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118 濁った空と歪んだ石畳 ④
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『ジーン!良かった、無事だったんだな!』
ジーンは右手を前に出し。結界に魔力を流し続けている。
俺がかけよると、顔を向けて少しだけ笑った。
『アラタ、キミも無事で良かった。どうやら、バラバラに飛ばされたようだけど、最終的には一つのゴールにつながっているようだ。ところで、彼は?パスタ屋の店員さんだよね?』
少し離れたところに立ち、こちらに顔を向けているジェロムに、ジーンが視線を向けた。
油断なく、見極めるように鋭い視線を向け、なにかあっても、即座に対応できるよう身構えている事から、ジーンはジェロムに何かあると考えているようだ。
『さすが、サカキアラタの仲間だ。レイジェスのメンバーは全員がアンタみたく使えるヤツなのか?』
ジーンの視線を受け、ジェロムは挑発するように鼻で笑いながら口を開いた。
『・・・なるほど、詳しい事情は分からないけど、キミが原因なのは間違いないようだ。食事の後、不自然に眠くなった。なにか薬を入れたね?色々聞きだしたいけど、まずは先にこっちを何とかしないとならないようだ』
ジーンはジェロムから目を離し、上空に顔を向けた。
爆裂空破弾を防がれたオーグは、怒りと驚きで、額に青い筋を浮かべ歯を食いしばっている。
『青魔法使いもいたのか、俺の・・・全力の爆裂空破弾だぞ?防ぎやがった・・・』
オーグは自身の足元を纏う風を弱め、空中からゆっくりと降下を始めた。
ジーンは、オーグが地面に降り立つと、右手を下ろし結界を解いた。
先程の爆裂空破弾が、目の前の敵が使える最大の一撃だった事は間違いない。
それ以上の攻撃魔法が無ければ、魔力消費が高い結界を発動し続ける事は無いと判断したからだ。
そして、爆裂弾のようなすぐに撃てる魔法でも、相手が目の前の敵ならば、ジーンは即座に結界を張り防ぐ自信があった。
アラタとジェロムも、オーグが降り立ったのを見て、いつでも攻撃をしかけられるように身構えている。
しかし、オーグはアラタ達には目を向けず、その視線は足元にある61番目の部屋につながるドアに向けられていた。
勝ち目がないと判断したオーグは、どうやってこの場を切り抜けるか、すでに頭の中は逃走手段に切り替わっていた。
空を飛んで逃げようかとも考えた。だが、同じ黒魔法使いのジェロムがそれを許さないだろう。
ならば、次の部屋に行き、追ってこれないよう、ドアを破壊する事を考えた。破壊する事によって、眠り続けているパウロにどのような影響があるかは分からない。
だが、それはオーグにとって、どうでもいい事だった。
しかし、逃走の気配を察知したジーンは、つまらなそうな声をオーグに向けた。
『・・・逃げるの?なんだ、けっこう臆病なんだね?』
『なんだと?』
安い挑発だったが、見下していたジェロム達にブルゲを倒され、自身の最大の魔法を防がれたオーグの、こらえていた怒りに火を付けるには十分だった。
怒気を込めたオーグの声など、まるで聞こえないと言うように、ジーンはなおも挑発を続けた。
『自慢の一発を防がれただけで、もう打つ手無しなの?それで尻尾を巻いて逃げるんだ?』
『戦う手段を持たない青魔法使いごときが舐めた口を!』
『へぇ・・・青魔法使いは、戦いでは黒魔法使いに勝てないと思ってるんだ?』
オーグの言葉を受け、ジーンは微笑みを浮かべると、アラタとジェロムを尻目に、前に出た。
『二人とも、こいつは僕がやるよ。手出しは無用だ』
『お、おい!ジーン!』
