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第十章
3.安心する【2】
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「そうだな……。物資の補給もしたいし、たまにはベッドで休みたいだろ。マークはどうだ」
「ん、了解~。俺も異存はないよぉ」
御者台から声を掛けてきたヴォルに対し、ベンダーツさんも腕を上げてヒラヒラと手を動かしています。
瞳を閉じたままですが、眠る訳ではないようでした。
「メルも必要な物があるなら揃えておいた方が良い。この先は山越えになる」
「あ……はい、分かりました」
ヴォルから声を掛けられ、山越えと言う単語に記憶を呼び起こします。
以前は荒れた道をウマウマさんで進み、ヴォルが怪我をした事もありました。──あの時は大変でした、知らないながらも薬草を加工したりしましたし。
「あの……、馬車で行けるのでしょうか」
「問題ない。今回は街道を行く」
「獣道的な細い場所を行けば距離的には早いんだろうけどね。でもそっちは魔物がわんさと出るし、狭すぎて馬車では通れないんだよ。あ、そこら辺はちゃんと情報を集めてきたから大丈夫だよぉ」
ベンダーツさんからの追加情報です。
港町で単独行動をした際に得たらしいのですが、獣道側を通った経験者としてはもっと広く公開しておいてほしかった情報なのでした。
いえ──それでもヴォルは急いでいたので、山道を行ったかもしれないです。しかしながらもはや何を思っても、過去の事実でしかありませんでした。
「街道は頻繁に人が通るから、大概魔物は寄ってこないんだよ。頭が良いのか、人間相手でも大人数では不利だと分かるのかねぇ?」
感心したように告げるベンダーツさんです。
町と町を結ぶ道が常に魔物に襲われるようであれば、交易も発展しないので当然でした。その辺りは魔物避けがなされているのか、一般市民にはありがたい事です。
「良かったです。安心しました」
「そうか」
静かに告げたヴォルを見ると、先程より穏やかな表情をしていました。
私の不安がヴォルに移る訳ではないでしょうが、一緒にいる人達が心穏やかであるだけで幸せなのは皆同じではないでしょうか。
「皆が一緒だから、他に何の問題もないと思うけどねぇ」
事も無げに告げるベンダーツさんでした。
今回は戦闘要員増員につき、とても心強いです。ヴォルは一人でも強いですが、足を引っ張る私がいるので安心は出来ないのでした。
当然の如く私は戦闘で全く役に立ちませんが、彼はどの様な場面でもヴォルの補佐となる力を持っているのです。──私の役に立たなさを引き合いに出しては失礼ですよね。
「メルは一緒にいるだけで良い。それだけで……俺が安心する」
──ん?
小声で呟かれたそれに、思い切り振り向いてしまいました。
「ぅわ~、凄い事言ってるよ。そりゃ、言葉を尽くせとは言ったけどさ。聞いてるこっちが恥ずかしくなるなぁ」
いつの間にか起き上がっていたベンダーツさんです。
どうやらヴォルの衝撃的発言により、飛び起きたと言った方が正しいかも知れません。──えぇ、私も驚きましたし。
ヴォルは普段言葉少なにしか話してくれないのですが、突然この様な赤面してしまう事を平気で告げてくるのでした。
本当に予想外過ぎて──実は心臓に悪かったりするのです。今も赤面してしまっている私なのでした。
「ん、了解~。俺も異存はないよぉ」
御者台から声を掛けてきたヴォルに対し、ベンダーツさんも腕を上げてヒラヒラと手を動かしています。
瞳を閉じたままですが、眠る訳ではないようでした。
「メルも必要な物があるなら揃えておいた方が良い。この先は山越えになる」
「あ……はい、分かりました」
ヴォルから声を掛けられ、山越えと言う単語に記憶を呼び起こします。
以前は荒れた道をウマウマさんで進み、ヴォルが怪我をした事もありました。──あの時は大変でした、知らないながらも薬草を加工したりしましたし。
「あの……、馬車で行けるのでしょうか」
「問題ない。今回は街道を行く」
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ベンダーツさんからの追加情報です。
港町で単独行動をした際に得たらしいのですが、獣道側を通った経験者としてはもっと広く公開しておいてほしかった情報なのでした。
いえ──それでもヴォルは急いでいたので、山道を行ったかもしれないです。しかしながらもはや何を思っても、過去の事実でしかありませんでした。
「街道は頻繁に人が通るから、大概魔物は寄ってこないんだよ。頭が良いのか、人間相手でも大人数では不利だと分かるのかねぇ?」
感心したように告げるベンダーツさんです。
町と町を結ぶ道が常に魔物に襲われるようであれば、交易も発展しないので当然でした。その辺りは魔物避けがなされているのか、一般市民にはありがたい事です。
「良かったです。安心しました」
「そうか」
静かに告げたヴォルを見ると、先程より穏やかな表情をしていました。
私の不安がヴォルに移る訳ではないでしょうが、一緒にいる人達が心穏やかであるだけで幸せなのは皆同じではないでしょうか。
「皆が一緒だから、他に何の問題もないと思うけどねぇ」
事も無げに告げるベンダーツさんでした。
今回は戦闘要員増員につき、とても心強いです。ヴォルは一人でも強いですが、足を引っ張る私がいるので安心は出来ないのでした。
当然の如く私は戦闘で全く役に立ちませんが、彼はどの様な場面でもヴォルの補佐となる力を持っているのです。──私の役に立たなさを引き合いに出しては失礼ですよね。
「メルは一緒にいるだけで良い。それだけで……俺が安心する」
──ん?
小声で呟かれたそれに、思い切り振り向いてしまいました。
「ぅわ~、凄い事言ってるよ。そりゃ、言葉を尽くせとは言ったけどさ。聞いてるこっちが恥ずかしくなるなぁ」
いつの間にか起き上がっていたベンダーツさんです。
どうやらヴォルの衝撃的発言により、飛び起きたと言った方が正しいかも知れません。──えぇ、私も驚きましたし。
ヴォルは普段言葉少なにしか話してくれないのですが、突然この様な赤面してしまう事を平気で告げてくるのでした。
本当に予想外過ぎて──実は心臓に悪かったりするのです。今も赤面してしまっている私なのでした。
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