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第九章
5.不安なら【2】
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ヴォルと私はベンダーツさんと別れ、ユースピアの外までゆっくりと歩いてきました。
──何故、町の外なのでしょうか。
でもこうして二人でのんびりと歩くのも、あまりない事からなのか、なかなか良いものに感じました。ヴォルと私とでは身長差が結構あるのですけど、さすがにこうして歩いていても親子には見えない筈です。
「どうした、メル」
「あ……、いえ……その……」
一人でニンマリとしていると、ヴォルから問い掛けられました。
しかしながら、改めて問われると素直に告げて良いものか戸惑います。そんな心境でヴォルの方を見ると、言い淀む私に対して不思議そうに小首を傾げていました。
「その……、ヴォルと私は……どの様に見えるのかと……思いまして……」
言葉にする自信のなさと不安が、当たり前のように私の声をフェードアウトさせます。最終的に、隣にいるヴォルに届かないかもしれない音量になってしまいました。
私達は年齢だけ言えば、そう大して違わないとは口に出来ます。でも見目の違いはおろか、この身長差でした。
「他者の感情は知りようがない。だが、俺はメルが必要だ。周囲の目が不安ならば、いつでも覆い隠してやろう」
はっきりと真顔で言い切るヴォルです。
覆い隠すだなんて──、魔法で可能なのでしょうか。でも、頼んだら本当にしてくれそうでした。
「だ、大丈夫です」
返された言葉に笑みを浮かべ、私は首を横に振ります。
あまりにもサラリと告げられましたが、戸惑いつつも私は隠してほしい訳ではないのだと気付きました。
こうして二人でいたいです。ずっとずっと、いつまでもヴォルの隣に並んでいたいと気付いたのでした。
──確かに、周囲の声や視線が全く気にならない訳ないのですけど。
「ヴォルとこうしていたいですから」
そして私は言葉を続けます。
でもさすがに照れを隠しきれなかったので、私は少しだけ俯きながら告げました。
いつまでも傍にいたいです。今はいつも支えられてばかりですけど、ヴォルを支えられる存在になりたいと思いました。
「そうか。俺もメルと共にありたい。今は少し邪魔が入るがな」
ふわりと頬にヴォルの手が触れます。
ですがらヴォルの言葉に感動したのも一瞬でした。
──邪魔が入るとは如何に。
何だか分からず小首を傾げた私でしたが、然り気無くヴォルの背後に回されます。
いったい何が──と目を白黒していると、ここで漸く周囲の異変に気付きました。
視界に入って初めて気付く鈍い私なのです。
「動くなよ、メル」
小声で告げられ、改めて自分達を取り囲む危険を認識しました。
思い切り知らない男の人達に取り囲まれています。
「はぁ~い、お二人さん。何だか、結構裕福な出身らしいねぇ」
その中の一人の男性が声を掛けてきました。
身なりは商人風ですが、腰に曲線を描く大振りの剣を下げています。体格も筋肉質で大きく、その日に焼けたのとは違う浅黒い肌は、普通の商人には見えませんでした。
「俺達さぁ、この町に来たばかりで少しばかり困ってるんだよねぇ」
「少しだけで良いから、俺達を助けてくれないかなぁ?」
その人に続けるように、別の男性がニヤニヤと笑みを浮かべながら言います。
服装はそれなりに良い物を着ているようですが、戦闘をする事を念頭に考えられているような皮鎧も纏っていました。──これ、賊です。
男の人達は全部で十人程でした。全員が同じ様な剣を下げていて、とてもお願いしている様には見えません。
そもそも抜き身の刃を曝している時点で、明らかな敵対行為でした。
──何故、町の外なのでしょうか。
でもこうして二人でのんびりと歩くのも、あまりない事からなのか、なかなか良いものに感じました。ヴォルと私とでは身長差が結構あるのですけど、さすがにこうして歩いていても親子には見えない筈です。
「どうした、メル」
「あ……、いえ……その……」
一人でニンマリとしていると、ヴォルから問い掛けられました。
しかしながら、改めて問われると素直に告げて良いものか戸惑います。そんな心境でヴォルの方を見ると、言い淀む私に対して不思議そうに小首を傾げていました。
「その……、ヴォルと私は……どの様に見えるのかと……思いまして……」
言葉にする自信のなさと不安が、当たり前のように私の声をフェードアウトさせます。最終的に、隣にいるヴォルに届かないかもしれない音量になってしまいました。
私達は年齢だけ言えば、そう大して違わないとは口に出来ます。でも見目の違いはおろか、この身長差でした。
「他者の感情は知りようがない。だが、俺はメルが必要だ。周囲の目が不安ならば、いつでも覆い隠してやろう」
はっきりと真顔で言い切るヴォルです。
覆い隠すだなんて──、魔法で可能なのでしょうか。でも、頼んだら本当にしてくれそうでした。
「だ、大丈夫です」
返された言葉に笑みを浮かべ、私は首を横に振ります。
あまりにもサラリと告げられましたが、戸惑いつつも私は隠してほしい訳ではないのだと気付きました。
こうして二人でいたいです。ずっとずっと、いつまでもヴォルの隣に並んでいたいと気付いたのでした。
──確かに、周囲の声や視線が全く気にならない訳ないのですけど。
「ヴォルとこうしていたいですから」
そして私は言葉を続けます。
でもさすがに照れを隠しきれなかったので、私は少しだけ俯きながら告げました。
いつまでも傍にいたいです。今はいつも支えられてばかりですけど、ヴォルを支えられる存在になりたいと思いました。
「そうか。俺もメルと共にありたい。今は少し邪魔が入るがな」
ふわりと頬にヴォルの手が触れます。
ですがらヴォルの言葉に感動したのも一瞬でした。
──邪魔が入るとは如何に。
何だか分からず小首を傾げた私でしたが、然り気無くヴォルの背後に回されます。
いったい何が──と目を白黒していると、ここで漸く周囲の異変に気付きました。
視界に入って初めて気付く鈍い私なのです。
「動くなよ、メル」
小声で告げられ、改めて自分達を取り囲む危険を認識しました。
思い切り知らない男の人達に取り囲まれています。
「はぁ~い、お二人さん。何だか、結構裕福な出身らしいねぇ」
その中の一人の男性が声を掛けてきました。
身なりは商人風ですが、腰に曲線を描く大振りの剣を下げています。体格も筋肉質で大きく、その日に焼けたのとは違う浅黒い肌は、普通の商人には見えませんでした。
「俺達さぁ、この町に来たばかりで少しばかり困ってるんだよねぇ」
「少しだけで良いから、俺達を助けてくれないかなぁ?」
その人に続けるように、別の男性がニヤニヤと笑みを浮かべながら言います。
服装はそれなりに良い物を着ているようですが、戦闘をする事を念頭に考えられているような皮鎧も纏っていました。──これ、賊です。
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