青魔法使いは攻撃手段を持たない。それはオーグの言葉通りだった。青魔法は補助魔法。
生活、戦闘、どの分野でも補助ができる幅広い魔法が使えるが、戦闘に使える攻撃魔法は何一つ持っていない。
アラタもそれは知っている。だから、自分とジェロムを置いて前に出るジーンを慌てて止めようと手を伸ばした。
だが、隣に立つジェロムがアラタの前に手を伸ばし制止する。
『まぁ、待てよ。さすがに勝算も無く、むざむざ死にに行く馬鹿じゃねぇんだろ?見てやろうじゃねぇか?黒魔法使い相手にどう戦うのか』
薄笑いを浮かべ、ジーンの背中を見ながら話すジェロムに怒りを覚えるが、確かにジーンは勝算の無い戦いをするような男ではない。いつも落ち着いて回りをよく見て仕事をしている。
そして、迷いなくオーグに向かい歩いて行く背中には、迷いや恐れは一切感じられなかった。
『僕はレイジェスの青魔法使い。名前はジーンだ。キミは?』
数メートル離れた距離で足を止めると、ジーンはオーグに名を告げた。
『フン、お前本気で黒魔法の俺と一人でやる気か?いいだろう。これから死ぬ相手に名乗るのも無駄だが、教えてやる。俺はクインズベリー軍、魔法兵団のオーグだ』
俺とジェロムが手を出さずに後ろに控えている様子を見て、本当に一人で戦うつもりのジーンに、オーグは呆れた顔で息を吐いた。
しかし、ジーンはそんなオーグを意に介さず、右手を前に出し、指先だけ下からすくうように軽く曲げて見せた。
『かかってきなよオーグ。青魔法使いの戦い方を見せてあげるよ』
ジーンの青い瞳が、目の前の敵を冷たく見据えた。
オーグの両手の平に、魔力を圧縮させた子供の拳程の大きさの光球が浮かんだ。
爆裂弾。基本と言える爆発魔法だが、魔力の消費も少なく、連続して撃つ事ができるので凡庸性の高い魔法である。
『見せてみろよ!青魔法使いの戦い方ってヤツを!』
右、左と、オーグはジーンに爆裂弾を投げつけるように放った。
勢いよく放たれた二発の爆裂弾が、ジーンに直撃しようとしたその時、まるで空気を溜めた袋を割ったような破裂音を響かせ、爆裂弾はオーグに向かって一直線に跳ね返ってきた。
『なっ!?』
咄嗟に横に飛び避けようとしたオーグだが、躱しきれずに自身の放った爆裂弾をまともに浴びてしまい、後方に吹き飛ばされる。
背中を強く打ち付けた事で苦しそうに咳き込み、肘を支えに上半身を起こそうとしているが、痛みですぐには起き上がれそうにない。
腕を盾に体を守ったらしく、ローブの両袖はほぼ消し飛び、肘から下は腕がむき出しになっていた。
痛みに顔を歪めながらも、自身の魔法を跳ね返したジーンに、驚きと怒りの混じった目を向けるが、ジーンは涼しい表情で、全く意に介していないようだ。
『ゲホッ・・・な、なにをした?てめぇ・・・一体何をした!?爆裂弾を跳ね返すだと!?そんな魔法があってたまるか!』
オーグが感情のままに叫ぶと、ジーンは右手を胸より少し前に出し、顔の大きさくらいの青い結界を発動させた。
『タイミングと角度だ。結界そのものに魔法を跳ね返す力はない。防ぐために受けるだけだ。だけど受けるという事は触れるという事だ。触れるならば跳ね返す事もできる。爆裂弾くらいなら、このくらいの大きさの結界で十分だ。ぶつかる直前に腕を振り、勢いをつけて発動させる。そして受ける角度を見極める。そうやってキミの爆裂弾を跳ね返しただけだ』
ジーンの説明に、オーグは目を開き言葉を失っていた。
俺の隣で話を聞いていたジェロムも、口元に手を当て、眉間にシワを寄せながら、今の話を思案しているように見える。
涼しい顔で種明かしをしているが、ジェロムとオーグの様子を見る限り、ジーンのやった事は相当な技量がいるようだ。
