異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎

文字の大きさ
71 / 1,560

71 光の拳 対 マルゴン

しおりを挟む
レイチェルの攻撃は一瞬も止まる事なく続いた。

「ぐぅぅっ!こ、これほどとは!」

頭を肘で打ち付けられ、腹に膝を打ち込まれ、腿を蹴り飛ばされる。

両腕を上げ、ナイフだけは、顔と首の急所には食らわないよう防いでいるが、全身に絶え間ない怒涛の攻撃を受けつづけ、マルコスは確実に削られていった。

右のナイフをかわしたと思えば、目の前に左のナイフが迫り、それも防げば脇腹を蹴り飛ばされる。体勢を立て直す暇も無い。レイチェルの攻撃は一瞬の息をつく間も無く、無限とも思える連続性でマルコスを圧倒していた。

トップスピードを維持したままの連続攻撃。これがレイチェルの技の正体だった。
左右のナイフに加え、肘、膝、両の足を多様に使用する、全身凶器そのものだった。

そしてもう一つ、受けきれない技があった。

「ぐっ!」

レイチェルの右のナイフを、右のアームガードで受けたが、次の瞬間、寸分違わぬ位置に左のナイフが振るわれる。マルコスのアームガードは真っ二つに斬り裂かれ、その腕にも切っ先が達していた。

一撃目は防がれて構わない。少しでも傷を付ける事が狙いである。

一撃目で僅かでも傷をつければ、二撃目はその傷に引っ掛け固定した状態になり、より力を入れやすくなり両断する。

いかなる物でも斬り裂くこの技は、マルコスですら捉えきれないスピードを持ち、左右の攻撃を寸分違わぬ位置に当てる事ができるレイチェルにしかできない、唯一無二の技だった。


連双斬れんそうざん


【レイチェル、魔法使いの俺には無理だが、キミなら使いこなせるはずだ】


バリオス店長・・・あなたに教えてもらったこの技で私は勝つ!



急所への必殺の一撃、それさえ食らわなけばいい。
マルコスの考えた対応策はそれだけだった。

レイチェルの動きは捉えきれない。全てを防ぐ事は不可能。

ならばナイフ以外の打撃は全て受けて構わない。
マルコスは全神経を集中し、レイチェルの左右のナイフだけを追った。

トップスピードをこれだけの時間維持し、これほどの連撃を続ける事は称賛に値する。

だが、永遠には続かない。
ナイフ以外の打撃は全て受け切ってやる。

お前の体力が尽きるまでに、打撃だけで俺を倒せるかどうか我慢比べだ!





そう、レイチェルの限界は近づきつつあった・・・

マルコスはこの連続攻撃が始まると、早い段階で反撃に見切りをつけ、ナイフ攻撃にのみ注意を払い、防御に徹するようになった。
そのため、マルコスの体力を削る事はできても、致命的な一撃は入れる事ができていない。

