異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎

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81 セインソルボ山 ②

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「・・・よし、青魔法テンパラと結界で、気温も気圧も風も問題ないな。足元の雪は俺が炎で消しながら進む。ケイトは後ろから着いてきてくれ。それと、ピッケルに付いているストラップは肩から斜めにかけてくれ。もし手を離しても無くすことは無い」

「大丈夫ですよ。ここに来るまでに散々説明受けましたから。それに・・・」

アタシはピッケルのストラップを斜め掛けにしながら、これから登る標高6636メートル、雲まで届く山を見上げた。

「・・・山をなめる気はサラサラ無いですから」




アタシと店長は、縁取りに暗めの茶色のパイピングをあしらった、フード付きの青いローブを着ている。
クインズベリー国の青魔法使いの正統な装束だ。
身に着けている間は、魔法効果の持続時間が僅かに伸びる。
店長はどの装束でもいいのだが、今回は持続時間が伸びるという理由で、青のローブにしたようだ。


もし、青魔法使い以外が山を登るのであれば、それ相応の服装になるだろう。
でも、山登りに対して効果的な魔法が使える青魔法使いであれば、その必要はない。
アンダーウェアを着込んだりするより、軽装の方が動きやすくていい。

ブーツはしっかりと準備した。気温や気圧を調整したり、雪を溶かして進むにしても、歩く事だけは避けられない。店長が疲れたらヒールをしてくれると言っても、できるだけ疲労は抑えたい。

雪が乗っても冷えにくく暖かい、でこぼこした岩場でも足に負担がかかりにくい、少しゴツイけど、しっかりとしたブーツを選んだ。


今回、雪山に登るという事で、店長は店にあった大きめのリュックを持ち出した。
旅人用のリュックで、軽量化、汗抜けを良くするために、背中部分がメッシュ生地になっていたりと、長時間背負う時に、体にかかる負担を少なくするような作りになっている。

物の出し入れもしやすい造りで、アタシと店長はこれを背負って登る事になった。

中身は、圧縮した水を入れる魔道具のビンが数本。携帯できる食べ物。手袋。汗をかいた時のためのクリーン。着替え一式。靴下は厚いのを用意した。
発光石という、光る石がある。それを透明な筒に入れた魔道具も用意した。岩穴なんかを見る時に使うためだ。
だいたいこんなところだ。

ロープを岩壁に打って固定する道具なんかは、店長のリュックに全て入っている。




「それにしても、一人で三系統全て使えるなんて、街のリサイクルショップで治まる器でじゃないですよ?王妃様とも顔見知りだし・・・あぁ、答えなくていいですよ。察してまーす!」

山を登り始めた。
店長の後ろを歩きながら軽口をたたくと、店長は顔半分だけ振り向いた。
どこか懐かしそうに小さく笑った。


「・・・似てるな・・・」

「え?なんです?」

「いや・・・古い話だ・・・キミのそういうところ、俺の友達にどことなく似てると思ったんだ」


「・・・そうなんですか?てか、店長友達いたんですね?何にも話してくれないから、友達いないと思ってましたよ。まったく・・・もうちょっと話しましょうよ?」

「そういう遠慮の無い言い方・・・やっぱり似てるよ・・・そうだな、ケイトの言う通りだ。もう少し話すようにするよ」

「そうですよー、アタシでよけりゃ、いつでも話し聞きますからね」


それからしばらくは、店の話をして歩いた。




店の事は心配していないようだ。店長はレイチェルを一番に信頼している。
自分がいなくても、レイチェルなら大丈夫と言って今回の長期間の出張に出た。

ミゼルは少し頼りないところし、私生活がだらしないけど仕事は真面目だ。
意外と物知りだし、痒い所に手が届く。お金の管理や、台帳の整理、そういった仕事はミゼルにまかせれば問題ないだろう。

ジャレットは面倒見が良い。
特に、カチュア、ユーリ、リカルド、まだ10代の子達のところはよく見ている。
だからジャレットが店にいれば、体調面や、何かで悩んでいたりとか、変化に気付いてあげられるはずだ。

ジーンはアタシの個人的感情を抜きで言うと、サポートが上手い。
部門を問わず、手が足りない時はいつの間にか助けてくれている。
仕事も早いから、時間が空くとよくメインレジに立ってくれて、そのおかげで他の部門の皆が自分の作業を仕上げる事ができる。縁の下の力持ちみたいなところだ。

シルヴィアは基本的には優しいけど、一番厳しいと思う。
ミゼルもジャレットもジーンも、うちの男達は甘いから、誰かに注意する時どこかビシっとしない。
でも、シルヴィアの場合はなんと言うか、有無を言わさぬ迫力がある。
シルヴィアに注意されると、一切口答えができない。アタシも無理だ。
だから、シルヴィアがいると店に一本筋が通って、締める時は締める事ができる。


二十歳以上の年長組は、それぞれの足りないところを補って、しっかりできていると思う。
アタシも今のレイジェスのメンバーなら、心配する事は何もないのではないかと思う。


店長、よくここまで育てましたよね。尊敬します。


レイジェスのメンバーは、全員店長の弟子だ。




探索魔法サーチは複数の使い方ができる。

●対象がハッキリしていれば、頭に浮かべそれだけをピンポイントで探索する。

●対象がハッキリしない場合は、その種類全てを感知するように探索する。
今回は真実の花が目的だが、真実の花の形が分からない場合は、花という種類全てを感知して探す。

●生き物全てという使い方もできる。
この場合、人間でも動物でも、命を持って動いている全てを感知する。

なかなか便利な魔法で需要は多い。
家の中で落としたペンを探したり、行方不明者を探したり、使い方は幅広い。

得意、不得意はあるが、一般の人で範囲は10~50メートル。クインズベリーの王宮魔法使いで200~300メートルといったところだろう。


アタシは才能があったようだ。
アタシが14歳の時、ジーンがレイジェスで働きだした。アタシは毎日ジーンに会いに行った。ジーンと離れたくなかったし、ジーンの働く姿を見たかったからだ。

毎日毎日通うにアタシに、ある日店長が声をかけてきた。

【キミもここで働いてみない?】

アタシは二つ返事でその場で決めた。
ジーンと同じお店で働ける。しかも、アタシも青魔法だから、ジーンと同じ部門に配属してもらえた。
それだけでも店長には感謝している。

そして店長は、アタシを鍛えてくれた。
魔力の流れ、効果的な使い方、アタシの魔法は全て店長から教わったものだ。

【ケイトは才能があるよ。そのうち俺を抜かすと思う。その日が来るのを楽しみにしているよ】

店長は黒魔法が一番得意だ。白と青は苦手だと言っていた。
でも、その苦手な青魔法のサーチで、500メートル、アタシと同じ距離を感知できている。

アタシは毎日トレーニングを行っている。
体内の魔力を調整し、放出する。広範囲に使う場合、範囲を絞って使う場合、イメージを重ね研鑽する。

一部分では店長に並んだという自信はある。でも、追い越すことはできていない。

アタシの店長への恩返しは、きっと追い越す事だと思う。
店長は自分の力を惜しみなく伝えている。変わった人だ。普通は自分が一番でいたいのではないかと思う。

でも、店長はそういう人なんだろう。
アタシが新しい魔法を覚えたり、サーチの範囲が広がった時は、心から喜んでいたのが感じられた。

だから、アタシはこれからもトレーニングを欠かす事は無い。

いつか店長以上の青魔法使いになって、この恩を返してみせる。

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