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【222 ジョルジュの本意】
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「さて、ブレンダン。最後の質問だが、ベン・フィングはこの先どうなる?俺も新入りへの指導がてら聞いてみたが、詳しい事や今後の事は誰も知らなかった。だが、ブレンダンならば知っているのではないか?」
去年の夏の終わり頃に投獄されたので、もう半年程立つだろう。
正式な処分が一向に降りず、ずるずると時間だけが過ぎている状況は、私も気になっていた。
「ベンか・・・・・国王陛下はずいぶん覇気が無くなったと言うたが、ベンだけは庇っておっての。
ロペスはすぐに処刑すべきと主張しておるが、さすがに国王陛下が許可をしない内に処刑なんてできん。だが、国王も無罪放免で釈放する事ができんのは分かっておるし、中途半端な刑罰ですませられる程軽い問題でもない。
なんせ、ワシとの試合の件で、ブロートンの殺し屋とのつながりまで明るみに出て、両国間に軋轢まで生じさせたんじゃ。ベンでなければ力ずくで全て吐き出させ処刑じゃろう。
おそらく、このまま幽閉じゃろうな。少なくとも現国王陛下の内は。第二王子のマルコ様が即位されれば状況は変わるやもしれんがな」
王子に目を向けると、王子は目を閉じて腕を組み、イスの背もたれに少し寄りかかっている。
本当であれば、第一王子のタジーム様が即位するはずなのに、強すぎる魔力ゆえに立場を追われてしまい、弟のマルコ様が次期国王として即位する予定である。
ブレンダン様の話しに、ジョルジュさんは少しだけピリっとするような、鋭い眼差しをブレンダン様に向けた。
「・・・ブレンダン、しかたない事なのだろうが、俺もそのロペスという者と同意見だ。あの男、ベン・フィングは殺せる時に殺した方がいい。生かしておくといずれ再びお前を、いや・・・この国を破滅に追い込むかもしれんぞ。ヤツから感じた風は、それほど凶悪だった・・・忘れるな」
ジョルジュさんの視線を受け止め、ブレンダン様は黙って頷いた。そしてこれで会話は終わりだった。
少し重くなってしまった空気を変えるように、リンさんやニコラさんが、さぁ難しい話しはおしまい!おしまい!寝よう寝よう!と声を上げて席を立つ。
私もキャロルちゃんとトロワ君に、お話しはお終いだから二人とも子供部屋へ行ってお休みしてね。と声をかける。
二人とも、一言も話さなかったけど、話しの内容は十分に理解している。
二人ともまだ10歳。
でもこの世界の10歳は、日本とは大きく違う。もう半分大人として見られる年齢だ。
だから、ブレンダン様も同席を認めたのだ。
この話しを自分達の中でちゃんと受け止めて、心構えをしておく事が大切なのだろうと思った。
みんなそれぞれ席を立ち、おやすみと言って広間を離れて行く。
私は、なんとなくこのままここを離れるのが嫌で、最後まで席を立たずに座っていた。
ブレンダン様とジョルジュさんもそうだ。
「・・・・・ヤヨイ、すまなかったな」
「え?・・・なんでジョルジュさんが謝るんですか?」
誰も口を開かず、かと言って席を立つわけでもなく、なんとなく座ってぼんやりしていると、ふいにジョルジュさんが私に向かって謝罪の言葉を口にしてきた。
「今日は、開店初日だっただろ?本当なら、もっと楽しい時間を過ごしていたはずだ。こんな話しで場を暗くさせてしまった事を謝らせてくれ」
そう口にして、もう一度頭を下げる。
・・・・・確かに、なにも今日この日に・・・という気持ちが全くなかったわけではない。
でも、私はジョルジュさんを責める気持ちは無い。
「・・・ジョルジュさん、頭を上げてください。私、怒ってませんよ」
私の言葉を受けて、ジョルジュさんはゆっくりと頭を上げる。
髪の色と同じ、アイスブルーの瞳は、いつもより少し陰っているように見える。