時間と共にレイチェルの体力は落ちてきている。




レイチェルの体力が尽きるまで耐える事を選んだマルコス


力の全てをこの技にかけたレイチェル



・・・・・決着の時が来た


何百、何千という攻撃を続け、唯一マルコスが見せた隙

レイチェルの蹴りで左腕のガードが開き、胸部ががら空きになった

胸部を覆うボディアーマーに、今のレイチェルのスピードならば、連双斬を入れる事ができる

罠だ・・・レイチェルは、これはマルコスの誘い、罠だと見抜いた
自分の蹴りで、マルコスのガードを弾く事はできない・・・あからさまな誘いだった


だが・・・


「ウアァァァァッツ!」

レイチェルは飛び込んだ。心臓部目掛けて右の一撃目を振り抜いた

そのまま左の二撃目を入れて決着・・・



だが、二撃目は振り抜く事はできなかった

左のナイフはマルコスのボディアーマーに突き刺ささり、肉まで達したナイフからは血も流れてきている

だが、マルコスの右手が、レイチェルの左手首をがっしりと掴み、それ以上動かす事を許さなかった。

「はぁ・・・はぁ・・・レイチェル・・・エリオット・・・ギリギリだが、捕まえたぞ」
汗と血にまみれ、マルコスは口の端を持ち上げた。



ここまでか・・・
レイチェルは静かに目を閉じた・・・

レイチェルは体力の限界だった・・・誘いと分かっていながらも、ここで決めるしか、それに懸けるしか勝機が残っていなかった。

「さらばだ・・・俺はお前の事を決して忘れないだろう」

マルコスの左のナイフがレイチェルの喉元目掛け振るわれた。


さよなら・・・みんな・・・


死を覚悟した・・・だが、何かが自分の前に立つ気配を感じ、レイチェルは目を開けた




「・・・アラタ」

「レイチェル・・・」

私の前に立つアラタは、マルコスの左を押さえ私を守ってくれた。顔半分振り向いて笑うその姿は、私の知っているアラタだった




「・・・アラタ・・・良かった・・・回復できたみたいだね」

「レイチェル・・・ありがとう」

「アラタ・・・悪いんだけど・・・後は任せていいかい?私も・・・限界だよ」

「あぁ、まかせてくれ。マルゴンとは・・・俺が決着をつける」






マルコスは驚きに言葉を発する事ができなかった。

目の前に立つ男には、吐血する程のダメージを与えており、最後に胸に打ち込んだ拳には、確かに骨を砕いた手ごたえもあった。
無残に外へ転がり動かなくなった姿を見て、そのダメージの深刻さは、ここに常在する白魔法使いでも回復不可能と見ていた。


マルコスは期待外れだと思っていた。

かつて、ムラトシュウイチと戦った際に、ムラトシュウイチは特別な力を使った。
それはマルコスの知らない、想像だにできない力であった。

そして、アラタにはムラトシュウイチと同じ力が宿る事を感じていた。

だが、全力のアラタと戦う事はできたが、ムラトシュウイチと同じ力は最後まで見る事はできなかった。

この程度だったか・・・マルコスは動かなくなったアラタを見て、失望を感じていた。


だが、今この場に立つ男が発する力は、あの時のムラトシュウイチと同じものだった。

そう、自分の左腕を押さえるサカキアラタの右手は・・・光輝いていた。


「サカキ・・・アラタ・・・そうだ・・・それだ!それこそムラトシュウイチと同じ力だ!俺は10年この時を待って・・・」


アラタの右の拳がマルコスの顔面にめり込み、そのまま力まかせに殴り飛ばした。

マルコスの体は何度も地面に打ち付けられ、転がりながら塀にぶつかりやっと動きを止めた。



「立てよマルゴン。その程度じゃ終わらないだろ?決着つけようぜ」

マルコスはゆっくりと上半身を起こすと、口の動かし何かを吐き出した。

折れた歯が血と唾液にまじり、地面に転がる。

マルコスは無言で立ち上がると、上半身を覆うボディアーマーを外し、アームガード、レッグガードと全ての防具を外し、地面に放り投げた。



「・・・サカキアラタ・・・そうだ。その光の拳こそ俺が待ち望んでいた力だ。俺もこの命を懸けて挑もう」

マルコスの目が赤く染まり、体から蒸気が立ち上ると、黒い肌が赤みを帯びて来た。


「最初に言っておこう。これから使用する技は、その光の拳と戦うために俺が命懸けで編み出した技だ。光の拳を持つ男サカキアラタ・・・お前の全てを叩き潰し俺が勝つ!」

マルコスが右手を前に、ナイフをゆらゆらと振り始めた。左手はやはり腰の後ろに隠れるように構えている。

「あぁ、やれるもんならやってみな。お前の全てをこの拳で叩き伏せる。それで決着だ!」


左手を前にアラタが構えると、マルコスは静かに笑った。





レイチェルは、アラタとマルコスから距離を取り、協会の外壁に背中を預けていた。

「・・・まだ、うえがあったのか・・・」

ボディアーマーを外したマルコスの体からは、絶えず汗が蒸発しているのか蒸気が立ち続け、黒い肌は熱を帯び赤みを増している。


無理やり体中のエネルギーをかき集め、熱に変えている。
・・・レイチェルはマルコスの状態をそう感じ取った。

赤い目は、おそらく血液・・・急速に熱を帯びた体は、目の毛細血管すら膨張させているのだろう。
マルコスの切り札であろうこの技は、体力を著しく消費するだろうが、一瞬の爆発力はとてつもないものだろう。


対するアラタの拳も、初めて見る状態だった。左右の拳が光を帯び、莫大な力を持っている。


「・・・どちらも生命エネルギーだ」

マルコスと違い、汗が蒸発する程の熱量を体から発しているわけではない。両手の光以外、見た目には何も変化はない。
だが、アラタの両手にはアラタの生命力が集中し、莫大な力となっていた。


「・・・似ているが、アラタの力は拳だけに集中している。対してマルコスは全身に・・・」


両者とてつもない力だが、どちらも長くは維持できないだろう。決着は早い・・・


先に仕掛けたのはマルコスだった。
右を起点に始まる攻撃は、アラタの顔を目掛け真っ直ぐに向かってくる。
その突きは最初に戦った時よりも、はるかに早く鋭かった。

だが・・・

アラタは左拳でマルコスの突きを弾き飛ばした。
これまでのように、ぎりぎり軌道を逸らす程度ではなく、ハッキリとマルコスの腕を外側へ弾き飛ばしていた。

「なんだと!?」

驚愕するマルコスの顔面を、アラタの左ジャブが捉える。

「ぐっ!」

右が弾かれた事に動揺し、まともにジャブを受けたマルコスの鼻から血が滴り落ちる。

アラタはそのまま攻めに転じた。
顔面に左ジャブを2発入れたところで、右フック、左のショートアッパーと繋げていく。

マルコスの顎が跳ね上がった。

「マルゴンーッツ!」

アラタの右ストレートが再びマルコスの顔面を打ち抜いた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺! 神獣達のママ(♂)なんです!

