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97 マルゴンの語り ②
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俺の答えを聞くと、マルゴンは頬を緩め満足そうに笑った。
「やはりそうでしたか・・・にわかには信じられませんが、これまでの言動、見た事も無い戦い方、そして光の拳、それらを考えると、頷けるものがあります。謎が一つ解けましたよ。」
「へぇ、もっと頭が固いかと思ったけど、案外話しが分かるんだな?」
「光の拳をこの目で二度も見ていますからね。私はもう一度あの力と戦ってみたかったのです。今の自分がどれほど通用するのか、それを確かめたかったんです」
マルゴンはそう言うと、自分の拳に目を落とし、少しの間口を閉じた。
村戸さんとの再戦を望み、この10年、鍛え抜いてきたのだろう。マルゴンの強さへの拘りがよく分かる。
「マルコス、負けたと言っても10年も前の話だろ?今のアンタがムラトシュウイチと戦ったら勝機もあるんじゃないかい?」
レイチェルがマルゴンに問いかけた。
それは俺も気になっていた。10年前と今では、マルゴンの強さは別次元だろう。俺と戦った時の最後に出した技は、光の拳と戦うために、命懸けであみ出したと言っていた。あれほどの力があれば、十分に勝算もあるのではないだろうか。
マルゴンは目を上げると、言葉を選ぶようにゆっくりと話し出した。
「・・・10年前のムラトシュウイチと、今の私が戦ったら、私が勝つでしょう。ですがサカキアラタとの戦いを基準に考えると、今のムラトシュウイチには及ばないでしょう」
そう言ってマルゴンは俺に向き直ると、俺の拳を指しながら言葉を続けた。
「サカキアラタ、光の拳を纏ったあなたは、10年前のムラトシュウイチより強いと感じましたよ。ですが、私の最後の技、炎燃焦身に、ギリギリだった事を考えると、やはりあなたも今のムラトシュウイチには・・・」
マルゴンはそう言って、首を横に振った。
「・・・あの時、今の村戸さんを知っているような口ぶりだったよな?」
俺の指摘にマルゴンは、はい、と答え頷くと俺達全員に視線を送り、口を開いた。
「ムラトシュウイチは、その名を変え、今はブロートン帝国にいます。皇帝ダスドリアン・ブルーナーが軍の司令官だった頃、圧倒的な強さを見込まれ拾い上げられました。そして今では最側近として、常に傍に控えてます。戦争にでもならない限り、今、ムラトシュウイチに会う事は困難でしょう」
「ブロートンだって?今、アラタと同じ力を持つムラトシュウイチは、ブロートンの、しかも皇帝の最側近になっているってのかい?」
マルゴンの言葉に、レイチェルが強く反応した。そしてそれはヴァンも同じだった。
「おい、そんな力持ったヤツが今、ブロートンにいるだと?マルコス、お前なんでもっと早く話さねぇんだよ!?」
「ヴァン・エストラーダ、どのように報告しろと言うのです?サカキアラタの存在が無ければ、光の拳なんて証明できないでしょう?」
「口の減らねぇ野郎だ。それで、今は何て名だ?」
眉間に強いシワを寄せ、ヴァンが問いただす。
そして、マルゴンの発した名前に、俺はその人物が村戸さんだと確信した。
「デューク・サリバン・・・今はそう名乗ってます」
「・・・デューク・サリバンだと!?」
「アラタ?」
俺がその名に強く反応すると、レイチェルが顔を向けてきた。
「そうか・・・その名前なら、村戸さんだな。レイチェル、デューク・サリバンは、ボクシングの最初の王者だ。そんな名前を名乗るのは、村戸さんで間違いない」
レイチェルは、なるほど、と言い納得したように頷いた。
