「結婚しよう」

まひる

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第二章

≪Ⅲ≫守り刀として【1】

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「嫌いではないが……」

 こうまでヴォルが言い淀むのは珍しいです。自己アピールは即却下ではなさそうです。

「何か嫌な事をされました?」

 もうそれしかないとばかりに、私は言葉を続けてみます。前に聞いた時には教えてもらえませんでしたが。すると大きく息を吐き、ヴォルは隣のベッドに腰を下ろしました。

「……女は苦手だ」

 こんな弱気なヴォルを見るのは初めてです。やはり何かあったのでしょう。しかも一度ではなく、聞く度にこのような態度になっていました。それでも詳しくは話したくなさそうです。

「私は大丈夫なのですか?……私も女ですけど」

 とりあえず聞いてみます。以前聞いた時には、私は嫌いではないとの事でした。ヴォルは女性恐怖症と言う訳ではないでしょうが、苦手なのに一緒にいるのは苦痛以外の何物でもないと思ったからです。

「メルは大丈夫だ。こうして触れても」

 突然頬を触られ、私の方が驚いてしまいました。心臓がドキッとして、目を見開いてしまいます。

「すまない。驚かせた」

 その私の反応に、すぐ手を引き戻すヴォル。いえ、ヴォルに触られるのは嫌ではありません。でも、初めてヴォルの内側に少しだけ触れた気がしました。あまり自分の事を話してくれないので、私はヴォルの事を知らないままなのです。

「いえ……」

 私はそれだけしか答える事が出来ませんでした。心なしか顔が熱いです。えっと、ヴォルは女性が苦手で……私は大丈夫という事ですね。あ、前にも言われていましたよね。触れる事すらいとわないと、それは分かりました。何となく、安心しました。……あれ?

「も、もしかして……ヴォルの中では私、女性に含まれていませんか?」

「何故だ」

「だって女性が苦手で……、私は平気って言われましたから……」

「こんなに小さくて柔らかい男は見た事がない」

 なっ!?この表現は語弊を招きかねません。私とヴォルは、全く不埒ふらちな関係じゃないですよっ!あまりの事に、私はお魚になったように口をパクパクとしてしまいました。

「メルは女だ。それは認識している」

 続けられた言葉に一先ひとまず我を取り戻しつつも、まだ私の心臓は壊れそうな程暴れています。

「そ、それなら良かったです」

 何とか動揺を抑えようと努力する私に、ヴォルはベッドに腰掛けたまま腕を伸ばしてきます。何でしょうか。

「寝る」

 はい?一緒にですか?私は部屋を見回しました。だってせっかく二つベッドがあるのですよ?何でワザワザ狭くなる方を選ぶのでしょうか。大きな部屋を借りたのは何の為なんですかっ。
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