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「おう、アラやんお帰り・・・ん?なんか変わったか?」
店に戻ると、ジャレットさんが俺の顔を見て、訝しげに目を細めた。
「いや・・・なにも変わってないですよ」
そう言って後ろを向くと、カチュアが小さく手を振って、白魔法コーナーに戻って行った。
午後1時、昼食を終えた人がそのまま店に寄る事が多く、忙しくなる時間帯だった。
今日も所狭しと人が入っており、店内は活気で溢れていた。
俺が出ている間に、防具の査定も入ったようで、
カウンターには鉄の兜と、指ぬきの革の手袋が置いてある。
「それより、買い取り入ったんですね?査定もう終わったんですか?」
「ん、あぁこれか、鉄兜は今終わったとこだ。左右の角が真ん中辺りで折れてるけど、それ以外は目立った傷は無い。でも、角が折れたままかぶるのは、カッコわりぃだろ?
だからそこは根元から加工して、違和感無いデザインに仕上げる必要がある。その辺の手間暇を考えて、3,000イエンだな。元は20,000イエンはするだろうけど、これ以上は出せないな。まぁ売ってくれるだろ。この角が原因で売りに来たんだろうからな」
ジャレットさんは兜を見せながら、どこを見なければならないかを細かく話してくれた。
やはり仕事は丁寧だ。これで変なあだ名を付ける癖と、自分の趣味を押し付ける事さえなければ、
理想の上司NO.1だろう。
「アラやん、革の手袋はアラやんが査定してみ?そろそろセカンドステージ行こうぜ」
そう言って、ジャレットさんはイスから立ち場所を開けると、今まで自分が座っていたイスに、
座るよう促した。
「え?いいんですか?」
「あぁ、このニか月でアラやんも、防具の基礎は分かってきたんじゃね?この兜と小手、同じ人なんだけど、4時頃来るって言ってたから時間あんだよ。
俺もメシ食ってくるから、それまで値段出しといてな。理由も聞くからちゃんと見んだぞ」
そう言って、ジャレットさんはコーナーを出て行った。
一人で査定か・・・イスに座り、手袋を手に取る。この店で、自分一人で査定するのは初めてだった。なんだか感慨深くなり、ウイニングで働いていた時の事を思い出す。
土日祝日は特に忙しかった。
家族連れで、玩具、ゲーム、古着を売りに来る事が多く、査定場所はいつも山のように積まれていた。
【坂木!なんとかしろよ!なんで皆古着ばっか持ってくんだよ~、もう私疲れたから、代わりにやっといて!】
「・・・弥生さん、土日はいっつも文句言って、俺に押し付けてたっけな」
「ヤヨイって、誰かな?」
つい一人言を漏らすと、目の前にベージュのランチバスケットが置かれた。
顔を上げると、シルヴィアさんが立っていた。
肩の下まであるウェーブがかった髪を耳にかけ、小首をかしげている。
「あぁ、俺の故郷の人です。仕事の先輩で、ちょっと思い出して」
「そうなんだ・・・アラタ君、やっぱり元の世界に帰りたいの?」
「ん~、そうですね・・・やっぱり帰りたい気持ちはありますよ。でも、ここでの生活も気に入ってるんです。だから、今はこの店で頑張ろうって決めてます」
「アラタ君・・・なんだか変わったわね?なにかあったの?」
シルヴィアさんが、俺の顔をじっと見てくる。
「な、なんもないっスよ」
ジャレットさんと言い、シルヴィアさんと言い、なんでこう鋭い人が多いんだ?
確かに心境の変化はあった。
だが、カチュアの前で故郷を思い出して泣いて、溜め込んでた事全部聞いてもらって、慰められて吹っ切れた。なんて言える訳が無い。
「そう?じゃあ、カチュアに聞いてみるわね。あの子なら何か知ってそうだし」
「えぇぇッツ!?な、なんでそうなんですか!?シルヴィアさん勘弁してくださいよ!」
踵を返し、白魔法コーナーに歩いて行くシルヴィアさんを必死に引き留める。
「フフ、冗談よ冗談、誰にでも秘密はあるわ。無理には聞かないわよ。これ、お腹空いたら食べてね。明日の朝食でも大丈夫だから」
そう言って、俺にランチバスケットを手渡すと、シルヴィアさんは自分の黒魔法コーナ-へ戻って行った。
フタを開けてみると、チョコクロワッサンと、チーズを練りこんだパンが入っていた。
「・・・相変わらずうまそうだな。しかし、なんであの人はあんな鋭いんだ・・・」
俺はどっと疲れを感じ、体を投げ出すようにイスに腰を下ろした。
手袋は使われた形跡が無いように見える。
新品同様と言っていいだろう。という事は、売りに来た理由も経験上、だいたい想像がつく。
サイズが合わなくて返品も出来なかったから。
なんとなく買って、使わずにしまっておいた物。
多分、この辺の理由だろう。
ゲームソフトやフィギュアだと、新品未使用だと価値が高いから、開封せず取っておく人もいるが、
この世界でもそういう物はあったりするのだろうか?
「ジャレットさんの話だと、この世界には合皮は無いみたいだからな。皮は全て本革だろ。
そんで、防具には求められるのは、見た目より、耐久性と使いやすさ。その辺りを見て査定しなきゃならないわけだ」
指ぬき手袋は、指の第二関節から出るようになっている。
長さは手首が隠れる程度で、甲に鉄の補強も入っていた。これなら剣は無理でも、棒での打撃くらいなら防げるかもしれない。いくら位の物だろう?