「サカキアラタ、私がムラトシュウイチについて知っている事は以上です。あなたが再会を望むのであれば、ブロートンに行き、偶然を根気強く待つか、戦争にでもならなければ不可能でしょう。ただ、今のムラトシュウイチは、あなたの知っているムラトシュウイチとは、全くの別人になっているでしょうね」
マルゴンの言葉を受け、俺は一言だけ、分かった、と返した。
村戸さんが10年前にこの世界に来た原因は分からなかったが、マルゴンの話の通りならば、村戸さんは、治安部隊の隊員を五人と、十数人の賊も殺している。
俺の知っている村戸さんは、決してそんな事ができる人ではない。
だけど、マルゴンの会った村戸さんは、普通の精神状態ではないように思った。
この世界に突然送り込まれ、混乱した上での事だったのかもしれない。
平気で人を殺せる人間に変わってしまったとは思いたくない。
しかし今、クリンズベリーと関係があまり良くない、ブロートン帝国にいるという事と、皇帝ダスドリアン・ブルーナーの最側近という立場にいるのであれば、かなりの修羅場をくぐってきたのではないかと察せられた。
マルゴンの言う通り、俺の知っている村戸さんとは、別人になっている可能性が高いのだと思う。
そして、もう一つ気になる事ができた。
村戸さんが俺の推測通り、あの男に殺されてこの世界に来たのであれば、あの日、あの場いたもう一人、
新庄弥生さんはどうなったんだろうか・・・
無事であればいい。でも、もし弥生さんまで殺されてしまっていたとしたら・・・
弥生さんもこの世界に来ているのだろうか?
考え込む俺を見て、レイチェルが肩を軽く叩いて来た。
「アラタ・・・色々驚く話ばかりで、考えこんでしまっていたね。帰ったら、皆で話し合おうじゃないか。だから、一人で考え込まないでくれ。キミはなにかあると一人で考え込む癖があるね?私たちは仲間だ。なんでも話してほしい」
また俺は一人の世界に入ってしまっていたようだ。レイチェルの言う通り、俺は考え込む癖があるようだ。
「レイチェル、悪い、また一人で考え込んでいたよ。うん。帰ったら色々話を聞いてほしい」
そう言うとレイチェルは、ニコリと笑って、もちろんだ、と答えてくれた。
「やはりそうでしたか・・・にわかには信じられませんが、これまでの言動、見た事も無い戦い方、そして光の拳、それらを考えると、頷けるものがあります。謎が一つ解けましたよ。」
「へぇ、もっと頭が固いかと思ったけど、案外話しが分かるんだな?」
「光の拳をこの目で二度も見ていますからね。私はもう一度あの力と戦ってみたかったのです。今の自分がどれほど通用するのか、それを確かめたかったんです」
マルゴンはそう言うと、自分の拳に目を落とし、少しの間口を閉じた。
村戸さんとの再戦を望み、この10年、鍛え抜いてきたのだろう。マルゴンの強さへの拘りがよく分かる。
「マルコス、負けたと言っても10年も前の話だろ?今のアンタがムラトシュウイチと戦ったら勝機もあるんじゃないかい?」
レイチェルがマルゴンに問いかけた。
それは俺も気になっていた。10年前と今では、マルゴンの強さは別次元だろう。俺と戦った時の最後に出した技は、光の拳と戦うために、命懸けであみ出したと言っていた。あれほどの力があれば、十分に勝算もあるのではないだろうか。
マルゴンは目を上げると、言葉を選ぶようにゆっくりと話し出した。
「・・・10年前のムラトシュウイチと、今の私が戦ったら、私が勝つでしょう。ですがサカキアラタとの戦いを基準に考えると、今のムラトシュウイチには及ばないでしょう」
そう言ってマルゴンは俺に向き直ると、俺の拳を指しながら言葉を続けた。
「サカキアラタ、光の拳を纏ったあなたは、10年前のムラトシュウイチより強いと感じましたよ。ですが、私の最後の技、炎燃焦身に、ギリギリだった事を考えると、やはりあなたも今のムラトシュウイチには・・・」
マルゴンはそう言って、首を横に振った。
「・・・あの時、今の村戸さんを知っているような口ぶりだったよな?」