「多分・・・・・ジョルジュさんは、みんなに覚悟と言うか、気持ちを引き締めてほしかったんですよね?去年、孤児院は襲撃を受けて、そしてほとんど間を置かず国の緊張感が高まっている。戦争という言葉が出る程に・・・・・今のこの国がどういう状況か、一人一人分かって欲しかった。いざという時のために・・・・・違いますか?」
私の推察に、ジョルジュさんは驚いたように眉を上げて私を見つめる。
「・・・・・俺の風を読んだのか?」
「・・・・・精霊さんにお願いしたわけではありませんが、読めたのかもしれません。なんだか、ジョルジュさんの悩んだ気持ちや、気遣い、思いやり、だけど嫌な事でも言わなければならない辛さとか、色々と急に理解できたんです。だからジョルジュさんが、みんなのためを思っての事ですから、私が怒るなんてありえませんよ」
私の言葉に、ジョルジュさんはゆっくりと目を閉じた。それは肯定を意味すると捉えられた。
「・・・なるほどのう・・・ワシも突然の事に面食らった部分はあったし、どうにもジョルジュの態度が厳しいと思うたが、そういう事か・・・・・相変わらず、人付き合いが不器用じゃな?だが、それだけワシらを、孤児院のみんなを大切に思うてくれとるという事じゃろ?今日ここに来たのも、一日でも早くという思いからなんじゃな?」
ブレンダン様が合点がいったとばかりに、上に向けた左手の平を右手の拳で打ちつけた。
「・・・・・敵わないな。全部お見通しか」
「はい。全部分かってしまいました。後でみんなに話しておきますね。ジョルジュさんの本意が伝わらないと、ギスギスしちゃうかもしれませんし、引き締まるものも、引き締まりませんから」
「ジョルジュ、すまんかったな。本当は、もっと早くワシがみんなに話しておかねばならん事じゃった。迷惑をかけたのう」
ブレンダン様も、余計な心配をかけないようにという事からの気遣いだ。
すれ違いそうになったけど、きちんと話せて良かった。
私は寝る前に、まだ起きてる人にはジョルジュさんの本意を伝えて回った。
以前孤児院が襲撃された事を考えると、確かに私達はもっと緊張感を持った方がいいように思う。
いつ何が起きるか分からないのだから。
去年の夏の終わり頃に投獄されたので、もう半年程立つだろう。
正式な処分が一向に降りず、ずるずると時間だけが過ぎている状況は、私も気になっていた。
「ベンか・・・・・国王陛下はずいぶん覇気が無くなったと言うたが、ベンだけは庇っておっての。
ロペスはすぐに処刑すべきと主張しておるが、さすがに国王陛下が許可をしない内に処刑なんてできん。だが、国王も無罪放免で釈放する事ができんのは分かっておるし、中途半端な刑罰ですませられる程軽い問題でもない。
なんせ、ワシとの試合の件で、ブロートンの殺し屋とのつながりまで明るみに出て、両国間に軋轢まで生じさせたんじゃ。ベンでなければ力ずくで全て吐き出させ処刑じゃろう。
おそらく、このまま幽閉じゃろうな。少なくとも現国王陛下の内は。第二王子のマルコ様が即位されれば状況は変わるやもしれんがな」
王子に目を向けると、王子は目を閉じて腕を組み、イスの背もたれに少し寄りかかっている。
本当であれば、第一王子のタジーム様が即位するはずなのに、強すぎる魔力ゆえに立場を追われてしまい、弟のマルコ様が次期国王として即位する予定である。
ブレンダン様の話しに、ジョルジュさんは少しだけピリっとするような、鋭い眼差しをブレンダン様に向けた。
「・・・ブレンダン、しかたない事なのだろうが、俺もそのロペスという者と同意見だ。あの男、ベン・フィングは殺せる時に殺した方がいい。生かしておくといずれ再びお前を、いや・・・この国を破滅に追い込むかもしれんぞ。ヤツから感じた風は、それほど凶悪だった・・・忘れるな」
ジョルジュさんの視線を受け止め、ブレンダン様は黙って頷いた。そしてこれで会話は終わりだった。
少し重くなってしまった空気を変えるように、リンさんやニコラさんが、さぁ難しい話しはおしまい!おしまい!寝よう寝よう!と声を上げて席を立つ。