オーグはおぼつかない足取りで立ち上がると、再び両手に魔力を集中させ、爆裂弾の準備に入る。
『まだやる気?軍の魔法兵ならもう分かるだろ?勝負ありだ。僕には勝てないよ』
『黒魔法使いが、戦いで青魔法使いに負けるなんて・・・あってたまるか!』
ジーンの言葉をかき消すように叫ぶと、オーグは再び左右の爆裂弾を投げつけるように放った。
それを受け、ジーンは両手を前に出し、結界発動のタイミングを見定める。
だが、今度はオーグは待っているだけではなかった。
爆裂弾を放つと同時に走り出し、左側から回り込むようにジーンに飛び掛かった。
その右手にはオーグの残り全魔力が込められた、拳の倍以上の大きなエネルギーの塊があった。
『直接叩き込んでやる!爆裂空破弾!』
ジーンの体に叩き込むように、オーグは振りかぶった右手を叩き付けた。
だが、次の瞬間オーグの右腕が爆発した。
その衝撃で右手で叩き込もうとした爆裂空破弾は、空に放たれ遠くで爆発の火花を散らした。
『ぐあぁぁぁぁーーーッ!』
激痛のあまり、オーグは地面をのたうち回り、悲鳴を上げている。
右腕の肘は爆発により、本来曲がる方向と真逆に曲がってしまい、そして肘まわりの皮膚がほとんど吹き飛び、筋肉がむき出しになっている。
『なかなか魔力耐性が高いみたいだね。そして、使った魔法が爆裂弾で良かったよ。もう少し強い魔法だったら、キミの右腕は原型を留めず吹き飛んでいただろうね』
ジーンは足元で悲鳴を上げているオーグを見下ろし冷たく言葉をかける。
だが、脂汗を流し、歯を食いしばり、痛みと戦っているオーグには、ジーンの言葉は聞こえていなかった。
『ジ、ジーン、お前ジーンだよな?』
普段の優しく落ち着いた姿からは、想像もできない冷徹な姿に、俺は戸惑いを覚えながら話しかけた。
『・・・アラタ、僕はこれでも怒ってるんだ。ケイトとカチュアは見つからない。もし、彼女達になにかあれば、こんなもので許す気はないよ』
振り返ったジーンの目は、冷たい殺意を宿していた。
ジーンは右手を前に出し。結界に魔力を流し続けている。
俺がかけよると、顔を向けて少しだけ笑った。
『アラタ、キミも無事で良かった。どうやら、バラバラに飛ばされたようだけど、最終的には一つのゴールにつながっているようだ。ところで、彼は?パスタ屋の店員さんだよね?』
少し離れたところに立ち、こちらに顔を向けているジェロムに、ジーンが視線を向けた。
油断なく、見極めるように鋭い視線を向け、なにかあっても、即座に対応できるよう身構えている事から、ジーンはジェロムに何かあると考えているようだ。
『さすが、サカキアラタの仲間だ。レイジェスのメンバーは全員がアンタみたく使えるヤツなのか?』
ジーンの視線を受け、ジェロムは挑発するように鼻で笑いながら口を開いた。
『・・・なるほど、詳しい事情は分からないけど、キミが原因なのは間違いないようだ。食事の後、不自然に眠くなった。なにか薬を入れたね?色々聞きだしたいけど、まずは先にこっちを何とかしないとならないようだ』
ジーンはジェロムから目を離し、上空に顔を向けた。
爆裂空破弾を防がれたオーグは、怒りと驚きで、額に青い筋を浮かべ歯を食いしばっている。
『青魔法使いもいたのか、俺の・・・全力の爆裂空破弾だぞ?防ぎやがった・・・』
オーグは自身の足元を纏う風を弱め、空中からゆっくりと降下を始めた。
ジーンは、オーグが地面に降り立つと、右手を下ろし結界を解いた。
先程の爆裂空破弾が、目の前の敵が使える最大の一撃だった事は間違いない。
それ以上の攻撃魔法が無ければ、魔力消費が高い結界を発動し続ける事は無いと判断したからだ。
そして、爆裂弾のようなすぐに撃てる魔法でも、相手が目の前の敵ならば、ジーンは即座に結界を張り防ぐ自信があった。