俺の指摘にマルゴンは、はい、と答え頷くと俺達全員に視線を送り、口を開いた。
「ムラトシュウイチは、その名を変え、今はブロートン帝国にいます。皇帝ダスドリアン・ブルーナーが軍の司令官だった頃、圧倒的な強さを見込まれ拾い上げられました。そして今では最側近として、常に傍に控えてます。戦争にでもならない限り、今、ムラトシュウイチに会う事は困難でしょう」
「ブロートンだって?今、アラタと同じ力を持つムラトシュウイチは、ブロートンの、しかも皇帝の最側近になっているってのかい?」
マルゴンの言葉に、レイチェルが強く反応した。そしてそれはヴァンも同じだった。
「おい、そんな力持ったヤツが今、ブロートンにいるだと?マルコス、お前なんでもっと早く話さねぇんだよ!?」
「ヴァン・エストラーダ、どのように報告しろと言うのです?サカキアラタの存在が無ければ、光の拳なんて証明できないでしょう?」
「口の減らねぇ野郎だ。それで、今は何て名だ?」
眉間に強いシワを寄せ、ヴァンが問いただす。
そして、マルゴンの発した名前に、俺はその人物が村戸さんだと確信した。
「デューク・サリバン・・・今はそう名乗ってます」
「・・・デューク・サリバンだと!?」
「アラタ?」
俺がその名に強く反応すると、レイチェルが顔を向けてきた。
「そうか・・・その名前なら、村戸さんだな。レイチェル、デューク・サリバンは、ボクシングの最初の王者だ。そんな名前を名乗るのは、村戸さんで間違いない」
レイチェルは、なるほど、と言い納得したように頷いた。
「サカキアラタ、私がムラトシュウイチについて知っている事は以上です。あなたが再会を望むのであれば、ブロートンに行き、偶然を根気強く待つか、戦争にでもならなければ不可能でしょう。ただ、今のムラトシュウイチは、あなたの知っているムラトシュウイチとは、全くの別人になっているでしょうね」
マルゴンの言葉を受け、俺は一言だけ、分かった、と返した。
村戸さんが10年前にこの世界に来た原因は分からなかったが、マルゴンの話の通りならば、村戸さんは、治安部隊の隊員を五人と、十数人の賊も殺している。
俺の知っている村戸さんは、決してそんな事ができる人ではない。
だけど、マルゴンの会った村戸さんは、普通の精神状態ではないように思った。
この世界に突然送り込まれ、混乱した上での事だったのかもしれない。
平気で人を殺せる人間に変わってしまったとは思いたくない。
しかし今、クリンズベリーと関係があまり良くない、ブロートン帝国にいるという事と、皇帝ダスドリアン・ブルーナーの最側近という立場にいるのであれば、かなりの修羅場をくぐってきたのではないかと察せられた。
マルゴンの言う通り、俺の知っている村戸さんとは、別人になっている可能性が高いのだと思う。
そして、もう一つ気になる事ができた。
村戸さんが俺の推測通り、あの男に殺されてこの世界に来たのであれば、あの日、あの場いたもう一人、
新庄弥生さんはどうなったんだろうか・・・
無事であればいい。でも、もし弥生さんまで殺されてしまっていたとしたら・・・
弥生さんもこの世界に来ているのだろうか?
考え込む俺を見て、レイチェルが肩を軽く叩いて来た。
「アラタ・・・色々驚く話ばかりで、考えこんでしまっていたね。帰ったら、皆で話し合おうじゃないか。だから、一人で考え込まないでくれ。キミはなにかあると一人で考え込む癖があるね?私たちは仲間だ。なんでも話してほしい」
また俺は一人の世界に入ってしまっていたようだ。レイチェルの言う通り、俺は考え込む癖があるようだ。
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そう言うとレイチェルは、ニコリと笑って、もちろんだ、と答えてくれた。
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