店で売っている手袋と比較したり、もし自分がこれを使うとしたらを考えて、値段を出してみた。
店に戻ると、ジャレットさんが俺の顔を見て、訝しげに目を細めた。
「いや・・・なにも変わってないですよ」
そう言って後ろを向くと、カチュアが小さく手を振って、白魔法コーナーに戻って行った。
午後1時、昼食を終えた人がそのまま店に寄る事が多く、忙しくなる時間帯だった。
今日も所狭しと人が入っており、店内は活気で溢れていた。
俺が出ている間に、防具の査定も入ったようで、
カウンターには鉄の兜と、指ぬきの革の手袋が置いてある。
「それより、買い取り入ったんですね?査定もう終わったんですか?」
「ん、あぁこれか、鉄兜は今終わったとこだ。左右の角が真ん中辺りで折れてるけど、それ以外は目立った傷は無い。でも、角が折れたままかぶるのは、カッコわりぃだろ?
だからそこは根元から加工して、違和感無いデザインに仕上げる必要がある。その辺の手間暇を考えて、3,000イエンだな。元は20,000イエンはするだろうけど、これ以上は出せないな。まぁ売ってくれるだろ。この角が原因で売りに来たんだろうからな」
ジャレットさんは兜を見せながら、どこを見なければならないかを細かく話してくれた。
やはり仕事は丁寧だ。これで変なあだ名を付ける癖と、自分の趣味を押し付ける事さえなければ、
理想の上司NO.1だろう。
「アラやん、革の手袋はアラやんが査定してみ?そろそろセカンドステージ行こうぜ」
そう言って、ジャレットさんはイスから立ち場所を開けると、今まで自分が座っていたイスに、
座るよう促した。
「え?いいんですか?」
「あぁ、このニか月でアラやんも、防具の基礎は分かってきたんじゃね?この兜と小手、同じ人なんだけど、4時頃来るって言ってたから時間あんだよ。
俺もメシ食ってくるから、それまで値段出しといてな。理由も聞くからちゃんと見んだぞ」
そう言って、ジャレットさんはコーナーを出て行った。
一人で査定か・・・イスに座り、手袋を手に取る。この店で、自分一人で査定するのは初めてだった。なんだか感慨深くなり、ウイニングで働いていた時の事を思い出す。
土日祝日は特に忙しかった。
家族連れで、玩具、ゲーム、古着を売りに来る事が多く、査定場所はいつも山のように積まれていた。
【坂木!なんとかしろよ!なんで皆古着ばっか持ってくんだよ~、もう私疲れたから、代わりにやっといて!】
「・・・弥生さん、土日はいっつも文句言って、俺に押し付けてたっけな」
「ヤヨイって、誰かな?」
つい一人言を漏らすと、目の前にベージュのランチバスケットが置かれた。
顔を上げると、シルヴィアさんが立っていた。
肩の下まであるウェーブがかった髪を耳にかけ、小首をかしげている。
「あぁ、俺の故郷の人です。仕事の先輩で、ちょっと思い出して」
「そうなんだ・・・アラタ君、やっぱり元の世界に帰りたいの?」
「ん~、そうですね・・・やっぱり帰りたい気持ちはありますよ。でも、ここでの生活も気に入ってるんです。だから、今はこの店で頑張ろうって決めてます」
「アラタ君・・・なんだか変わったわね?なにかあったの?」
シルヴィアさんが、俺の顔をじっと見てくる。
「な、なんもないっスよ」
ジャレットさんと言い、シルヴィアさんと言い、なんでこう鋭い人が多いんだ?
確かに心境の変化はあった。
だが、カチュアの前で故郷を思い出して泣いて、溜め込んでた事全部聞いてもらって、慰められて吹っ切れた。なんて言える訳が無い。
「そう?じゃあ、カチュアに聞いてみるわね。あの子なら何か知ってそうだし」
「えぇぇッツ!?な、なんでそうなんですか!?シルヴィアさん勘弁してくださいよ!」
踵を返し、白魔法コーナーに歩いて行くシルヴィアさんを必死に引き留める。
「フフ、冗談よ冗談、誰にでも秘密はあるわ。無理には聞かないわよ。これ、お腹空いたら食べてね。明日の朝食でも大丈夫だから」
そう言って、俺にランチバスケットを手渡すと、シルヴィアさんは自分の黒魔法コーナ-へ戻って行った。
フタを開けてみると、チョコクロワッサンと、チーズを練りこんだパンが入っていた。
「・・・相変わらずうまそうだな。しかし、なんであの人はあんな鋭いんだ・・・」
俺はどっと疲れを感じ、体を投げ出すようにイスに腰を下ろした。
手袋は使われた形跡が無いように見える。
新品同様と言っていいだろう。という事は、売りに来た理由も経験上、だいたい想像がつく。
サイズが合わなくて返品も出来なかったから。
なんとなく買って、使わずにしまっておいた物。
多分、この辺の理由だろう。
ゲームソフトやフィギュアだと、新品未使用だと価値が高いから、開封せず取っておく人もいるが、
この世界でもそういう物はあったりするのだろうか?
「ジャレットさんの話だと、この世界には合皮は無いみたいだからな。皮は全て本革だろ。
そんで、防具には求められるのは、見た目より、耐久性と使いやすさ。その辺りを見て査定しなきゃならないわけだ」
指ぬき手袋は、指の第二関節から出るようになっている。
長さは手首が隠れる程度で、甲に鉄の補強も入っていた。これなら剣は無理でも、棒での打撃くらいなら防げるかもしれない。いくら位の物だろう?
店で売っている手袋と比較したり、もし自分がこれを使うとしたらを考えて、値段を出してみた。
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