アラタとジェロムも、オーグが降り立ったのを見て、いつでも攻撃をしかけられるように身構えている。
しかし、オーグはアラタ達には目を向けず、その視線は足元にある61番目の部屋につながるドアに向けられていた。
勝ち目がないと判断したオーグは、どうやってこの場を切り抜けるか、すでに頭の中は逃走手段に切り替わっていた。
空を飛んで逃げようかとも考えた。だが、同じ黒魔法使いのジェロムがそれを許さないだろう。
ならば、次の部屋に行き、追ってこれないよう、ドアを破壊する事を考えた。破壊する事によって、眠り続けているパウロにどのような影響があるかは分からない。
だが、それはオーグにとって、どうでもいい事だった。
しかし、逃走の気配を察知したジーンは、つまらなそうな声をオーグに向けた。
『・・・逃げるの?なんだ、けっこう臆病なんだね?』
『なんだと?』
安い挑発だったが、見下していたジェロム達にブルゲを倒され、自身の最大の魔法を防がれたオーグの、こらえていた怒りに火を付けるには十分だった。
怒気を込めたオーグの声など、まるで聞こえないと言うように、ジーンはなおも挑発を続けた。
『自慢の一発を防がれただけで、もう打つ手無しなの?それで尻尾を巻いて逃げるんだ?』
『戦う手段を持たない青魔法使いごときが舐めた口を!』
『へぇ・・・青魔法使いは、戦いでは黒魔法使いに勝てないと思ってるんだ?』
オーグの言葉を受け、ジーンは微笑みを浮かべると、アラタとジェロムを尻目に、前に出た。
『二人とも、こいつは僕がやるよ。手出しは無用だ』
『お、おい!ジーン!』
青魔法使いは攻撃手段を持たない。それはオーグの言葉通りだった。青魔法は補助魔法。
生活、戦闘、どの分野でも補助ができる幅広い魔法が使えるが、戦闘に使える攻撃魔法は何一つ持っていない。
アラタもそれは知っている。だから、自分とジェロムを置いて前に出るジーンを慌てて止めようと手を伸ばした。
だが、隣に立つジェロムがアラタの前に手を伸ばし制止する。
『まぁ、待てよ。さすがに勝算も無く、むざむざ死にに行く馬鹿じゃねぇんだろ?見てやろうじゃねぇか?黒魔法使い相手にどう戦うのか』
薄笑いを浮かべ、ジーンの背中を見ながら話すジェロムに怒りを覚えるが、確かにジーンは勝算の無い戦いをするような男ではない。いつも落ち着いて回りをよく見て仕事をしている。
そして、迷いなくオーグに向かい歩いて行く背中には、迷いや恐れは一切感じられなかった。
『僕はレイジェスの青魔法使い。名前はジーンだ。キミは?』
数メートル離れた距離で足を止めると、ジーンはオーグに名を告げた。
『フン、お前本気で黒魔法の俺と一人でやる気か?いいだろう。これから死ぬ相手に名乗るのも無駄だが、教えてやる。俺はクインズベリー軍、魔法兵団のオーグだ』
俺とジェロムが手を出さずに後ろに控えている様子を見て、本当に一人で戦うつもりのジーンに、オーグは呆れた顔で息を吐いた。
しかし、ジーンはそんなオーグを意に介さず、右手を前に出し、指先だけ下からすくうように軽く曲げて見せた。
『かかってきなよオーグ。青魔法使いの戦い方を見せてあげるよ』
ジーンの青い瞳が、目の前の敵を冷たく見据えた。
オーグの両手の平に、魔力を圧縮させた子供の拳程の大きさの光球が浮かんだ。
爆裂弾。基本と言える爆発魔法だが、魔力の消費も少なく、連続して撃つ事ができるので凡庸性の高い魔法である。
『見せてみろよ!青魔法使いの戦い方ってヤツを!』
右、左と、オーグはジーンに爆裂弾を投げつけるように放った。
勢いよく放たれた二発の爆裂弾が、ジーンに直撃しようとしたその時、まるで空気を溜めた袋を割ったような破裂音を響かせ、爆裂弾はオーグに向かって一直線に跳ね返ってきた。