青山喜太
ファンタジー
時は、勇者歴2102年。 世界を巻き込む世界大戦から生き延びた、国々の一つアトランタでとある事件が起きた。 王都アトスがたったの一夜、いや正確に言えば10分で崩壊したのである。 その犯人は5体の神獣。 そして破壊の限りを尽くした神獣達はついにはアトス屈指の魔法使いレメンスラーの転移魔法によって散り散りに飛ばされたのである。 一件落着かと思えたこの事件。 だが、そんな中、叫ぶ男が1人。 「ふざけんなぁぁぁあ!!」 王都を見渡せる丘の上でそう叫んでいた彼は、そう何を隠そう──。 神獣達のママ(男)であった……。

私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍
ファンタジー
 "私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。  動けない、何もできない、そもそも身体がない。  自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。 ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。  それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!

正しい聖女さまのつくりかた

みるくてぃー
ファンタジー
王家で育てられた(自称)平民少女が、学園で起こすハチャメチャ学園(ラブ?)コメディ。 同じ年の第二王女をはじめ、優しい兄姉(第一王女と王子)に見守られながら成長していく。 一般常識が一切通用しない少女に友人達は振り回されてばかり、「アリスちゃんメイドを目指すのになぜダンスや淑女教育が必要なの!?」 そこには人知れず王妃と王女達によるとある計画が進められていた! 果たしてアリスは無事に立派なメイドになれるのか!? たぶん無理かなぁ……。 聖女シリーズ第一弾「正しい聖女さまのつくりかた」

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

武装法人二階堂商会 ―― 企業買収(M&A)で異世界を支配する!

Innocentblue
ファンタジー
日本で企業買収の最前線を駆け抜けてきた敏腕社長・二階堂漣司。 裏切りにより命を落としたはずの彼が目を覚ましたのは、 剣と魔法が支配する異世界の戦場だった。 与えられたスキルは《企業買収(M&A)》。 兵士も村も土地も国家さえも、株式として評価・買収・支配できる異能の力。 「ならば、この世界そのものを買い叩く」 漣司は《武装法人二階堂商会》を設立。 冷徹な参謀にして最強の魔導士リュシア、獣人傭兵団、裏社会の戦力―― すべてを子会社として編成し、経済と武力を融合した前代未聞の経営戦争へと踏み出す。 弱小の村を救済し、都市と契約を結び、裏切り者を切り捨て、敵対勢力を力で買収する。 交渉は戦争、戦争は経営。 数字が命運を決め、契約が国境を塗り替える。 やがて商会は、都市国家・ギルド・貴族・宗教勢力すら巻き込み、 世界の価値そのものを再定義する巨大企業へと変貌していく。 これは、剣ではなく契約で世界を制圧する男の物語。 奪うのではない。支配するのでもない。 価値を見抜き、価値を操り、世界に値札を付ける―― 救済か、支配か。正義か、合理か。 その境界線を踏み越えながら、蓮司は異世界そのものを経営していく。 異世界×経済×武力が激突する、知略と覇道の武装経営ファンタジー。 「この世界には、村があり、町があり、国家がある。 ――全部まとめて、俺が買い叩く」

【完結】奪われたものを取り戻せ!〜転生王子の奪還〜

伽羅
ファンタジー
 事故で死んだはずの僕は、気がついたら異世界に転生していた。  しかも王子だって!?  けれど5歳になる頃、宰相の謀反にあい、両親は殺され、僕自身も傷を負い、命からがら逃げ出した。  助けてくれた騎士団長達と共に生き延びて奪還の機会をうかがうが…。  以前、投稿していた作品を加筆修正しています。

巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった

ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。 学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。 だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。 暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。 よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!? ……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい! そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。 赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。 「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」 そう、他人事のように見送った俺だったが……。 直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。 「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」 ――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。

神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由

瀬乃一空
ファンタジー
普通の闇バイトだと思って気軽に応募したところ俺は某国の傭兵部隊に入れられた。しかし、ちょっとした俺のミスから呆気なく仲間7人とともに爆死。気が付くと目の前に神様が……。 神様は俺を異世界転生させる代わりに「罪業の柩」なるものを探すよう命じる。鑑定スキルや修復スキル、イケメン、その他を与えられることを条件に取りあえず承諾したものの、どうしたらよいか分からず、転生した途端、途方にくれるエルン。

処理中です...