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1543 私は私の力を証明するために貴様に勝つ
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な、なんだと!?お、音が消えた!この圧迫感、こ、これがリコ・ヴァリンの衝撃波なのか!
この女いったいどうやって習得した!?ありえん!こんなバカなァァァァァァァーーーーーーーーーーッツ!
眼前に迫る衝撃の波動を感じ取った時にはもう遅い。
ジャック・フレイジャーは躱す事も防ぐ事もできなかった。体を煙に変える技は、レイチェルが言い当てた通り、ジャックがその目で見て行っているものだ。だが体を煙に変える仕組みは魔道具によるものである。
その魔道具とは、気化の墨である。
その墨は長い年月をかけて全身に染みこませていく事で、効果を発揮する。
元々ジャックは色白だったが、幼少の頃より毎日頭から墨を染みこませたため、今では肌の色も黒く変色してしまった。だがそれだけ肌に馴染んだ墨のおかげで、今では自由自在に体を煙と変える事ができる。そしてその技で帝国での地位を高め、いまでは皇帝の腹心と呼ばれるまでになった。
この技が破られる事などない。
どんな攻撃でも躱せるし、どんな相手だろうと煙に触れる事などできない。
そう思っていた。
だがこの真空波は・・・・・
見えなければ躱しようがない。
煙になっても、どこに避ければいいのか分からない。
対処方が導き出せないジャックは、直撃をくらう事になる。
深紅の鎧から発せられている炎が消し飛び、鎧の胸部にビシッ!と大きな亀裂が走ったかと思うと、次の瞬間には砕け散った。そして剥き出しとなったジャックの胸が、まるで丸太にでも潰されたかのように横一線に抉れ、筋肉も肋骨も押し潰されたのだ。
「ガァッッッ!?」
こ、これは・・・・・ッ!
ジャック・フレイジャーの身を襲ったダメージは、これまで経験した事のない種類のものだった。
リコ・ヴァリンの真空波は、その名前から突風や大風など、風のようなものを漠然とイメージしていた。だが己の肉体が受けたものは、風とはまるで違うもっと別の凄まじいものだった。
強いて言えば、刃が潰れて斬る事のできない剣で、体を叩き潰されるようなものだろうか。
とても耐えきれない衝撃だった。喉の奥から込み上げて来る赤く鉄臭いものを吐き出し、ジャック・フレイジャーは成す術もなく、その身を空へと跳ね飛ばされた。
そして十数メートルも後方へ落下すると、そのまま両の手足を放り出すようにして倒れた。
「はぁっ!はぁっ!・・・ぐ、う、はぁ・・・はぁ・・・」
レイチェルは視線の先、濛々と上がる砂煙と倒れているジャックを見つめていた。
刺された上に炎で焼かれた左手の激痛は耐え難いものだったが、この状況で痛みにかまけている暇など無い。歯を喰いしばり目の前の戦いに意識を集中させた。
一撃必殺の真空波の破壊力は、レイチェルも身をもって経験している。防御は不可能と言っていい。
実際にジャックは深紅の鎧を砕かれたのだ。生身で耐えられるものではない。
だが・・・・・
「・・・ちっ、タフな野郎だ」
レイチェルは憎々し気に舌を打った。
濛々と立ち込める砂煙の中で、色黒の帝国戦士はゆっくりと上体を起こすと、膝に手を付きながら立ち上がった。
「だが、ダメージは大きいようだな?」
立ち上がったジャックの胸は、遠目でも分かるくらいに赤黒く染まり、不自然にへこんでいた。
そして口から吐き出した血によって、首から胸、腹にかけてべっとりと赤い色がついている。
立てた事が信じられない程のダメージだった。
生身で受ければ死んでいたはずだ。だが深紅の鎧、あれが真空波の威力を半減させたのだ。