私もキャロルちゃんとトロワ君に、お話しはお終いだから二人とも子供部屋へ行ってお休みしてね。と声をかける。
二人とも、一言も話さなかったけど、話しの内容は十分に理解している。
二人ともまだ10歳。
でもこの世界の10歳は、日本とは大きく違う。もう半分大人として見られる年齢だ。
だから、ブレンダン様も同席を認めたのだ。
この話しを自分達の中でちゃんと受け止めて、心構えをしておく事が大切なのだろうと思った。
みんなそれぞれ席を立ち、おやすみと言って広間を離れて行く。
私は、なんとなくこのままここを離れるのが嫌で、最後まで席を立たずに座っていた。
ブレンダン様とジョルジュさんもそうだ。
「・・・・・ヤヨイ、すまなかったな」
「え?・・・なんでジョルジュさんが謝るんですか?」
誰も口を開かず、かと言って席を立つわけでもなく、なんとなく座ってぼんやりしていると、ふいにジョルジュさんが私に向かって謝罪の言葉を口にしてきた。
「今日は、開店初日だっただろ?本当なら、もっと楽しい時間を過ごしていたはずだ。こんな話しで場を暗くさせてしまった事を謝らせてくれ」
そう口にして、もう一度頭を下げる。
・・・・・確かに、なにも今日この日に・・・という気持ちが全くなかったわけではない。
でも、私はジョルジュさんを責める気持ちは無い。
「・・・ジョルジュさん、頭を上げてください。私、怒ってませんよ」
私の言葉を受けて、ジョルジュさんはゆっくりと頭を上げる。
髪の色と同じ、アイスブルーの瞳は、いつもより少し陰っているように見える。
「多分・・・・・ジョルジュさんは、みんなに覚悟と言うか、気持ちを引き締めてほしかったんですよね?去年、孤児院は襲撃を受けて、そしてほとんど間を置かず国の緊張感が高まっている。戦争という言葉が出る程に・・・・・今のこの国がどういう状況か、一人一人分かって欲しかった。いざという時のために・・・・・違いますか?」
私の推察に、ジョルジュさんは驚いたように眉を上げて私を見つめる。
「・・・・・俺の風を読んだのか?」
「・・・・・精霊さんにお願いしたわけではありませんが、読めたのかもしれません。なんだか、ジョルジュさんの悩んだ気持ちや、気遣い、思いやり、だけど嫌な事でも言わなければならない辛さとか、色々と急に理解できたんです。だからジョルジュさんが、みんなのためを思っての事ですから、私が怒るなんてありえませんよ」
私の言葉に、ジョルジュさんはゆっくりと目を閉じた。それは肯定を意味すると捉えられた。
「・・・なるほどのう・・・ワシも突然の事に面食らった部分はあったし、どうにもジョルジュの態度が厳しいと思うたが、そういう事か・・・・・相変わらず、人付き合いが不器用じゃな?だが、それだけワシらを、孤児院のみんなを大切に思うてくれとるという事じゃろ?今日ここに来たのも、一日でも早くという思いからなんじゃな?」
ブレンダン様が合点がいったとばかりに、上に向けた左手の平を右手の拳で打ちつけた。
「・・・・・敵わないな。全部お見通しか」
「はい。全部分かってしまいました。後でみんなに話しておきますね。ジョルジュさんの本意が伝わらないと、ギスギスしちゃうかもしれませんし、引き締まるものも、引き締まりませんから」
「ジョルジュ、すまんかったな。本当は、もっと早くワシがみんなに話しておかねばならん事じゃった。迷惑をかけたのう」
ブレンダン様も、余計な心配をかけないようにという事からの気遣いだ。
すれ違いそうになったけど、きちんと話せて良かった。
私は寝る前に、まだ起きてる人にはジョルジュさんの本意を伝えて回った。
以前孤児院が襲撃された事を考えると、確かに私達はもっと緊張感を持った方がいいように思う。
いつ何が起きるか分からないのだから。
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