『なっ!?』
咄嗟に横に飛び避けようとしたオーグだが、躱しきれずに自身の放った爆裂弾をまともに浴びてしまい、後方に吹き飛ばされる。
背中を強く打ち付けた事で苦しそうに咳き込み、肘を支えに上半身を起こそうとしているが、痛みですぐには起き上がれそうにない。
腕を盾に体を守ったらしく、ローブの両袖はほぼ消し飛び、肘から下は腕がむき出しになっていた。
痛みに顔を歪めながらも、自身の魔法を跳ね返したジーンに、驚きと怒りの混じった目を向けるが、ジーンは涼しい表情で、全く意に介していないようだ。
『ゲホッ・・・な、なにをした?てめぇ・・・一体何をした!?爆裂弾を跳ね返すだと!?そんな魔法があってたまるか!』
オーグが感情のままに叫ぶと、ジーンは右手を胸より少し前に出し、顔の大きさくらいの青い結界を発動させた。
『タイミングと角度だ。結界そのものに魔法を跳ね返す力はない。防ぐために受けるだけだ。だけど受けるという事は触れるという事だ。触れるならば跳ね返す事もできる。爆裂弾くらいなら、このくらいの大きさの結界で十分だ。ぶつかる直前に腕を振り、勢いをつけて発動させる。そして受ける角度を見極める。そうやってキミの爆裂弾を跳ね返しただけだ』
ジーンの説明に、オーグは目を開き言葉を失っていた。
俺の隣で話を聞いていたジェロムも、口元に手を当て、眉間にシワを寄せながら、今の話を思案しているように見える。
涼しい顔で種明かしをしているが、ジェロムとオーグの様子を見る限り、ジーンのやった事は相当な技量がいるようだ。
オーグはおぼつかない足取りで立ち上がると、再び両手に魔力を集中させ、爆裂弾の準備に入る。
『まだやる気?軍の魔法兵ならもう分かるだろ?勝負ありだ。僕には勝てないよ』
『黒魔法使いが、戦いで青魔法使いに負けるなんて・・・あってたまるか!』
ジーンの言葉をかき消すように叫ぶと、オーグは再び左右の爆裂弾を投げつけるように放った。
それを受け、ジーンは両手を前に出し、結界発動のタイミングを見定める。
だが、今度はオーグは待っているだけではなかった。
爆裂弾を放つと同時に走り出し、左側から回り込むようにジーンに飛び掛かった。
その右手にはオーグの残り全魔力が込められた、拳の倍以上の大きなエネルギーの塊があった。
『直接叩き込んでやる!爆裂空破弾!』
ジーンの体に叩き込むように、オーグは振りかぶった右手を叩き付けた。
だが、次の瞬間オーグの右腕が爆発した。
その衝撃で右手で叩き込もうとした爆裂空破弾は、空に放たれ遠くで爆発の火花を散らした。
『ぐあぁぁぁぁーーーッ!』
激痛のあまり、オーグは地面をのたうち回り、悲鳴を上げている。
右腕の肘は爆発により、本来曲がる方向と真逆に曲がってしまい、そして肘まわりの皮膚がほとんど吹き飛び、筋肉がむき出しになっている。
『なかなか魔力耐性が高いみたいだね。そして、使った魔法が爆裂弾で良かったよ。もう少し強い魔法だったら、キミの右腕は原型を留めず吹き飛んでいただろうね』
ジーンは足元で悲鳴を上げているオーグを見下ろし冷たく言葉をかける。
だが、脂汗を流し、歯を食いしばり、痛みと戦っているオーグには、ジーンの言葉は聞こえていなかった。
『ジ、ジーン、お前ジーンだよな?』
普段の優しく落ち着いた姿からは、想像もできない冷徹な姿に、俺は戸惑いを覚えながら話しかけた。
『・・・アラタ、僕はこれでも怒ってるんだ。ケイトとカチュアは見つからない。もし、彼女達になにかあれば、こんなもので許す気はないよ』
振り返ったジーンの目は、冷たい殺意を宿していた。
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