火の精霊の加護を受けた深紅の鎧は、それ自体も高い防御力を誇るが、鎧から発せられる炎が何よりも厄介だった。
しかし真空波によって鎧の腰から上は砕け散った。炎で身を護る事はできなくなり、ジャックの防御力は大幅に減少した。仕留める事はできなかったが、大きなダメージを与える事には成功した。
「ゲホッ、ガハァッ!」
ジャックは口内に溜まった血を吐き出した。乾いた砂は一瞬で血を吸い込み、真っ赤に染まった。
これほどのダメージを受けた事は初めてだった。煙を習得して以降、苦戦らしい苦戦をした事はなかった。
・・・この俺が、ここまで・・・・・
まさかここまで追い詰められるとは思いもしなかった。
胸骨を砕かれたのだ。死んでいてもおかしくない。本来立つ事などできるはずもない。
だがジャックの戦士としての執念、皇帝の腹心としての誇りが、ジャックを立ち上がらせた。
「・・・ゆ、許さん・・・・・」
ジャック・フレイジャーは、爪が皮膚を破り血が滴り落ちる程強く、両の拳を握り締めた。
ゆっくりと顔を上げる。赤毛の女戦士を睨みつけるその目には、憎悪と怒りの炎が燃え上がっていた。
だがそれは、己の肉体を破壊された事への怒りではない。
自分は皇帝の腹心だ。皇帝の腹心である自分が倒れる事は、皇帝の威信に関わる事だ。自分を認め引き上げてくれた皇帝の顔に泥を塗る行為だ。ジャックはそれがなによりも許せなかった。
怒りはジャックの感情が激しく高ぶらせた。そして負の感情は、火の精霊が好むところである。
怒り、憎しみ、争いの火種が生まれるところに、火の精霊は集まる。
砕け散った深紅の鎧に残っていた火の精霊が、激昂するジャックに引き寄せられるようにその姿を現した。
「なにっ!?」
レイチェルは目を見開いた。
瀕死だったはずの色黒の帝国戦士の、気力が高まっていくのである。
そしてその周囲には大小様々な大きさの、真っ赤に燃える火の玉が浮かび出したのだ。
「あれは・・・火の精霊、吸収?いや、まさか同化しているのか!?」
火の玉はジャックの体に吸い込まれていく。
それは一見すると吸収されているように見えるが・・・違う。一つ、また一つと火の玉がジャックの体に入るたびに、ジャックの体から発せられる気が大きく膨れ上がり、深紅の鎧を着用していないのに、その体からは炎が立ち上りだした。
その姿にレイチェルは、明確な意思を感じた。火の精霊はこの戦いを楽しんでいる。しかしジャック・フレイジャーが、ここまで追い詰められた事は予想外だったのだろう。
何としてもジャック・フレイジャーを勝たせるために、その力を惜しみなく与えようとしているのだ。
「・・・レイチェル・エリオット、貴様は生かしておけん・・・今ここで消し炭にしてやる!」
怒気を孕んだ声で呟いた。
この赤毛の女戦士は危険だ。この女の牙は皇帝にも届きうるかもしれん。
ここで確実に息の根を止めねばならん!
ジャック・フレイジャーが両手を頭上に掲げると、全身から発せられる炎がぐるぐると渦を巻いて集約されていった。荒ぶる炎の塊は、砂漠さえも焼き滅ぼす程の恐ろしい熱量を発していた。
「くそっ、こいつは・・・!」
あの熱量、まずい!とんでもない炎だ、ここら一帯が火の海になるぞ!
火の精霊め、ここは貴様の生きる地だろう!私一人を倒すために、帝国兵達も巻き込むというのか!?
このままではクインズベリー兵も大勢焼かれる、まずい、あれは撃たせちゃダメだ!
私は震える右手に持つガラスのナイフを、無理やり握り締めた。
真空波は一撃必殺の強大な技だが、体への影響が大きい。一発撃っただけで右手がこれだ。
もう一発撃てるか?
いや、真空波でさえ対抗できるか分からない。あれは火の精霊の力を集約した火の玉だ。
私の、人間の力でなんとかできるものなのか?いや、弱気になるな、自分の力を信じろ!
