨルグト騎士団長の顔色が凄く悪くなりました。勿論、団員の方が粗相をしてしまったのですから仕方ないです。
それなので、ヴォルはそれ以上怒ったらダメだと思ってしまいました。
食事を用意してくれたと言うのです。けれどもこんな早い時間から、アポなしで突然の馬車訪問はどうかと思いました。
「普通ならこの様なお誘いはお断りするのですが」
ベンダーツさんが冷たく告げます。
確かに安全の為には、見ず知らずの方の差し出す食事は避けた方が良いのかも知れませんでした。
ここには私が知らないだけで、ヴォルの事を知っている人がたくさんいるのです。
「申し訳ございません。ここは我々騎士が使用している屋敷なのです。食事の安全は私が保証いたします。市井の食事処などでツヴァイス様にお食事をさせる訳にも参りません」
「私としては市井の食事処の方が安心出来ます。ヴォルティ様の素性を知る者はおりませんので。それに今回は食事込みで会談をなさると言うから、仕方なく主に足を運んでいただいたのです。お考え違いのないように」
ピシャリと釘を刺すベンダーツさんでした。
騎士団の方々はヴォルの事を知っている筈ですので、スマクトブさんのような方も他にいらっしゃるかもしれません。
「も、申し訳ございませんでした。で、では食事の方は……」
「毒や薬の類いが入っていないとも限らない。俺には効かないが、メルにその様な危ない物は出せない。ベンダーツ、お前が作れ」
「かしこまりました」
ベンダーツさんはそう言われて、胸に手をあてて深く頭を下げます。そしてすぐに部屋を後にしました。
まさか、今からここで作るとは思わなかったので驚きです。確かに私はお腹が空いていましたし、既に目の前のたくさんのご馳走が並んでいるのを見た事で空腹が増しました。
「その様な事に気付かず、大変申し訳ございませんでした。すぐに下げさせます」
ヨルグト騎士団長さんがオタオタしています。
すみません、お気遣いを無下にしてしまいました。
その後、数人の騎士の方が食事を下げに呼ばれてやって来ます。あ、スマクトブさんもいました。
テーブルに並んだ美味しそうな食事達が引き上げられていくのを見送る私でしたが、体調が悪いのかスマクトブさんは青い顔をしています。
「……何だか顔色が悪いですね」
何気に私が小さく漏らした言葉に、ヴォルがこちらへ視線を向けました。
隣に座っているので、テーブル向かい側のヨルグト騎士団長さんには届いていないと思います。
「お前、それを食べてみろ」
そしてスマクトブさんに告げられたヴォルの言葉で、ガチャンと大きな音と共に食事が床に散らかりました。
スマクトブさんが持っていたお盆を落としたようです。
「も、申し訳ございません。すぐに片付けます」
慌てふためいた様子で、スマクトブさんは頭を下げました。
ヴォルが急に声をかけたから、驚いて落としてしまったようです。先程より一段とスマクトブさんの顔色が悪いように見えました。私が思うに彼は緊張し過ぎですけど、ヴォルの立場を知っている人ならば当たり前かもしれません。
そうしてその一連の流れを見ていたヨルグト騎士団長の顔色が凄く悪くなりました。勿論、団員の方が粗相をしてしまったのですから仕方ないです。
それなので、ヴォルはそれ以上怒ったらダメだと思ってしまいました。
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