「はぁ・・・ふぅ・・・・・・」
ゆっくりと呼吸を整えながら、腰を落として両足を広げる。
背中が見えるくらいに腰を右に捻り、逆手に握ったガラスのナイフに闘気を集中させる。
強く・・・もっと強く・・・・体を駆け巡る力の流れ、その一筋一筋を感じ取るんだ。
「・・・貴様・・・その構え、まさか真空波で火の精霊とやるつもりか?なめるな!この炎は火の精霊そのものだぞ!深紅の鎧を破壊して調子に乗ったか!?人の技で適うわけがない!無駄なあがきだ!」
大口を開けてジャックは声を張り上げた。
小規模の太陽とさえ思わせる程の、燃え盛る炎の玉がジャックの頭上で轟々と唸りを上げている。
確かに真空波は強力な技だ。絶対的な破壊力を持っている。だが、精霊の力とぶつかって勝てるかと言えば、そこは疑問符がつくだろう。
すでに帝国軍もクインズベリー軍も剣を下ろし、この二人の戦いを注視していた。
ジャックが腕を振り下ろせば、自分達もあの炎に焼かれるのだ。目の前の敵に集中しなければならないのだろうが、とても無理な話しである。敵味方問わず、誰もがこの戦いに目を向けざるをえなかった。
「フン、寡黙な男かと思ったら、案外よく吠えるんだな?やれば分かる事だろ?ぐだぐだ言ってないで来いよ?撃ち落としてやるさ」
これが最後だ・・・・・
気力を振り絞れ、私ならできる!
今日までどれだけの修行を積んで来たか思い出せ。
店長のために戦ってきた、仲間のために戦ってきた、それは今も変わらない。
だが、人の技で適うわけがない?無駄なあがきだと?
なめているのはお前だ、ジャック・フレイジャー!
私は負けない!私は私の力を証明するために貴様に勝つ!
「火の精霊よ!帝国の敵を焼き滅ぼせぇぇぇぇぇーーーーーーーッツ!」
ジャック・フレイジャーが叫んだ!
頭上に掲げていた両腕を、レイチェルに向かって勢いよく振り下ろす!
焼けた砂から立ち昇る熱気、焼けた熱い空気は一呼吸するだけも、肺に痛みを感じさせる。指の先でも触れてしまえば、一瞬にしてその身を消し炭にされてしまうだろう。小規模の太陽とさえ思わせる巨大な炎の塊が撃ち放たれた!
「勝負だジャック・フレイジャーッ!」
真向から迎え撃つ!全身全霊の一太刀!
力、闘気、持てる全てを込めたガラスのナイフを振り抜いた!
真空波 対 精霊の炎
己の全てを一撃に込めた赤毛の女戦士レイチェル
皇帝への忠義に命を懸けた帝国の戦士ジャック
両者の戦いに決着の時が訪れた
この女いったいどうやって習得した!?ありえん!こんなバカなァァァァァァァーーーーーーーーーーッツ!
眼前に迫る衝撃の波動を感じ取った時にはもう遅い。
ジャック・フレイジャーは躱す事も防ぐ事もできなかった。体を煙に変える技は、レイチェルが言い当てた通り、ジャックがその目で見て行っているものだ。だが体を煙に変える仕組みは魔道具によるものである。
その魔道具とは、気化の墨である。
その墨は長い年月をかけて全身に染みこませていく事で、効果を発揮する。
元々ジャックは色白だったが、幼少の頃より毎日頭から墨を染みこませたため、今では肌の色も黒く変色してしまった。だがそれだけ肌に馴染んだ墨のおかげで、今では自由自在に体を煙と変える事ができる。そしてその技で帝国での地位を高め、いまでは皇帝の腹心と呼ばれるまでになった。
この技が破られる事などない。
どんな攻撃でも躱せるし、どんな相手だろうと煙に触れる事などできない。
そう思っていた。
だがこの真空波は・・・・・
見えなければ躱しようがない。
煙になっても、どこに避ければいいのか分からない。
対処方が導き出せないジャックは、直撃をくらう事になる。
深紅の鎧から発せられている炎が消し飛び、鎧の胸部にビシッ!と大きな亀裂が走ったかと思うと、次の瞬間には砕け散った。そして剥き出しとなったジャックの胸が、まるで丸太にでも潰されたかのように横一線に抉れ、筋肉も肋骨も押し潰されたのだ。
「ガァッッッ!?」
こ、これは・・・・・ッ!
ジャック・フレイジャーの身を襲ったダメージは、これまで経験した事のない種類のものだった。
リコ・ヴァリンの真空波は、その名前から突風や大風など、風のようなものを漠然とイメージしていた。だが己の肉体が受けたものは、風とはまるで違うもっと別の凄まじいものだった。
強いて言えば、刃が潰れて斬る事のできない剣で、体を叩き潰されるようなものだろうか。
とても耐えきれない衝撃だった。喉の奥から込み上げて来る赤く鉄臭いものを吐き出し、ジャック・フレイジャーは成す術もなく、その身を空へと跳ね飛ばされた。
そして十数メートルも後方へ落下すると、そのまま両の手足を放り出すようにして倒れた。
「はぁっ!はぁっ!・・・ぐ、う、はぁ・・・はぁ・・・」
レイチェルは視線の先、濛々と上がる砂煙と倒れているジャックを見つめていた。
刺された上に炎で焼かれた左手の激痛は耐え難いものだったが、この状況で痛みにかまけている暇など無い。歯を喰いしばり目の前の戦いに意識を集中させた。
一撃必殺の真空波の破壊力は、レイチェルも身をもって経験している。防御は不可能と言っていい。
実際にジャックは深紅の鎧を砕かれたのだ。生身で耐えられるものではない。
だが・・・・・
「・・・ちっ、タフな野郎だ」
レイチェルは憎々し気に舌を打った。
濛々と立ち込める砂煙の中で、色黒の帝国戦士はゆっくりと上体を起こすと、膝に手を付きながら立ち上がった。
「だが、ダメージは大きいようだな?」
立ち上がったジャックの胸は、遠目でも分かるくらいに赤黒く染まり、不自然にへこんでいた。
そして口から吐き出した血によって、首から胸、腹にかけてべっとりと赤い色がついている。
立てた事が信じられない程のダメージだった。
生身で受ければ死んでいたはずだ。だが深紅の鎧、あれが真空波の威力を半減させたのだ。
火の精霊の加護を受けた深紅の鎧は、それ自体も高い防御力を誇るが、鎧から発せられる炎が何よりも厄介だった。
しかし真空波によって鎧の腰から上は砕け散った。炎で身を護る事はできなくなり、ジャックの防御力は大幅に減少した。仕留める事はできなかったが、大きなダメージを与える事には成功した。
「ゲホッ、ガハァッ!」
ジャックは口内に溜まった血を吐き出した。乾いた砂は一瞬で血を吸い込み、真っ赤に染まった。
これほどのダメージを受けた事は初めてだった。煙を習得して以降、苦戦らしい苦戦をした事はなかった。
・・・この俺が、ここまで・・・・・
まさかここまで追い詰められるとは思いもしなかった。
胸骨を砕かれたのだ。死んでいてもおかしくない。本来立つ事などできるはずもない。
だがジャックの戦士としての執念、皇帝の腹心としての誇りが、ジャックを立ち上がらせた。
「・・・ゆ、許さん・・・・・」
ジャック・フレイジャーは、爪が皮膚を破り血が滴り落ちる程強く、両の拳を握り締めた。
ゆっくりと顔を上げる。赤毛の女戦士を睨みつけるその目には、憎悪と怒りの炎が燃え上がっていた。
だがそれは、己の肉体を破壊された事への怒りではない。
自分は皇帝の腹心だ。皇帝の腹心である自分が倒れる事は、皇帝の威信に関わる事だ。自分を認め引き上げてくれた皇帝の顔に泥を塗る行為だ。ジャックはそれがなによりも許せなかった。
怒りはジャックの感情が激しく高ぶらせた。そして負の感情は、火の精霊が好むところである。
怒り、憎しみ、争いの火種が生まれるところに、火の精霊は集まる。
砕け散った深紅の鎧に残っていた火の精霊が、激昂するジャックに引き寄せられるようにその姿を現した。
「なにっ!?」
レイチェルは目を見開いた。
瀕死だったはずの色黒の帝国戦士の、気力が高まっていくのである。
そしてその周囲には大小様々な大きさの、真っ赤に燃える火の玉が浮かび出したのだ。
「あれは・・・火の精霊、吸収?いや、まさか同化しているのか!?」
火の玉はジャックの体に吸い込まれていく。
それは一見すると吸収されているように見えるが・・・違う。一つ、また一つと火の玉がジャックの体に入るたびに、ジャックの体から発せられる気が大きく膨れ上がり、深紅の鎧を着用していないのに、その体からは炎が立ち上りだした。
その姿にレイチェルは、明確な意思を感じた。火の精霊はこの戦いを楽しんでいる。しかしジャック・フレイジャーが、ここまで追い詰められた事は予想外だったのだろう。
何としてもジャック・フレイジャーを勝たせるために、その力を惜しみなく与えようとしているのだ。
「・・・レイチェル・エリオット、貴様は生かしておけん・・・今ここで消し炭にしてやる!」
怒気を孕んだ声で呟いた。
この赤毛の女戦士は危険だ。この女の牙は皇帝にも届きうるかもしれん。
ここで確実に息の根を止めねばならん!
ジャック・フレイジャーが両手を頭上に掲げると、全身から発せられる炎がぐるぐると渦を巻いて集約されていった。荒ぶる炎の塊は、砂漠さえも焼き滅ぼす程の恐ろしい熱量を発していた。
「くそっ、こいつは・・・!」
あの熱量、まずい!とんでもない炎だ、ここら一帯が火の海になるぞ!
火の精霊め、ここは貴様の生きる地だろう!私一人を倒すために、帝国兵達も巻き込むというのか!?
このままではクインズベリー兵も大勢焼かれる、まずい、あれは撃たせちゃダメだ!
私は震える右手に持つガラスのナイフを、無理やり握り締めた。
真空波は一撃必殺の強大な技だが、体への影響が大きい。一発撃っただけで右手がこれだ。
もう一発撃てるか?
いや、真空波でさえ対抗できるか分からない。あれは火の精霊の力を集約した火の玉だ。
私の、人間の力でなんとかできるものなのか?いや、弱気になるな、自分の力を信じろ!
「はぁ・・・ふぅ・・・・・・」
ゆっくりと呼吸を整えながら、腰を落として両足を広げる。
背中が見えるくらいに腰を右に捻り、逆手に握ったガラスのナイフに闘気を集中させる。
強く・・・もっと強く・・・・体を駆け巡る力の流れ、その一筋一筋を感じ取るんだ。
「・・・貴様・・・その構え、まさか真空波で火の精霊とやるつもりか?なめるな!この炎は火の精霊そのものだぞ!深紅の鎧を破壊して調子に乗ったか!?人の技で適うわけがない!無駄なあがきだ!」
大口を開けてジャックは声を張り上げた。
小規模の太陽とさえ思わせる程の、燃え盛る炎の玉がジャックの頭上で轟々と唸りを上げている。
確かに真空波は強力な技だ。絶対的な破壊力を持っている。だが、精霊の力とぶつかって勝てるかと言えば、そこは疑問符がつくだろう。
すでに帝国軍もクインズベリー軍も剣を下ろし、この二人の戦いを注視していた。
ジャックが腕を振り下ろせば、自分達もあの炎に焼かれるのだ。目の前の敵に集中しなければならないのだろうが、とても無理な話しである。敵味方問わず、誰もがこの戦いに目を向けざるをえなかった。
「フン、寡黙な男かと思ったら、案外よく吠えるんだな?やれば分かる事だろ?ぐだぐだ言ってないで来いよ?撃ち落としてやるさ」
これが最後だ・・・・・
気力を振り絞れ、私ならできる!
今日までどれだけの修行を積んで来たか思い出せ。
店長のために戦ってきた、仲間のために戦ってきた、それは今も変わらない。
だが、人の技で適うわけがない?無駄なあがきだと?
なめているのはお前だ、ジャック・フレイジャー!
私は負けない!私は私の力を証明するために貴様に勝つ!
「火の精霊よ!帝国の敵を焼き滅ぼせぇぇぇぇぇーーーーーーーッツ!」
ジャック・フレイジャーが叫んだ!
頭上に掲げていた両腕を、レイチェルに向かって勢いよく振り下ろす!
焼けた砂から立ち昇る熱気、焼けた熱い空気は一呼吸するだけも、肺に痛みを感じさせる。指の先でも触れてしまえば、一瞬にしてその身を消し炭にされてしまうだろう。小規模の太陽とさえ思わせる巨大な炎の塊が撃ち放たれた!
「勝負だジャック・フレイジャーッ!」
真向から迎え撃つ!全身全霊の一太刀!
力、闘気、持てる全てを込めたガラスのナイフを振り抜いた!
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